2002.11
児童虐待

2000年11月の児童虐待防止法が施行され、2003年には法の改正が予定されている。それを受けた特集。

厚生労働省「児童虐待防止法施行後の状況と施策動向」
児童相談所が扱われた児童虐待相談件数は、2万3千件を超えている。しかし、社会的介入が必要な虐待の発生件数は、3万5千件と推計されている。まだ多くの潜在した児童虐待事例が存在している可能性を示唆する。
防止法は、

事業としては、子育て注の親子の交流、地域からの孤立を防ぐための「つどいの広場」の創設。虐待の恐れのある親子に対する指導として、「家庭訪問支援事業」などなどがある。

事例としては、「児童虐待に対する児童相談所の初期対応」がおもしろかった。あまり、事例は見ない方だが、いかに大変かがよく分かるライブ間のあるレポートだった。
法律と実際のあり方については、「児童虐待ケースに対する弁護士の関わり」がおもしろい。施設入所した児童に対する親の親権行使をどの程度認めてどの程度制限するのかという虚々実々の駆け引きのようなものが透けて見える。
あと、実際的な医療の関わりとして「虐待ケースを巡る医療機関の関わり」が良い。アセスメントフレームワークの概念を取り入れて、子ども、養育者、家族・環境の関わり方を医療として総合的に見ていこうとする事が説明されている。

徳永雅子「保健機関が行う子ども虐待予防について」
子ども虐待予防には、
虐待予備軍としては、産後鬱病の早期発見と支援〜エジンバラ産後鬱病質問票によって発見しやすい。新生児訪問指導の強化などが必要であり、周産期から乳幼児の発生予防は、虐待予防の根幹をなしている。

藤岡孝志「児童福祉施設における被虐待児のための援助のあり方と今後の方向性」
 昨今の児童虐待の増加および児童虐待防止法の施行によって、児童福祉施設特に、児童養護施設に置いては、心理職の配置など、生活の場での支援だけではなく、心理治療も踏まえた対応が必要となっている。そして、心理職のカウンセリングやプレイセラピーだけではなく、他職種との協働も必要になっている。ちなみに、心理療法担当の職員は養護施設の約43%が配置している。また、常勤が19%、非常勤のみが75%となっている。
 心理職は他職種との連携の他、いかに面接〜構造化されたものを生活の場に取り入れていくのか。応用していくのか。さらに、ケアワーカーにも意識として浸透させ実践に取り入れていくのかという力量が問われている。
 
その他、「児童虐待防止ネットワークを考える」というテキストもあったが、まぁ、ありきたりなので、省略。
2006.7.22

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