2004.12
社会保障制度改革とこれからの社会福祉(2)
年金改革などについての言説。年金制度や社会保障については以下のレポートを参照すること
社会保障の本質について
syakaihosyou1.html
公的年金の仕組みについて
syakaihosyou2.html
社会保障の在り方について
syhotest.html

また、特集の(2)ということで、あまり取り上げることが少ない。(1)を参照しながら、以下有意な言説について挙げていく。

(インタビュー)高齢化によって、特に女性の平均寿命の増加は、保険料の拠出が比較的空く無い人の受給期間が長くなる。しかし、払うにしても女性の賃金保障や就業率が挙がらないという実情がある。さらに、経済成長率の低下は、コストの削減や国際競争による安いものを…が人件費を抑える結果になっている。事業者の年金の拠出が減少した一因になっている
(インタビュー)もともと年金は会社の互助組織や共済組合から発展してきた。雇用の契約と支払賃金がハッキリしているので、こういった組織を設立できる。しかし、自営業などは不定期であるし、なじまない。国民皆保険には無理がある。
(インタビュー)年金改革では、保険料水準固定方式とマクロ経済スライドが導入。簡単にいうと、人口の幅に合わせてその都度上下させないのが水準固定方式。物価の上昇などでスライドさせずに給付額を上げないのがマクロ経済スライドである。
(インタビュー)医療需要の抑制(予防、自立支援)や65才や70才まで働けると年金給付が減るなどで対応したい。今後は予防のために社会保障制度が動く方向にある。
(論文)障害者の支援費制度と介護保険の統合化を阻む難問の一つは、障害者の多くが障害年金だけでは、応能負担の保険料、応益負担の利用料に耐えられない。
(論文)デンマークの支出の形を示しながら、年金受給者も当然のように払い、国庫に回収される仕組みを考えると、必要な経費を惜しまず、そのかわり負担面でもいわば「ノーマライゼーション」を貫徹させる発想と実践を社会福祉の体系を再構築する際の大事な参考としたい。
(論文2)一般に医療は、労働集約型であると考えられている。しかし、国際比較をすると、主要先進国の中では、資本(機材など)が潤沢にあるにもかかわらず、人では薄いことが分かる。
(論文2)医療では、診療所報酬と病院報酬が共通しており、有床診療所と無床診療所、中小病院が連続しているため機能分化が図られていない。→また、急性期医療と慢性期医療の機能分化が図られていないために、平均在院日数が引き上げられている結果になっている。
(レポート)福祉も医療も感情労働であることを引き受け、笑顔でいきいきと働いてほしい。忙しくても耳を傾けてほしい。また、言葉使いなども気をつけてほしいと患者などの利用者から寄せられるという。しかし、それと同時に利用者もまた感謝する気持ちを忘れているといわれる。少しでも自分の意に反すると不満や怒りが数倍にも膨らんでしまうことがある。
(レポート)インフォームドコンセントはそもそも欧米で発達した思想だが、日本では家族の意向をどう考えるかが問題になる。しかし、欧米ではそのような事はなく、本人の意向を尊重する欧米とは大きく異なることである。

論文:宮武剛「2004年・年金改正と「社会福祉」への投影」
論文2:尾形裕也「医療をめぐる課題と今後の方向」

メモ
途中で特集対談があった。医療と福祉の事業主同士の会話だったが、かみ合わないし、医療側は明らかになめているし、措置制度でやってきた福祉と医療を一緒にするなとか。医療法人は私有財産(営利)で社会福祉法人は解散する際に国庫に入っていく(非営利)ことについても、そういった意味合いで非営利とかでくくるんじゃないという感じでうち切るし…まぁ、予想はしていたが、会話の雰囲気なんかが伝わるような対談であった。
いずれにしろ、年をとれば病気になりがちになるし、不調面も多いだろう。しかし、やはりこれまでの老人に対する控除が大きすぎた。まず、年金受給額や生活構造から適切な料金を払うこと。治療に来ていることを意識づけていくことが必要であろう。また、医者の人件費など、たしかに医者になるには大変な努力が必要だし、それに見合った責任も背負わないといけない。しかし、民間なら仕方がないが、国の税金で行われている医療に関しては給料明細を明らかにするべきである。既得権益を見直さないといけないのははやり医療の責任である。
少子高齢化についても触れられているが、政府が子供が増えるかどうかということに責任を持つことは出来ない。期待できるのみである。しかし、父もいっていたが、子供を増やすには社会全体が貧乏にならないといけないと指摘する。この指摘は、社会学者も述べていて、労働面の改善や育児休業のとりやすさなどは少子化の歯止めには全くならないといわれている。しかし、やらないよりはやった方がよいが、少子化とは全く関係ないらしい。
2005.1.11

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