DIARY

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    3月30日 2005
    
厚労省はどうするんだろう?
    以前、この日記で危険性を指摘していたプロトピックが、
正式に危険であると認定された。

    米国食品医薬品局(FDA)は3月10日、
アトピー性皮膚炎の治療クリーム、「プロトピック」(成分名:タクロリムス)と
「Elidel」(成分名:pimecrolimus、日本では未発売)について、
発癌性を有する可能性があるとして、注意喚起を行った。

  FDAは、医師に対し、プロトピックやElidelについて、
1.他の治療法に無反応だったり不耐性の際に、第2選択薬として使う。
2.2歳未満には承認されておらず、
  長期使用によって幼児や子供の免疫系発達に
  どのような副作用が起きるか不明である。
3.短期間の使用に限る。長期使用に関する安全性は不明である。
4.免疫系が弱かったり、免疫不全の人に対しては使わない。
5.必要最少量を使うこと。
  動物試験によると、使用量の増加に伴い、癌発症リスクも増加している。

    もっとも、これはアメリカの話で、
日本では、厚労省はまだ何もコメントを出していない。
このまま黙っているのか、
何らかのコメントを出して使用制限をするのか、
注目して見守っていくことにしたいが、
これまでそうだったように、多分、・・・・・・。
アトピー性皮膚炎のある人は注意して!
自分の身は自分で守るしかないのが現状だから。





    3月25日 2005
    
ちょっと自慢
    この度、厚生労働省が、
皮下注射する現在のインフルエンザワクチンを約50年ぶりに見直し、
より効果が高い、鼻に噴霧する経鼻ワクチンの開発に乗り出すことを決めた。

 
「皮下注射ワクチンは、
 製造で用いたウイルスと流行したウイルスの型が一致しないと、
 予防効果が減少し「効果に限界がある」(同省)。
それに対して、
経鼻ワクチンは、ウイルスの変異への対応力が高く、
また、最初にウィルスが接触して感染の場となる
鼻やのどの粘膜に直接作用する。
また、体外からの噴霧なので
全身に対しての副作用の程度も頻度も小さいと予想される。


厚労省は、有効性や安全性を調べる研究班を2006年度に発足させ、
3-5年後の実用化を目指すとしている。
 
経鼻ワクチンは鼻やのどの粘膜で、
現行ワクチンでできる抗体とは別のIgA抗体が作られ、
変異したウイルスでも予防できるとの研究報告がある。

現行ワクチンについて、日本小児科学会は昨年
「1歳以上6歳未満では有効率20-30%」とする見解をまとめている。
また、同省の予防接種検討会は今月
「有効性に原理的な限界がある」として、
新ワクチン開発の推進を国に求めた。
 

米国では
ウイルスを弱毒化した経鼻型の生ワクチン(フルミスト)が実用されている。
しかし、生の(生きている)ウィルスであるため、
接種後に体内で突然変異して、強い病原性を発揮する可能性も
(極めて低いけど、)ある。
日本では副作用の恐れが少ない不活化ワクチンを予定している。


   これって、僕が何年も前から提唱して実践してきたこと!
他の医師会員から、「あやしい治療だ。」とか陰口言われながら
肩身の狭い思いをしてきたけど、やっと日の目を見れそうだ。





    3月18日 2005
    
日焼けサロンは皮膚癌のもと
    世界保健機関(WHO)は17日、
日焼けサロンなどで使われている紫外線ランプで人工的に日焼けの状態を作ると、
皮膚がんになる危険が高まるとして、
特に18歳未満の若者は日焼けサロンなどの利用を絶対に避けるよう勧告した。
WHOによると、
世界中で年間13万2000人が皮膚がんの一種である悪性黒色腫にかかり、
6万6000人が皮膚がんで死亡していると推計される。
悪性黒色腫の発生率は
ノルウェーやスウェーデンでは過去45年間で3倍以上、
米国では過去30年間で倍以上になっており、
WHOは日焼けマシンの利用増加が発生率急増の主因とみている。

