一次電池について


★DCマイクで電池はどれだけ持つか?これを主体に、いろいろ調べたことを記します。

 <ここでは、DCマイクはBiTrDCマイクとして、消費電流約30mA(両ch)として考えます。>


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1.単三ナショナルネオ(黒)

2.ウルトラライフ社006P型マンガン・リチウム電池

おまけ

 1.一次リチウム電池・・・・・・

 2.一度使ってみたい電池・・・・・・

 3.電池のヌード(^^;

 4.使った電池の再利用

 


1.単三ナショナルネオ(黒)

 まず、通常マンガン乾電池の公称1.5Vの寿命を論ずるとき、「この電池は**mAhだ」という判断をまずすると思います。この「**mAh」とは、電圧で言うと、何V〜何Vまでの範囲なのか?というのが一つのポイントとなります。なんでかというと、DCマイクでは、最低でも±25Vの電源電圧はほしいためです。通常、±20本、±30Vを電源としています。

 実は、乾電池の容量をmAhであらわすときは、電池の両端の電圧が0.9V(1.5Vの3/5)になるまで使えると仮定してあらわしています。ニッカド等ですと、これがまた違った条件で規定されているようですので、一概に、「**mAh」という容量値をもとにニッカドや他の二次電池と乾電池とを比較することはできません。二次電池は、種類によってさまざまですが、内部の蓄えがなくなると、電圧が急にストンと落ちます。乾電池は、一般に、使うに連れてだらだらと電圧が落ちます。

 DCマイクでは、公称±30Vが実質±25Vに落ちるまで使う、ということは、公称1.5Vの電池が実質1.25Vに低下するまで使える、ということになると思います。これは、一般的に表示されている容量にくらべてかなり蓄えが残っている状態で使うのを止める、ということになると思います。

 そこで、DCマイクが30mAの消費電流として、一回の録音にゲネプロ三時間+本番二時間とで計約5時間、その間のインターバル1時間休むとして、それを一日おきに繰り返す、という実験をやってみました。つまり、朝から三時間使用、一時間休憩、二時間使用を一日おきに繰り返すものとします。

 電池というものは、しばらく使わないと、その分回復するので、この一日おきというインターバルがあるとないとではおそらく電池の総合の容量に変化が出ると思い、こうしました。

 実験内容は、ナショナルネオ(黒)単三を四本直列にして、30mA定電流源をつけ、この定電流源をON/OFFして電池両端の電圧を電圧計で測定したものです。

 このグラフは結構長いグラフで、大きくてかつ面倒なので(^^;示しませんが、この結果をいくつかの確度から検証して言えることを以下にまとめますと、

 

1.上記の様な使い方で、一日で落ちる電圧は、有負荷(30mA)で一セル当たり0.05V程度である。→20本=30Vで−1Vに相当。ただし、0.05Vの電圧降下は、使用終了地点の電圧の比較です。

2.途中の一時間の休憩の間の回復時間は無視できない。5時間連続使用より10分程度長持ちする。

3.電池の寿命としての結論は、安全を見て4回の録音、無理すれば5回が限度、という感じ。5回だと、本番の最後で若干±25Vを切ることになるであろう。

4.±20本の電池で、今までどの程度使ったかわからなくなってしまったものについては、30mAの負荷(DCマイク)をつけて一分後くらいの電池の電圧(有負荷)が±27V以上あれば、最低一回の録音には使える。(電池が古すぎるものに関しては、保証できない。)

 以上の使い方で、一回の使用で、電源投入直後から終了まで、0.4V〜0.45Vの電圧降下がありますが、次回のときには回復しています。従って、上表1.は、毎回の終了地点同志の電圧比較が必要です。ようは、使っていて、使用中に下がって、休憩中に回復、下がって、回復を繰り返します。

 電池がそれほど古くなければ(買って一年〜二年程度)、27Vであと一回、28Vで後二回、29Vで後三回、30Vで後四回つかえると考えられる。とっても覚えやすい値ですね。

 ただし、消費電流が30mAより多かったり、ケーブルが長くて容量負荷ドライブ状態だったばあい、消費電流が増えますので、何割か寿命が短くなることを想定しておいたほうがいいでしょうね。また、実際の録音では、大体、本番は1.5〜2時間ですが、ゲネプロは3時間より短い場合があり、電池には累積時間を記録しておくと、目安になります。 

 さて、余談ですが、ナショナルネオ(赤)と、金パナ(アルカリ)を用いた場合は、(単三)、前者が0.67倍、後者が約2.3倍という単純計算の結果がでました。ただし、アルカリは短期に大電流を流す場合は有利でも長期に小電流はそれほど有利でない、という事から考えて、短めに考えておくのが妥当だとおもいますが、実際は同様なロード実験をしてみないと、何とも言えません。

 

