DIARY

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      4月25日 2006
      
儲け損ねちゃった
      「新型インフルエンザに備えて、ワクチン開発が主流になるだろう。」     
と思って、
インフルエンザワクチンの多くの特許を持っているメディミューン社の株を
数年前に購入した。
新型インフルエンザの報道は、
その後、年を追うごとに、パンデミックの危機感に満ちてきた。
それなのに、株価は一向に変わらない。
23ドルくらいで買ったのだが、
1年ちょっと前に、業を煮やして24ドルくらいで手放した。

ところが・・・。
23日の報道
*********************************
英医薬品大手アストラゼネカは23日、
米バイオ医薬品メドイミューンを156億ドルの現金で買収すると発表した。 
価格は1株当たり58ドルで前週末の株式市場の終値を21%上回る。

**********************************
残念!

        医学というのは、
ある新しい技術の開発で格段に進歩をする。
常識がころっと変わってしまうくらい進歩する。
例えば、
江戸時代は、盲腸は死ぬ病気だったはずであるが、
今は、盲腸で死んだりしたら、間違いなく訴えられてしまう。

最近の例では、胃潰瘍である。
一昔前までは、何度も吐血や下血をして、
虚弱な胃袋を抱えて苦しんでいた人がたくさんいた。
緊急手術や緊急内視鏡も希なものではなかった。
ところが、
H2ブロッカーという胃酸の分泌を抑える薬が出来て、
胃潰瘍で手術を受ける人はほとんど無くなった。
さらに、
ピロリ菌が発見されて、
その除菌療法が開発されてからは、
胃潰瘍で苦しむ人自体が希になってしまった。
今では、その上、
PPIという、胃の酸をほぼ完全に押さえ込む薬まで開発されており
胃潰瘍で苦しんでいる人を、もう何年も診ていない。

        そんなこんなで、
今度は何が変わるのだろうか?
リウマチは、苦しむ人を救える薬が出来ているが、
おそろしく値段が高い。
お金さえあれば、リウマチで苦しまない人生は送れそうである。
 
        近いうちに変わりそうなのは
アレルギーの治療だろう。
T型アレルギーに関与するのはIgEという抗体である。
このIgEが肥満細胞にFcレセプターを介して結合して
肥満細胞からいろんなケミカルメディエーターが出て
アレルギー反応が起こる。
ダニやハウスダストに反応して起こる喘息や
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎は
この反応が関与する部分が大きい。
このIgEが肥満細胞にくっつかないように、
IgEのFc部分にくっつく抗体が開発された。
この部分はアレルギーの抗原がなんであれ関係がない。
(抗原にくっつく部分はFa,Fb部分)
つまり、どんな抗原であろうと、
この薬を使うと
IgEを介してアレルギー反応が起こらないようになるのである。

これが、ヒト化抗IgE抗体 (オマリズマブ、商品名ゾレア)である。
ゾレアは、2003年7月に米国で上市後、
2005年10月には欧州連合で承認された。
現在では46ヶ国で承認され、
米国、イギリス、ドイツ、カナダ、ブラジル、オーストラリアなど
15カ国で販売されている。
日本でも、昨年6月に承認申請が出されており、
数年以内には承認されるだろう。

承認は、
喘息だけになるのか?
アレルギー性鼻炎も含まれるのか?
アトピー性皮膚炎はどうなのか?
小児への適応があるのか?
まだわからないが、1回注射をすれば、
1ヶ月は効果が持続するようである。
アレルギー性鼻炎の治療法なんて、
ころっと変わってしまいそうである。

今度は、
ノバルティス ファーマ株式会社の株を買ってみようかな?

