☆信号管理室7


   

(71) 2002年の1年間に京都市内から消えた古参灯器の中でも、この九条近鉄前の日本信号角型Mサイズは独特の存在感があり、今でも惜しまれます。のちの同社丸型初期にも通ずる表情がいいですね。かつて京都市内では堀川五条交差点に同型の親子式があり、交差点をぐるりと囲む歩道橋に直付けされていたこともあって、大変目立っていたと思います。晩年は画像の九条近鉄前と九条油小路のみで、2002年春に九条通の道路整備にあわせられるように交換されました。右画像のように、毎日のように近鉄電車との出会いも見られたのです(画像は30000系特急「ビスタEX」)。なお、これと同じ型の2灯式予告信号が阪急千里線豊津駅スグ隣りに今も存在し、北千里行ホーム上から見えます(^^;)。


   

(72) 東京都は勝鬨橋(かちどきばし)からちょっと面白い信号機の遺構(?)を。勝鬨橋は隅田川の最下流にかかる橋で、築地と月島を結ぶ晴海通の交通の要所です。名前の由来は、橋がかかる以前にあった「勝鬨の渡し」が明治38年に日露戦争の戦勝(勝ち鬨)を記念して名付けられ、それが昭和15年に完成した現在の橋に踏襲されたためですが、勝鬨橋の最大の特徴は、何と言っても「跳ね橋」だったこと。隅田川を大型船が通航する際、全長約250mのうち中央部22mが跳ね上がり船を通すという大胆な構造で、開通当初は一日5回、一回につき20分ずつ開いていました。戦後は一日3回となりますが、次第に橋上の交通量が増加し大型船の通航もなくなったので、昭和45年11月29日を最後に、二度と開くことはなくなりました。

 で、画像は開閉部の両端に設けられた操作室の遺構で、おそらくこの信号機は大型船通航時の歩行者道通行止を知らせるものと思われますが、それにしては凄く本物っぽいんですよね。何となく日本信号製丸型に似ている感じですが、小糸製丸型に似てるようにも見えるし…。でも冷静に考えると、勝鬨橋が可動していた時代(1970年まで)は角型・箱型全盛で丸型灯器はまだなく、そうなるとやはり勝鬨橋専用に作られたものと考えられます。

 なお、勝鬨橋のかかる晴海通には都営バスも走っており、美しい橋をゆく都バスの走行シーンも撮影出来ますよ(^^)。さらに西側の築地には東京中央卸売市場と場外市場があり、新鮮なお寿司もオススメです。


(73) 広島県大朝町から信号機のユニークな設置方法をご紹介します。大朝町内の大朝交差点にかかるこの信号機は、交差点の一端からアームを中央部までのばし、その先に信号機が吊り下げられています。実に合理的な設置方法ですが、こういう設置方法だと大抵の場合は集約灯器なんですが、この交差点は普通の量産型S型(小糸製?)が付けられており、画像の交差点を左折したところにも同じような方式で設置されています。


(74) 神奈川県横浜市から信号ネタを3点ご紹介です。こちらは京三製で、ヒョロから量産型に移行する過渡期に製造された折衷タイプの信号機。やや角張った灯器本体と、先代同様のヒョロったひさしがユニークな表情を見せていますが、神奈川県内(特に横浜市内)はこのタイプが非常に多く残っています! ヒョロよりも多いかも…。灯器モデルチェンジの過渡期と、神奈川県の信号機の一斉更新の時期がたまたま合ったのかな? とにかく、あちこちで見られます。ちなみに画像の交差点では歩行者青信号時、「故郷の空」が流れます(←「故郷の空」も神奈川県ではポピュラーです)。


(75) 日本信号製角形(右)と京三製角形(左)の組み合わせをどうぞ。神奈川県(特に横浜市)は予想外にも角形が割と多く残っています。日本信号製は角形が背中合わせに、やや角度をつけて設置されています。左の京三は角形では珍しいMサイズ! うしろに見える高層ビルは横浜ランドマークタワーです。


(76) JR根岸線桜木町〜関内間のとあるガードについている、京三製角形です。見慣れない表情から、(75)の左灯器同様にMサイズと思われますが、こちらはひさしが微妙に違うような気が…。のちのヒョロにも通ずるようにも見え、私は勝手に「角ヒョロ」と呼んでいます(^^;)。でも都心のど真ん中にこんな灯器が残っているなんて素晴らしすぎですね!


(77) 広島市内に残る角形時代のデザイン灯器で、超レアです! 初めて発見したときの衝撃はもう…。底辺が短い逆台形をしており、ひさしの形状から小糸製と思われます。アームの形状もデザイン灯器らしいですね。


灯器   全景

(78) こちらも広島市内で偶然発見した一体型集約灯器で、レンズの色や微妙な表情から小糸製と思われます(同社製初代丸形灯器に似てるので…)。同じ場所に一般の灯器がないため分かりにくいのですが、この集約灯器はかなり小さく見えます。やはり実際のサイズも小さいのでしょうか。道路脇の電信柱から太いアームにより支えられていますが、やはり「宙に浮くUFO」に見えます(^^;)。


灯器   全景

(79) またまた一体型集約灯器! 広島市内ってけっこう残っているんですね。メーカは小糸で、角形時代に製造されたものと思われます(上の(78)の前モデルかな?)。広島市内にはさらにもう一カ所、繁華街の裏通りに一体型集約灯器があります。そちらも取材したいんですけど、いかんせん人の往来が激しくて人目が…(苦笑)。


灯器   全景

(80) 島根県出雲市大社町から! 出雲大社正門へ続く道の堀川という川にかかる宇迦橋には、大きな鳥居がそびえたっており、参道としてのインパクトがありますが、同様にインパクトあるのが信号機です。ユニークなデザイン灯器が採用されており、大社町の古風なイメージを損なわない配慮がなされています。本灯器が逆台形、歩行者灯器は底辺に角がついた五角形で、まるで将棋の駒みたいですね(^^;)。画像はMサイズですが、交わる小道の灯器はきちんとSサイズと使い分けられており、デザイン灯器ながら芸が細かさが光ります。全景画像は奥が出雲大社、手前が旧大社駅跡で、画像の大鳥居をくぐってしばらくした右手に一畑電鉄出雲大社前駅があります。


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