 また、ナショナルネオ(黒)の単三に比べ、単二、単一は、それぞれ3倍、7.5倍となっています。単一はすごく有利ですね・・・・・・重たいですが。

 <以上の計算値は、Panasonic発表のデータシートから計算しました。そのうち気が向いたら、またこれらのロードテストをしてみます。>

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2.ウルトラライフ社006P型マンガン・リチウム電池 U9VL

 これは、都合が良いことに、30mAロードの場合の特性がデータシートに載っていましたので、これで判断がつきます。ただし、正確には30mA定電流ではなく、270Ω抵抗負荷の様ですので、若干容量は少なめに考えておいた方が良いかも知れません。

 この電池を使う場合、±3個、±27Vで使用します。±4個、±36Vの使用も考えられますが、通常は前者の組み合わせを用いています。

 ちょっと余計に見て、±24Vに落ちるまで使うとしますと、一個当たり9Vが8Vに落ちるまでつかうということになります。すると、連続で約25時間つかえることになります。

 これはロード実験をしていないのですが、経験上、リチウムはあまりインターバルによる回復は見られないようです。したがって、一回5時間の使用で5回使えるか?ということになりそうですが、実際使用してみたところ、4回程度にしておいたほうが、5回目の最後のほうが厳しくなるようです。すると、そうですね、ほとんど、寿命は単三ナショナルネオと同じですね。

 ちなみに、同様のゾンネシャイン社の006Pリチウム電池は、3回程度が限度でした。

 U9VL30mAロードデータ

 

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 おまけ

 1.一次リチウム電池・・・・・・

 フッ化黒鉛(BR)リチウム電池二酸化マンガン(CR)リチウム電池などあります。

 前者のBR系は、主にメモリーバックアップ用など、瞬間出力電流が10mA以下と小さいもの用です。一時期、これをいっぱいシリーズにつなげてDCマイク用電源にしようかと思ったのですが、電流を取り出せないので、あきらめました。

 後者のCR系は、BR系よりは電流が取り出せるようです。カメラのモーター駆動兼内蔵フラッシュ用として売られているんが、これです。ですが、最大出力電流は、やはり数10mAが限度な様です。ウルトラライフ社のもこちらのようです。

 大電流を取り出せるリチウム電池は、別に存在するようです。

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 2.一度使ってみたい電池・・・・・・

 空気亜鉛電池

 006P型で8.4V、大電流が取り出せるとのことですが、スペックはどの程度なのでしょう?値段はおいくらざんしょ??PanasonicPZ146Xという製品があるようです。これは、注文すれば可能なのか?どなたか、詳しい方は教えてください。

 空気亜鉛は、将来は楽しみです。大型のボタン電池で、1000mAh以上(ただし2mA消費)を実現し、最大出力電流30mAはDCマイクにつかえます。これの006Pタイプが容易に入手できるようになれば、いいですね。

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 3.電池のヌード(^^;

 私は良く、電池を裸にします。理由は、1.音をよくするため、2.生録のために軽くするため、の二つです。これが、かなり軽くなります。持った感じでも2〜3割は軽くなります。音質に関しては、きちんと判断していませんが、乾電池の外部を覆うケースがステンレスかなにかの鉄の混合物で、磁石にくっつきます。したがって、これは無い方がよろしい。

 こつを覚えると、結構簡単に皮をはぐことができます。ラジオペンチでくるくるっていう感じですね。一回分40本の皮むきに約1時間です。あと、マイナス極に金属板がついていますから、これを、ナショナルネオの場合は、外側のプラスチックをカッターで切りますと、簡単に取り除けます。プラス極は、電池内部の黒鉛の極棒と一体になっている(圧着状態)なので、取り除けません。

 皮をむいた内部の−電極は、ハンダ付けするとき、ハンダが乗りにくいので、ここは、やすりで削るかカッターの先でこまかな傷をつけるか、という処置が必要です。カッターでやる場合は、表面をはがすように削るとよいでしょう。

 大きさも一回り小さくなり、持ち運び便利です。

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 4.使った電池の再利用

 DCマイクでは、電池を完全に使いきっていません。もったいないと思う方もおられるでしょう。再利用法として考えられるのは、

 4.1 プリに使う・・・・・プリアンプであれば、±25Vに落ちたものが±18Vくらいまでつかえます。(金田式バッテリードライブプリの場合)

 4.2 継ぎ足して使う・・・・・・使った電池同士を継ぎ足して使う方法もあります。ですが・・・・・生録にはちょっと使いたくないです。内部抵抗が大きくなりますしね・・・・・。リチウム(ゾンネシャイン製)では、これは大失敗しました。リチウムでは止めましょう。

 4.3 電池の減り具合の少ないものを再利用・・・・・・これは、電池に負荷をつないでおいて、一本一本電池の両端の電圧を測定すると、すべてが同じように電圧が減っているとは限らないのです。たまに、まだ結構電圧が高いものがあります。それだけを集めて他のものに利用することも考えられます。

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