       





      4月23日 2006
      
署名有難うございます
      その後の経過について、
「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」
の傍聴記が届いたので紹介します。

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第1回 「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」
傍聴記              (ロハス・メディカル発行人 川口恭)

    〜 組織を作りたい厚生労働省、そこに入り乱れる思惑 〜

 あまり報道されていないので知らない人も多いと思うのだが、厚生労働省が
『医療関連死の死因究明機関』を作ろうと動き始めている。そのこと自体に反対
する人は多くないと思う。しかしながら『現場からの医療改革推進協議会』では、
その議論のなりゆきに重大な関心を持っている。話の展開次第では、疲弊した現
場をさらに苦しめ医療崩壊を加速させかねないと懸念しているからだ。

 ということで、4月19日には募集されていたパブリックコメントに対して、
5716人という前代未聞の大勢の賛同署名つきで意見書を提出した。その後で
記者発表も行ったのだが、私の知る限りどこも報じなかったようだ。余りにもき
ちんと意見書の中身を説明しすぎたために、記者が記事を書けなくなってしまっ
たかなと思っている。つまり、記者側の一般的思考回路では、「霞が関」の政策
的カウンターパートが野に存在するはずがないので、こういったものは対案提出
ではなく意見具申としてしか捉えられないし、その形で書くような記事フォーマッ
トしか持っていないのだ。

 面白い対案が出てきたと捉えるだけのセンスのある記者がいなかったことを嘆
くのは簡単だが、個人的には「意見具申」のフォーマットで書いてもらえるよう
に、あまり意見書の中身を説明せず、大勢が賛同したということにポイントを絞っ
て説明した方が良かったのでないかと思っている。ただし、それでは医療者・学
者としての良心が許さないのだろうから難しいところではあり、記事にならなかっ
たのはある意味必然かもしれない。いずれにしても、今後の展開次第では記者発
表で蒔いた種が大きく花を開くこともあるだろう。

 花が開くも開かないも、検討会そのものの議論にどれだけ影響を与えられるか
にかかっている。そのためには、いつの間にか結論が出ているという事態は避け
ねばばらず、どのような議論が行われているか、広く皆さんに知っていただく必
要がある。協議会の末席に連なる者として、検討会を傍聴してきたので、ご報告
する。なお、しばらく待つと正規の議事録も公開されるので、公開後はそちらも
ご覧いただきたい。

 検討会が開かれたのは厚生労働省9Fの省議室である。正確なサイズは分から
ないのだが、幅20メートル、奥行き40メートルくらいあるだろうか。かなり
広い。100余りの傍聴席が設けられ記者を含めて傍聴は60人ほど。

 冒頭、松谷有希雄・医政局長が「スピード感を持って議論していただきたい」
と挨拶して始まる。これだけのテーマで結論を急がせるということは出来レース
か? と身構えてしまったが、今日の各委員の発言を見る限り、そんなこともな
さそうだ。今後きっと激しいやりとりになるに違いない。

 座長には、事務局(佐原康之・医療安全推進室長)の指名で前田雅英・首都大
学東京法科大学院教授が就いた。根回し済みだったら最初から座長席に座ってお
けば時間の節約になるのに、というのは民間の発想で、手続きが大事なんだろう、
きっと。その前田座長、声が小さいのかマイクが遠いのか、ゴニョゴニョと何を
言っているのか、よく聞き取れない。議事録を公開することで良いかも委員に諮っ
ている。公開しないなんて許されるはずもないし、事前に通告しておけば良いこ
となので、これも時間の無駄だ。

 不明瞭ながら、座長の冒頭発言で分かったこと。どうやら前田座長に本日与え
られたミッションは「診療関連死の死因究明を行う中立・公正な組織を作る」方
向でコンセンサスを得ることらしい。検討会を立ち上げている時点で組織を作る
と決めているのだろうと思う。だけど、厚生労働省が作ろうと提唱した、にはし
たくないわけだ。その後で前田座長が折々に繰り出した発言を辿ると、要するに
厚生労働省は「スピード感を持って、第三者機関を作りたい」らしい。役所が組
織を急いで作りたがる時には、ロクでもない狙いが隠れていることが多いので、
この点に関しては、ちょっと注目する必要がありそうだ。