通常の日焼けが、皮膚癌を増加させるかどうかは、
比べる対象が無く、はっきりしたことはわかっていないが、
オゾン層の破壊による紫外線の増加は、
そのリスクを増やすと考えられているので、
あまり積極的には日焼けしない方がいいと思う。
それに、シミのもとだし・・・。

  そう言えば、僕が行っているコナミスポーツセンターにも
日焼けマシーンがあって、「健康に良い!」などといって、
料金を取って、勧誘しているが、本当にうさんくさい。
他にも、うさんくさいダイエットなどをしょっちゅうやっているが、
インストラクターのねぇちゃんが痩せたところは、いまだにみてない。
とにかく金儲けが第一のところなので、
「スポーツクラブで薦められたから健康的だ。」
とはゆめゆめ思わないように!
三日市駅前ビルのスポーツジムにコナミが入るという噂を聞いたが、
できたら、別のところに決まって欲しいと祈るばかりだ。





    3月11日 2005
    
寝る子は太りにくい?
    どうやら、寝不足は、肥満の誘因になりそうだ。
そんな研究が、健康な男性で行われた。
研究は、アメリカのシカゴ大学で行われた。
健康な男性12名を対象に、
彼らを2日連続して4時間しか睡眠を取らせないようにしたところ、
睡眠不足が続いた晩の翌日は
十分な睡眠を取った夜の翌日よりも
空腹感が強いこと、
睡眠不足後は
特に甘いもの、塩気の多いもの、
パンやパスタのような澱粉を多く含むものをたくさん食べたとのことであった。
 
 睡眠不足が食欲を亢進させる原因を検索するため、
この仕事を報告した研究者らは
研究の対象となった健康な男性の血液を調べた。
この研究の過程で明らかになったことは、
血液中のレプチンの値が4時間の睡眠を2晩続けた後は
同じ人たちが10時間の睡眠を2晩続けた後に比べて18%低く、
一方血中のグレリンの値は
レプチンとは逆に睡眠不足後28%高くなっていた
ということであった。

 注
 (レプチンは脂肪細胞によって作られるホルモンで、脳に働い
 て食欲を下げるように働く。)

 (グレリンは我が国の国立循環器病センターの研究者らによってその
 存在が明らかになったペプチドで、胃の細胞によって作られ食欲を亢進させ
 るように働くことが明らかにされている。)

つまり、結果として、
睡眠不足後の血中レプチン値の低下、
グレリン値の上昇は、
ともに食欲を増進させるように働くことになる。

 おそらく脳の中の睡眠と食欲の両方に直接関係する部分が
睡眠不足によって刺激されて
上記のような
レプチンホルモン、並びにグレリンペプチドの
産生の変化をもたらすのであろうと推定されている。

  最近、先進国では、
肥満が増加し睡眠時間が短縮する傾向がある。
この両者は、密接に関連しているかもしれない。
運動すると、眠りやすくなる。
よく寝ると、食欲は増進しにくい。
つまり、運動とも関連していることになる。
適度な運動をして、十分な睡眠をとることは、
とても大切なことなのだと思う。




  さて、ここでまた皆さんにお願いがあります。
グリーンピースのサイバーアクションのお願いです。
ブルガリアの反原発活動家の身の安全を!
というタイトルのメールが来ました。
以下は、グリーンピースからのメールのコピーです。

2つ、緊急のお知らせがあります。

1. グリーンピース・ブルガリアの活動家の身の安全を!
ブルガリア政府に早急な対応を求める緊急アクション
2. 緊急! 海上パレード&座り込みに参加しませんか?
〜伝説の帆船「虹の戦士号」と辺野古の基地建設問題を世界にアピール!〜


1. グリーンピース・ブルガリアの活動家の身の安全を!
ブルガリア政府に早急な対応を求める緊急アクション

2005年2月28日、グリーンピースの活動家アルビーナ・シメノヴァさん(40)の
自宅に2人の男が現われ、活動を今すぐ止めないと命の保証はない、と脅迫する
事件がありました。シメノヴァさんは、90年代の始めに計画の進んでいたべレネ
原子力発電所の建設中止を求めた市民運動のリーダーであり、1996年には環境問
題のノーベル賞とも呼ばれる「ゴールドマン賞」を受賞した反原発活動家です。

