天井吊りDCマイクは・・・・・・ (00/07/01〜)

 

●DCマイクを天井吊りにする・・・・・

 

 正直言って、初心者の方には、あまりお勧めはしません。結構、なんだかんだあり、失敗することもあり得ます。依頼された録音に関しては、責任がありますので、安全策をお奨めします。
 ここに書くことは、DCマイクを天井吊りにする点での問題点をあげ、けして解決策を示しているわけではありません。みなさんでがんばって考えてみてください。

 

 DCマイクを天井吊りにする構想は、1980年代、既に金田氏自身が実験をしていたようで、MJ'85年10月号 DCアンプシリーズNo−87 「ロボット型DCマイクの設計と製作」のP83に、DCマイクをつり下げることでマイクの上下の違いによる音の違いをDCマイクで確認できた、という内容の記事を金田氏が書かれています。なにも天井吊りにすることは新しいことではありません。

 私も、実際にいろいろ録音していく中で、スタンドを立てることが困難な演奏会に出くわし、DCマイクというのは本来ホールの客席内部にスタンドを立てて録音することを前提に開発がされたものではありますが、上記記事を思い出し、天井吊りの可能性に関して、いろいろ某BBSで議論したりして、検討しました。

 問題点は、
 1.インピーダンスがかなりミスマッチング(ローインピーダンス出力、ハイインピーダンスで受ける)になり(一般のマイクはここまでミスマッチングではない)ケーブルの反射の影響が出るのではないか?ということです。高域の周波数特性がかなりうねってしまう可能性があります。
 そこで、まず、だいたいホールのケーブル長は一体どれだけなのだろうか?ということで概算やホールの係のかたにお聞きしたところ、ホールによっても違いますが、数十mから大きなホールで200m以上ある、ということでした。
 一般的なケーブルを使ってシミュレーションしたところ、数百mから反射の影響で高域が乱れる可能性が出てきました。実際、ある人が200m巻きの2芯マイクケーブルでf特を測定したところ、数百kHzから特性が乱れるそうで、だいたいあっていますね。すると、小さなホールではOKですが、大きなホールの場合には、たとえオーディオ帯域でも反射を心配しなければならないことがわかりました。

 2.次ぎに心配したのが、ケーブルの容量負荷により、2.1 発振(特にエミッタフォロワ出力は容量負荷で発振しやすい)、2.2 スルーレートの悪化、の問題です。
 そこでケーブルの容量を測定してみようと言うことになり、簡易容量計を持っていき、測定してみましたところ、0.01μFから、大きいホールで約0.1μF(マイクケーブル約300m〜400m相当)!ということになりました。マイクの出力振幅が小さければ、発振の対策さえすれば0.1μFも恐れるに足らず。しかしながら、DCマイクの最大の特徴は、大振幅で送ること。これは大きな問題にぶつかりました。
 よくやる容量負荷発振対策は出力に直列に抵抗を入れること。ですが、これをやると、もろにスルーレートを悪化させてしまいます。つまり、容量負荷で発振しにくく、スルーレートも十分に確保できるほど瞬間的に出力電流を取り出せる回路にする必要があります。

 3.そして、あとは、電源をどうしましょうか?ということ。噂によると、何十本もの単2電池をマイクと一緒につり上げた人もいたようですが、単3なら、つり上げてみようと言う気にもなりますよね。でもこうなると、ゲネプロからずーっと電源を入れっぱなしになり、休憩時間はもったいない。
 ケーブルをつかってマイクまで電源を送ることも考えられますが、これも一長一短がありますし、いろいろ注意点がありますね・・・・・・

 

 4.そして、DCマイクはアンバランス伝送ですので、ノイズがちょっと心配・・・・・

 

 というような問題点を解決すれば、DCマイクを天井吊りにする事が出来ますが・・・・・・

 さて、みなさんはどう解決するでしょうか・・・・・