 とは言うものの、こんなゴニョゴニョとしたペースで、これほど漠然とした話
にどうやって「スピード感」を持たせるのかなと思っていたら樋口範雄・東京大
学大学院教授が素晴らしい論点整理をしてくれて、一気に話が分かりやすくなっ
た。
曰く

 「中立的第三者機関をまず作れば良いという話ではない。作った後が問題で、
何をすれば良いのか指針を与える必要がある。その際に二つのバランスが必要と
考える。一つ目の大きなバランスは以下のようなことである。私が考える機関の
目的は1、責任の追及、2、被害の救済、3、再発防止・今後の医療向上である
が、3つのうち前2者は過去に目を向けるものであり3つめは将来に向けての話
である。そして機関が果たすべき役割の「真相究明」というのも過去に目を向け
るか、将来に目を向けるかで方法論あるいは言葉の意味さえ変わってしまう。つ
まり、将来に目を向けた場合の「真相」は「今考えればこういうことが可能だ」
となるだろうし過去に目を向けた場合の「真相」は「その時点でその立場の人で
あったらこうなる」になる。厚生労働省において行われてきたモデル事業という
のは将来に目を向けた話であったと私は理解している。しかし、この検討会で立
ち上げる第三者機関というのは過去と将来のどちらかだけ目標とすれば良いとい
うものではなく両方のバランスを取らなければならない。しかし、この大きなバ
ランスを取るのは容易なことではなく機関を作ってしまってから考えなさいと言っ
てできることでもない。さらにもう一つの小さなバランスは責任追及の手法につ
いてである。責任追及には、刑事、民事による損害賠償請求、行政処分がありこ
の3つの方法でうまくバランスを取る必要があるのだが、わが国においては、ど
の分野でも、このバランスは取れていない。世界的に見てもバランスの取れてい
る国は少ない。このバランスを取るのも至難のわざである。この大小二つのバラ
ンスの取り方について検討会で指針を与えてあげる必要がある」

 ちょっと長かったかもしれない。しかしモヤモヤがスッキリとしたのではない
だろうか。

 すかさず前田座長が「過去と将来のどちらかでなく両方必要だが、その両方を
一つの組織で全部カバーすることはできないので、刑事システムなど他のシステ
ムとの並存は検討しなければならない。いずれにしても、中立的第三者機関が欠
けているという点には異論がないということでよろしいですね」と議論を引き取っ
て、元の議題へと戻そうとする。

 本当に両方のバランスを取ることが必要なのか、片方だけではいけないのか、
そこも議論した方が良いとは思うのだが、ここからはずっと樋口委員の意見をベー
スに議論が進んでいく。

 まず境秀人・神奈川県病院事業庁長が「一連のことを全て一つの機関で処理す
るのは、スペクトラムが広すぎると感じている。何が起きたか明らかにするのが
第一であり、その際、古典的解剖で原因解明できるとは限らず、CPC的解析が
行われる必要もある」と述べた。

 次に木下勝之・日本医師会常任理事が続いたのだが、これは正直いただけなかっ
た。「現場の医療サイドから求められているニーズは、医療関連死が刑事事件と
して扱われることに対する歯止めであり、この点について第三者機関に考えてい
ただきたい」と述べたもので、医療関連死を刑事事件に問うことが何を惹き起こ
すのか説明せず、こんなことだけ言えば、やはり医師会は医師の特権を守ろうと
している組織でしかない、と国民から見られても文句は言えない。

 実際、前田座長からも「気持ちは分かるし、制度ができることによって、医師
が安心して踏み出せるというのも大事ではあるが、国民の側から、医師が自分た
ちの聖域を作ろうとしているように見えたらうまくない」と、やんわりたしなめ
られてしまった。

 山口徹・虎の門病院院長が「モデル事業を通じて、第三者機関ができたからと
いってうまくいくとは限らないことを痛切に感じている。近年、多くの病院が医
療安全に取り組むようになったが、その基本は再発防止のため、責任追及をしな
いかわりにヒハリハットなどのインシデント事例を現場から報告させており、第
三者機関でも、再発防止に基本的スタンスを向けていかないと、病院の取り組み
にも大きく影響しかねない」と少し話を補った。木下委員と発言の順番が逆だっ
たら恐らく気にならなかったと思うのだが、やはり医療界の論理が前面に出てい
るような気色悪さは残った。

