DIARY
11月28日 2006
ニパウィルス
ニパウイルスはオオコウモリの体内にいるとされる。
ニパウィルスによる最初の患者は98年、マレーシアで発生した。
コウモリがかじった果実をブタが食べて感染し、
このブタに接触したヒトにうつった。
感染すると、頭痛や高熱を出し、
二百数十人のうち約100人が亡くなった。
そして、感染源のブタ約100万頭が処分された。
このニパウィルスを、
日仏の研究チームが人工的に作ることに成功した。
研究チームはウイルスの全遺伝情報(ゲノム)を特殊な方法でつくり、
その鋳型を利用して感染力のあるウイルスを合成した。
そして、実験で自然界とほぼ同じ致死率を持つことを確認した。
ニパウィルスは種を超えて感染する。
コウモリからブタ、ブタからヒトというように・・・。
どうして、このウィルスは種を超えて感染するのか?
この研究の成功によって、解明が一気に進みそうだし、
ワクチンの開発にも役立つだろう。
しかし、
ついに人類は、ウィルスを作り出せるまでになってしまった。
この分野でも、神の領域に足を踏み入れたようで空恐ろしい。
それに、
この技術が悪意のある人間の手に入れば、
簡単に大規模なテロを引き起こせる。
さらにワクチンも作っていたら・・・・、
テロを引き起こして、
その後で巧妙にワクチンを使って、人類の救世主にさえもなれる。
(まるで、「21世紀少年」の筋書きである。)
「神の手」と「悪魔の手」は、まさに表裏一体である。
11月22日 2006
ウニとヒト
ふと気がつけば、もう10日近くサボっていた。
その間に、「与那国」を作ったから、大目に見て頂戴!
と思うのは、生まれ持った甘えの体質・・・・。
意外なことに、
ウニとヒトは結構近い生き物のようだ。
ウニのゲノム解析を行ったところ、
ヒトとウニは、遺伝子数が2万3千個でほぼ同じなのだそうな。
そのうちの70%は、ヒトとウニは共通の遺伝子を持っている。
ヒトとハエでは40%、
チンパンジーとは99%の遺伝子が共通なので、
ウニはハエよりはヒトに近いらしい。
なんだか嬉しいような嬉しくないような・・・・。
ただ、ウニのゲノムの大きさを示す塩基数は
8億1400万対でヒトの4分の1しかなかった。
ひょっとして
僕たちって、ウニから進化したのだろうか?
そういえば、ウニ、食べてないなぁ!
以前、石垣で食べた
ミョウバンで処理されていない取れたてのウニの味が
忘れられませぇ〜ん!
11月13日 2006
砂糖を摂りすぎると膵臓癌のリスクが上がる
最近、おやじの「ぼやき」ばかりで、
たまには医学的なことも書かないと(汗・・・・)。
というわけで、今日は、お砂糖の話。
御飯を食べると、血糖が上がって、
血糖が上がると、膵臓からインシュリンが出て、
血中の糖が細胞内に取り込まれてエネルギーとして使われる。
御飯と同じカロリーの砂糖を食べても同じか?
というと、ちょっと違う。
以前にも書いたがグリセミック指数というものが違う。
血糖の上昇のカーブが急勾配なのである。
スウェーデンの
カロリンスカ研究所の研究チームが発表した研究によると、
糖尿病や癌にかかったことのない45歳以上の男女
約8万人を対象に食習慣を調べた。
このうち、
131人が8年後までに膵臓癌を発症した。
この人達の発症要因を分析したところ、
砂糖の摂取量が危険要因であることが分かった。
例えば
「砂糖を添加したソフトドリンク」を1日2回以上飲む人は
飲まない人に比べて約90%、
「砂糖を入れたコーヒーや紅茶」を1日に5回以上飲む人は
飲まない人に比べ約70%、
「クリームの付いたフルーツ」を1日に1回以上食べる人は
食べない人に比べて約50%、
発症の危険性が高かった。
どうしてなのかはわからないが、
(この研究では、砂糖に限られているが)
砂糖をはじめとする
急激に血糖をあげる(グリセミック指数の高い)食品の摂取が
危険因子なのだと思っている。
僕も甘いものが大好きなのだが、
ほどほどにした方がいいようだ。
そういえば、
ラ・パレットのシュークリーム、しばらく食べてないなぁ!
そうそう、
ラ・パレットがこの夏にしまっていたのは
放火されたせいだったんです。
ご主人もこの時、
2回から飛び降りて、気道のやけどを負って
入院していたのだそうです。
応援してあげるためにも、がんばって食べねば!!!
・・・って、たんに食べたいだけですが・・・。
でも、
あの味が無くなったら、惜しいですもんねぇ!
11月 8日 2006
本音と建て前
四国の腎移植の専門医がやり玉に挙がっている。
みんながさんざん重箱の隅をつついて、
彼を犯罪人に仕立て上げようとしている様に思えてならない。
確かに、責められることは幾つもある。
けど、
彼が岡山弁でとつとつと話すその内容には、
僕は深く共感できる。
煎じ詰めると、
腎不全で透析を受けないと生きていけない人達がいる。
この人達は、
週に3回は透析センターで、1回に3-4時間かけて
血液透析を受けないといけない。
盆も正月も関係がない。
透析の度に、太い針を刺されて透析を受けるわけだが、
血管が痛んできたら、針も上手く入らなくなるし、
血流が悪くて、時間がかかることもある。
さらに、この血管もつぶれてしまって、
再手術も受けないといけない。
透析を受けていない時も、
水やカリウムや蛋白の制限がある。
さらに、
貧血が進行するし、
骨もぼろぼろになってくるし、
顔色はどす黒くなるし、
血圧も変動するし
常に病と向き合って、死と向き合って生きていかないといけない。
そうなった人しかわからない苦しみを抱えて
毎日を生きていくのである。
「出来るものなら何とかしてあげたい。」
医者になった以上は、
そう思うのが当たり前の心情である。
そして、
そこに、手術をして廃棄してしまう腎臓がある。
(摘出しなくていい腎臓を摘出したのなら、問題だけど・・・
何例かは、そうだったのではないかという疑惑がある。)
その腎臓は手直しすれば、
そういった腎不全の人を救える腎臓である。
当然、それをやれば、
必ず非難する人が出てくるのは覚悟の上である。
それでも、彼はそうしたのである。
ただし、これは、彼の本音の部分である。
建て前から言えば、
倫理委員会を通して検討すべきだとか、
安全性が確立されていないだとか
(これに関して言えば、
必要最低限の安全性は確保して手術されたはずである。
腎臓癌の癌の部分を切除した腎臓では「?」ではあるが、
それでも、その先の生存期間の相対的な比較をすれば、
おそらく大きな差はないだろう。)
透明性がないとか、平等ではないとか
あげつらえれば、なんとでも責め立てることが出来る。
公の場で、建て前と本音がぶつかり合ったら、
本音が負けるに決まっている。
数人の義勇軍を、大きな軍隊が責めているようなものだ。
多くの腎不全の患者を、
このような方法で救える可能性があることを
示してくれた彼の功績を評価しないままに、
彼が逮捕されて終わってしまうようなことがあるようなら、
日本の未来は暗いと思うのは、僕だけだろうか?
(今のところは、どこからも彼を庇護する意見は聞こえてこない。)
追記
(11月11日には、彼を擁護する意見も出てきた。)