+++ afterward of ELNARD +++
2
意識の知覚する総てが「白」かった。
それほどの強い、光の存在。
訝(いぶか)しみつつ霞んだ意識のままレジースは目を開けた。
「ああ、気付かれましたか。ご気分はいかがですか?」
傍らに座っていた金髪の少年が柔らかく微笑みかける。神官の法衣に身を包み、落ち着いた雰囲気を持った彼が光の正体だった。
「…シーダ?」
この光には覚えがあった。…これ程までに強い輝きをかつての指導者から感じたことはなかったが。
少年は軽く目を見開いた。
「私をご存知ですか?」
「ああ…昔からな」
半身を起こしながらそう答えると、シーダは首を傾げてくす、と笑う。
「面白いことを仰るんですね。貴方は相当な時を越えていらしたというのに。」
でも、と彼は表情を改めた。
「―――本当にそうなのかもしれませんね。そうでなければどうしてこんなにも貴方を懐かしく思うのでしょう…」
「……懐かしい?」
「ええ、おかしいでしょう?」
そう言って困ったように笑うシーダの眼差しは確かに懐慕の念を湛えている。しばらく無言でそれを見返していたレジースは不意にある考えに思い当たった。
「……まさか、お前」
ウィルミー、なのか?
突然片手で顔を覆い、自嘲的な忍び笑いを漏らし始めた相手にシーダは困惑気味に声をかける。
「あの……?」
「俺としたことが…何をとち狂ってあんな奴の言葉を信じたのか…」
甦るとはこの事か。《聖人》として生まれ変わると。
レジースは笑いを収めると上掛けをはねのけて立ち上がった。
かける言葉を失ったようにただ彼の動きを目で追うシーダを見下ろす。
「お前、ここまで俺を連れてきて助けたんだな?…とりあえず礼は言っておく」
「!…もう行ってしまわれるのですか?」
「俺は五千年前に全てを失った。今更欲しい物など無いが…な。此処にいても仕方ないだろう」
扉の近くに掛けてあった、彼のために用意されたと思われる上着を羽織りレジースはドアノブを回した。
「待っ……」
行ってしまう。また、私を残して。
胸が締めつけられる。体の中で形容し難い何かが叫びをあげた。
「レジース……!」
レジースの動きが止まった。
振り返った肩越しにシーダを見る。
少年は放心したような顔でそこに立ち尽くしていた。透明な滴が頬に線を描く。
「今…何と…?」
シーダの頭の中で何かが砕け散った。封印が…解ける。
「レジー……レジースっ」
渾身の力を振り絞って彼の名を呼び、シーダはそのまま意識を手放した。
力を失った体が床に倒れる前に受け止めた腕に気付くこともなく…。
一応ご対面、ですね(^.^)。まあちゃんとお話が出来るのは次章になりますが。
そろそろ覚え書きの中で取捨選択に悩む部分が出て参りました。今回も結構削っちゃった台詞がありまして。だってこの覚え書き、もう10年近く(!!)昔の物なんですよ~。いろいろ恥ずかしくなっちゃって書けないところもありますって(^-^;)。(ちなみに私の「覚え書き」は台詞以外文章ではないのでまだあまり恥ずかしくないです・・・ってどんな覚え書きだか・笑)(00/07/31 up)