 何か釈然としない気持ちを児玉安司弁護士の発言が救う。「ここ10年ほどで、
医療界も法曹界も大きく変わった。そのことを互いにシェアしたい。まず医療界
の変化から。2002年の医療法施行規則改正に伴って医療現場では多くの医療
安全に対する取り組みが行われてきた。その代表選手がモデル事業だと思うが、
極めて不完全な医療という分野の特性から、現場に疲弊感が積もっている。よく
真相究明機関として対比される航空機事故調査委員会や海難審判と 医療には二
つの異なる点があると思う。一つは、専門家が何人も集まって真剣にカンファレ
ンスしても、なお分からない、そういうことが多々ある。暗闇の中を手探りで進
むような不完全・不安定・不確実なものが医療であること。もう一つは、例えば
海難審判がプロ対プロの決着であるのに対し、医療がプロ対市民の構図になるこ
と。事実を誰がどこまで定められるのかという問題とあいまって対話の促進が図
られるような機関が必要になる。ついで法曹界の変化を紹介すると 裁判の平均
的審理時間がここ10年ほどで劇的に短くなっている。医療訴訟の平均審理時間
は10年前には40ヶ月だったが現在は全国平均でも26ヶ月になっているし東
京地裁に限れば20ヶ月を切っている。しかも東京地裁での和解率は64%に上
り双方の納得による解決が図られている。また東京地裁の場合、既に1人の鑑定
人による裁断という方式は取られておらず、13大学から3大学3人の鑑定人に
出てもらって、法廷の場でカンファレンスしていただき、その模様を原告・被告
が見ることで納得が得やすくなっている。東京の3弁護士会も合同で1月からA
DRプロジェクトチームを立ち上げており、仲裁センターを足場に近い将来、も
う少し具体的なものを示せると思う。ということで、この検討会でも未来志向型
に関与していきたいものだと考えている」

 前田座長が我が意を得たりという感じで「裁判はまさに責任追及の場で、そち
らでも厚生労働省の望む方向になっているということは、こちらの第三者機関と
すり合わせできるということだろう」と応じた。「厚生労働省の望む方向」とい
う発言は振り付けに従っていることを語るに落ちている感じはするのだが、まあ、
あまり気にしないことにしよう。

 続いて発言したのは、ロハス・メディカルでも大変お世話になっている辻本好
子・コムル理事長。「医療界。法曹界だけでなく患者もずいぶん変わった。昔は
ただただ人を恨むだけだったけれど、最近はどうもそれだけでは済まないという
ことを理解してきている。ただ、では患者・国民が納得できるだけの情報が報告
されているかと言えば決してそんなことはない」。まさに、その通りだと思う。

 高本眞一・東大心臓外科教授が続く。「医療に刑事責任を問うのは、医療の基
本条件と相容れない。悪い結果が出たときには、背後にシステムエラーがあり、
また患者さんの生命力がベースにある。それを誰か1人悪者にするのはおかしい。
誤った時に医療だけが責任を取らされる。裁判官だって誤審するし、警官だって
誤認逮捕するではないか。しかし、それを刑法で裁かれはしない。医療が高度化
・複雑化して学ばねばならないことが増え、ただでさえ現場の医師は大変である。
第三者機関が将来に目を向けるものになることを切に願う」。言っていることは、
ごもっともだし、どうしても言わねばならんと決意を固めてやって来たのだろう。
ただ、これを患者サイドが聞いた時にどう思うか、少々心配だ。

