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 手話教育支援

(Update 1997/4/18)

目次

  1. まえがき
  2. 手話教育支援メディアと3DCG
  3. バリアフリー97(マイムハンド)
  4. 手話テスト


1.まえがき

 私が大学時代におつき合いのあった、 体育科の先生が制御工学の教授と共同で、 バレーボールのスパイクの前動作に見られるような 「屈伸からの垂直飛びの解析」 を研究していて、 しばしばその説明会に参加してました。 当時は、3本の棒を人間の胴体・太股・すねに見立てて、 アニメーション表示を行っていたのですが、最初に思ったのが、 「人間の動きをどうもイメージしにくい」ということでした。 そこでイメージ伝達を助ける方法として、HUMANを紹介したことがあります。 結局、使ってはもらえませんでしたが(先生がMac派だったから?)
 ここで紹介した利用方法は 「人間の動作イメージを伝達する」 ですが、見方を変えると、 「人間の動作自体が、イメージ伝達の手段」 となることもあるのです。 それは 手話です。 HUMAN DIRECT!では、 左の画像のように、人間の上半身とその5指まで細かい構造を再現し、 指の一本一本にまで3次元の動きのデータを与えることで可能です。


2.手話教育支援メディアと3DCG

 阪神・淡路大震災、日本海岸重油流出事件にみられるように、 ボランティア人口が高まりを見せています。 その流れから耳の不自由な方を支援したいという方も増え、 「手話教室」なるものが注目されるようになりました。 「星の金貨」などの 人気TVドラマの影響もあるでしょうが。

 以前手話の本をみたことがありますが、そのほとんどが手描きの図解という 手法をとっています。これでは手話辞典を制作しようモノなら大変な労力です。 そして手話に重要な「動き」が無いためやはりイメージ化しにくい。 近年、手話教育支援ソフトなるものも現れていますが、 手描き画像を連続再生するアニメーションが主なため、 手話本の制作以上に大変です。 そしてフリーソフトとなると、 基本的に「少ない人数で制作する」ことになるでしょう。 何故なら、絵描きのセンスは人それぞれで大きく異なるため、 意志の統一が難しく、 「手話はできるけど絵の描けない」人は直接参加できないのです。

 これが手描きの絵の連続再生でなく、 人体モデルのリアルタイム3DCG再生 ではどうでしょう? 

  1. 絵描きのセンスがなくても、手の形と腕の動きをつけるだけでよく、 だれでもデータベース追加・更新が可能。
  2. 動きのデータはASCIIの数字データなので圧縮率が高く、 展開後もファイル容量が小さいために配布が容易。 くわえて編集も容易。
  3. 手話は、単語を示す動作の組み合わせ。 リアルタイム3DCGなら単語同士の動作間を自動的に補間され、 一連の自然な流れをもつ動作になる。
  4. リアルタイム3DCGだから、様々な視点から動きを見れる。 時間軸を調整することでスロー再生・繰り返し再生可能。
  5. 気に入らない人体モデルなら、交換・自作も可能。
  6. Windows95+DirectXで動く。グローバルな展開も!?

    のように大きな自由度をもつと考えられます。 これならネットワーク上で、 有志(ボランティア)による手話のデータベース作成と管理が できるのではないでしょうか? 手話には表情が必要な点もありますが、テキスチャを顔面に貼るなり、 人形劇のように眉毛や瞼や口をパタパタ動かせばいいのでは? またHUMANのポーズデータは2つ軸のベクトルで与えていますが、 関節の3次元姿勢ベクトルや姿勢行列が分かっていれば変換可能なので、 モーションキャプチャから動きのデータを得ることができるかもしれません。



3.バリアフリー97

4/17より大阪中埠頭のインテックス大阪で開催された 「西日本最大の福祉機器の総合展示会」に参加しました。 その中で日立製作所より Mimehand なるアプリケーションが出展されました。 UNIX上でワープロ感覚で3DCG手話アニメーションを生成・編集するというもの。 例えばTV-NEWSなどで右下に出るような手話映像を3DCGで作成します。 つまり対象は映像制作や生活情報システムへの導入となります。 私の場合 HUMAN DIRECT! はホビーユース(Windows95)を対象とし、 手話教育支援ソフトという相違点があります。

とはいえ、この Mimehand は私の目指す最終形であるのは変わりません。 興味を持たれた方はこちら
日立 MimeHand


4.手話テスト

 手話のニュース番組って見たことありますか?手の動きに加え、表情を変化させ、口も大きく開けて動かし、最大限にこちらの意志を伝えようとします。やはり手話に表情も重要。これをPUMANで再現させるには?

 そこで「立方体に喜怒哀楽+疑問の絵を張り、それを瞬時に回転切り替えるという画期的な手法」を考えました(誰でも思いつく?)。顔の3Dモデルが口をぱくぱくさせる方法も確かにありますが、表情のデータの作成と利用は非常に複雑なものです。手話データ容量が小さくそして作りやすく配布しやすい形式とし、ネットワーク上で配布、そして有志による手話データライブラリ作成を推進、といった私の考えるPUMANねっとわーく計画(かっこわるいネーミングだ)に対してはです。

 立方体にマンガを張って、くるくると回転させて表情を変える。実際に動かしてみると意外や意外、コミカルな顔の動きにまず目を引き寄せられ、表情があるというだけで手話の動きに感情がこもったようにみえるのです。小さく見えにくいリアルな顔より、大きくすっきりとして見やすいポリゴン顔の方が表情や感情をよく理解できますときに教育にはリアリティーより、見た目のおもしろさ(エンターティメント)が必要なのです。

 近いうちにサンプルデータを作成、登録します。

 手話データ形式の統一など、手話の現場に携わる方に意見伺いたいのですが、、、メールくださいませ

強い意志をこめた表情で「がんばります」 喜んだ顔で「楽しい」

  以下、鋭意制作中!

とりあえず転載禁止
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