 と思っていたら、豊田郁子・新葛飾病院セーフティーマネージャーが痛烈な一
撃を放つ。医療資格者ではないそうだ。「不幸な結果が出たとき、患者側は過失
があるという立場からスタートしているので、過失がないという前提で関与する
とボタンの掛け違いになる。ボタンを掛け違えた結果、過失があったかなかった
かに関わらず不幸な結果になることを数多く見てきた。患者や家族が再発防止を
願うようになるのは事故からだいぶ時間が経ってからのこと。最愛の人を亡くし
た悲しみを受け止められずに、誰が一体何をしたのかという疑問・不信感を持つ
のは当然であり、その思いに応えるには再発防止目的の第三者機関だけでなく別
のシステムを作って連携することが必要だと思う」

 楠本万里子・日本看護協会常任理事は「キーワードは中立性・公平性だと思う
のだが、今のところ議論が専門性に終始していると思う。その専門性を国民・患
者さんへとつないで調整する役割の人が大切なんだろう。調整看護師の位置づけ
についても議論したいし、諸外国でどのような事例があるのか事務局にも調べて
もらいたい」と述べた。正直、唐突すぎて、この流れの中にどう位置づけたら良
いのか理解できない発言だ。木下委員といい、組織を代表してくると言わなけれ
ばならないことが予め決まっていて、臨機応変にできないということだろうか。

 と、混乱している所へ鮎澤純子・九大医療経営・管理学講座准教授がチャキチャ
キと登場して救われる。「1、第三者機関は患者だけでなく、医療従事者も強く
願っている。現実に日本でもいくつか機関が試験的に動いている。2、第三者機
関ができてからといって、医療機関が丸投げして済むものではない。まずは当事
者がきちんと向き合うことが必要である。第三者機関ができることによって、検
討の方法論などが医療現場へフィードバックされることも期待される。3、検討
しても分からないことは必ず出てくる。分からないということを、どう国民の中
で受け止めるのか、その議論や働きかけも必要である。4、樋口委員の述べた将
来に向けた真相究明機関を持っている国というのは、私見では社会保障制度の整っ
ているところだと思う。医療事故に遭って、その後暮らせなくなるようでは未来
志向になりようがない。原因解明を将来へ向けるためには社会保障制度もセット
で議論する必要があるのでないか」

 「4」は、財源措置を必要とする話なので、厚生労働省からするとイヤな提起
かもしれないが、そりゃそうだと思う人も多いのではないか。

 加藤良夫弁護士は冒頭に少し事務局に質問しているので発言していないのは、
あと2人。座長は、どうやら、全委員にしゃべらせるつもりらしい。ブービーで
登場したのは、山本和彦・一橋大学大学院法学研究科教授。「民事訴訟が専門で
ある。医療訴訟には限界があるとかねてから考えていた。審理機関が短くなった
といっても25ヵ月である。民事訴訟全体では7〜8ヵ月に過ぎないので、やは
り長い。しかも上訴率が40%に上る。この原因は訴訟の場では専門的・中立的
事実解明が行われ難いからで第三者機関でそこが行われれば、その後で仮に訴訟
が起きても早期決着が図られる。また訴訟では権利義務関係の法的確定しかでき
ないので被害者の求めるものを全て拾えるわけではなく、ADRも必要なんだと
思う。それがワークするためにも原因解明機関があって連携することは大切だと
考える」。実際に第三者機関ができたら法律家たちの良い商売のタネになる、と
いうことがいみじくもよく分かる発言である。そうねえ、これから弁護士も増え
るもんねえと思わざるを得ず、この力学で議論が変な方向へ進まないようチェッ
クしておく必要があると思った。

 そしてトリを飾ったのが南砂・読売新聞編集委員。この御仁、多くの厚生労働
省検討会の委員に名を連ねており「御用記者」の言葉がまさにピッタリ当てはま
ると思うが、開いた口が塞がらない迷言で会議をしめくくってくれた。「医療の
持つ不確実性と国民・患者との期待値がズレている現実を感じる。たとえば50
0グラムで産まれた子供が無事退院したという話が、どんな子供でも助けられて
当然となってしまう。最先端の医療が報じられると、それが国民の医療に対する
現状認識になってしまう。そして、そのズレが医療不信の根底にあると思う。た
とえ、どんな組織を作っても期待値と現実とのズレをすり合わせることができな
ければ恐らくうまく機能しないと思う」。

 どこが迷言か。言っていることは全くもって正しい。のではあるが、「あなた
が言うな!」である。国民に誤解させている張本人じゃないか!! マスコミがそ
ういう報道しかしないから、『ロハス・メディカル』のような媒体が存在できる
面もあるので言いたくはないが、「記事を読んで誤解する国民の側に問題がある」
とでも言うつもりだろうか。自分のことは棚に上げてよくもまあ、である。

 とにもかくにも、こうしてピッタリ2時間が経過し散会となった。各委員のキャ
ラクターと主張は大体わかった。さらに組織を作ることには同意であっても、そ
の方向性に関しては千差万別で互いに利害が交錯し、かなりガチンコの激しい議
論になりそうなことも分かった。次回以降も報告していきたい。

 なお、この傍聴記は、ロハス・メディカルブログ(http://lohasmedical.jp
にも掲載されています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

   まぁ、会議なんてだいたいこんなもんで、
それぞれが、自分の立場で自分の都合のいいことしか言わない。
大前提の、
「患者側に十分に理解できて納得のいく説明が出来て、
 ちゃんと医学的に正当性があるかどうかを評価できる機関作り」
が、上手くできればいいのだが・・・。
   なんだか、道のりは遠そうである。




     4月20日 2006
     
結局のところ、カロリー
     言い古されたことだが、今のところ結局はカロリー。
いろんなダイエット方が、提唱されては消えていく。
今話題の低炭水化物ダイエットも、
つまるところは、
カロリー制限ということで落ち着きそうである。

    米農務省およびタフツ大学の研究では、
過体重の人が低炭水化物低糖ダイエットを行ったところ、
1年後の体重の減少度は、
低脂肪高糖ダイエットを行った人たちと
全く同じ(元の体重の8%)であった。
1年間にわたる研究には健康な過体重の男女計34例が参加した。
全ての被験者は
カロリー数を30%減らすようにデザインされた食事を摂取した。
被験者の半数は、
糖分や澱粉質の多い食物を避ける低炭水化物食の低糖食を摂取した。
これらの被験者は
総カロリーの40%を炭水化物から、
30%を脂質から、
30%を蛋白質から摂取した。

その他の被験者は、
味と見た目の美味しさとカロリー数が一致した高糖食を摂取し、
総カロリーの60%を炭水化物から、
20%を脂質から、
20%を蛋白質から摂取した。
すなわち、両群の食事は、
見た目と味では
どちらを食べているか区別は付かない様にしたわけである。

被験者は毎週、
行動サポートグループに参加するとともに、
定期的に栄養士の個人面談を受けた。

食事研究に参加している被験者が
決められた食物をきちんと食べることはめったにないため、
研究の最初の6カ月間は被験者に食物を提供した。
そして、
次の6カ月間に、買物と料理のクラスを受けさせた後に、
被験者に自分の食物を買って調理することを許した。

そして、エネルギー摂取測定値と食物日記からは、
両群の被験者にごまかしがあったことが示された。
しかし、
1年の終了時に、両群とも、同量の体重と同量の体脂肪が減っていた。

低炭水化物食の推奨者は、
低炭水化物食では人々が食べたい物をより多く食べられるので、
こうした食事は継続されやすいと述べている。
確かにこの研究では、
被験者が自分達の食事摂取を最も遵守した最初の3カ月間に、
高糖食摂取群は他群と比べて満足度が低く、非ダイエット食品への欲求が強かった。


しかし、
低糖食群の被験者の方が体重と体脂肪を取り戻しやすいことが認められた。
この知見により、
低カロリー摂取では時間が経つにつれて
低糖食を継続する方が困難になることが示唆された。

この知見は『American Journal of Clinical Nutrition』4月号に掲載。

    結局、どんなダイエットをしたところで、
最終的には、
「摂取カロリーを減らさないことにはうまくいかない。」
ということである。





     4月13日 2006
     昼寝の勧め
     最近、夜の診療前に昼寝をする。
頭が疲れて、そのまま夜の診療をすると、しんどいからだ。
「僕の頭の体力がないのか?」とも思ったが、
おおかたは似たり寄ったりのようだ。
・・・・やっぱり無いのかもしれないが・・・。
とにかく、、世界中では、
シエスタといった午後の睡眠を習慣としている国が多数有る。
    
     ところで、この午後の睡眠だが、
どうやら「心臓死を低減する効果」があるようである。
心疾患のない20才〜86才のギリシャ人男女23681例を対象に
平均6.32年のフォローアップ調査が行われた。
その結果、
1週間に3回以上、1回30分以上の午後の睡眠をとった場合
そうでない場合に較べて、心臓死のリスクは37%低かった。
という研究がアテネ大学から報告された。
Archives of Internal Medicine(2007;167:293-301)

     ゆっくりと生きるのがいいのだろう。
わかっちゃいるけど、ついつい急いで、
いったい、どこに行こうとしてるんだろう?






     4月11日 2006
     
桜が散っちゃうぅ〜
     今年も、桜の季節が来て、「綺麗だなぁ」って思っているうちに
もう、花吹雪が・・・。
「ビシッ」と桜の写真を撮ろうと思っていたのに、
・・・・まだ間に合うけど、行動に移せるかなぁ????
まぁ、毎年こんな風にして過ぎていくんだけど・・・。
それもまた、まったりしてて、いいかなぁ。

     ツバメは、今年も駐車場に来てくれた。
今年は、今月2日には、つがいが来ていた。
ひょっとしたら1日に来ていたのかもしれないが、
1日は日曜なので、確認はしていない。
今では、数組になっている。

     最近、夕方、日が暮れるのが遅くなって、
夕方の薄明るい時間が長くなった。
夕方のうす明るい時間帯って、なんだか気持ちがいい。
朝もいいのだろうけど、
(なんていったって、「春は曙」って言うくらいだから)
朝、そんな時間に起きることがないから・・・・。

    そういえば、いつのまにか、鶯が鳴かなくなった。
朝、けっこううるさかったのだが・・・。
もうすぐ、
「テッペンカケタカ」と聞こえてくるのだろう。

    本当に、季節があっという間にうつろうようになった。
子供の頃は、なかなか時間が経たなかったのに・・・。
大人になるとあっという間に時が過ぎるのは、
体内時計が、子供の頃よりも時を刻むのが遅くなったせいなのだそうだ。

    そういえば、確かに年をとったものだ。
頭の中身は、アホのままなのに・・・。

・・・・というようなわけで、
今日は「大友式ぼけ予測テスト」を。

ほとんど無い  0点
時々ある     1点
頻繁にある   2点

1 無意識に同じ話を繰り返す
2 知っている人の名前が思い出せない
3 もののしまい場所を忘れる
4 漢字を忘れる
5 今しようとしていることを忘れる
6 器具の説明書を読むのを面倒がる
7 理由もないのに気がふさぐ
8 身だしなみに無関心である
9 外出をおっくうがる
10 物(財布など)が見あたらないことを他人のせいにする



合計で
 0〜 8点      正常
 9〜13点      要注意
14〜20点      病的

    僕は、15点だった・・・・・・。
商売柄、知ってる人は、多すぎて名前は覚えていられない。
漢字は、はじめから覚えてないし、
器具の使い方はだいたいわかるから
説明書は、困ったときしか見ない。
身だしなみは最低のことはするけど・・・、
どの程度から「無関心」と言えるんだろう?
昔から外出はおっくうだし・・・・。
 
・・・・こんなテスト、アテにならないんじゃないか!

   すると、
このテストの説明部分に
「1〜6は正常の老化で見られる。」
「7〜10は病的なものに見られる。」 だって・・・・!
さらに、
「物忘れが気になるうちは、あまり心配ない。」
「自分が病的であると自覚しないようになってくると問題」
と書いてあった。

 

   と、とどめを刺された!!!!

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