べレネ原子力発電所は、1986年、ブルガリア北部のドナウ川に面した土地に建設
が始められました。しかし、地元から起こった反対運動が全国へと拡がり、2000
年に工事が中断。2001年にブルガリア政府は、地震による危険性が高いこと、そ
して経済性などを理由に建設を中止しました。しかし、2002年の政権交代後、現
パルヴァノフ政権がべレネ原子力発電所計画の再開を発表、以来建設へ向けて準
備が進められようとしています。この動きをいち早く察知したシメノヴァさんを
始め地元の市民は、国内外の環境保護団体へ協力を求め、現在の反対運動を支え
てきました。

今回の脅迫を受けて、シメノヴァさんは、
「これは私の命に対する脅迫というだけではありません。
命と環境を守るため、原子力発電に反対して世界中で活動している多くの人びと
への脅迫とも言えるのです。」
と、現地での深刻な状況を訴えています。(注1)

6歳の息子を抱えて活動を続けるシメノヴァさんは、地元での原子力発電所に反
対する住民の大きな力となってきました。
彼女の身の安全が保証され、このような脅迫が繰り返されないよう、早急な対応
をブルガリア政府へ求めるサイバーアクションに、多くの皆様のご参加をお願い
します。この呼びかけは、グリーンピース・インターナショナル、バンクウォッ
チ、FoEヨーロッパが共同で行っています。(注2)

以下の URL にアクセスすればすぐに署名が送れます。
http://act.greenpeace.org/ams/e?a=1698&s=gen2

ブルガリアの首相、ブルガリア環境大臣、ブルガリア議会議長にメッセージが送
られます。

ぜひご参加ください。また、このサイバーアクションについて、周りの方々へお
知らせ頂ければ幸いです。

2005年3月8日 グリーンピース・インターナショナルのプレスリリース(英語)
http://www.greenpeace.org/international_en/press/release?item_id=776681&campaign_id=

注1:
"This is not only a serious threat against my life," said Simeonova,
"it represents a threat to all who campaign against nuclear plants
trying to protect their lives and the local environment."
Albena Simeonova(Greenpeace Bulgaria)

注2:
参考リンク:
バンクウォッチ http://www.bankwatch.org/press/2005/press8.html
FoE Europe http://www.foeeurope.org/press/2005/MJ_08_March_Bulgaria.htm
世界エネルギー情報サービス http://www.antenna.nl/wise/
_____________________________________________________________

2. 緊急! 海上パレード&座り込みに参加しませんか?
〜伝説の帆船「虹の戦士号」と辺野古の基地建設問題を世界にアピール!〜

明日12日、グリーンピースは辺野古で抗議行動を続ける市民や漁師とともに、キ
ャンペーン船「虹の戦士号」を使用し、この問題を世界にアピールする海上パレー
ドを開催します。

あなたも、「虹の戦士号」を通じて基地建設全面撤回をアピールすることに参加
しませんか?どなたでも参加できますので、お気軽にお越しください。

10日の毎日新聞一面では、辺野古見直しを小泉首相が指示したとも報じられてい
ます。辺野古問題にとって重要なこの時期に、海外にこの問題を広く伝えるチャ
ンスです。

できるだけ多くの方の参加をお待ちしております。
(現場に参加できない方の間接的な参加方法については、メール下部に詳細あり)

日程:  3月12日 (土)
時間:  陸上座り込みの方 10:00集合
     乗船ご希望の方  9:00集合
集合場所:
  沖縄県名護市字辺野古
  陸上座り込みの方 → 辺野古座り込みテント前
  乗船ご希望の方 → 辺野古座り込みテント前
  船をお持ちの方 → 辺野古沖マナル岩前
 *辺野古の現地にいくための交通費などは、すべて参加者個人の
  負担となります。
主催:ヘリ基地反対協議会

  (地図は以下のURL参照)
http://www.mapion.co.jp/c/f?grp=all&uc=1&scl=70000&el=128%2F02%2F06.595&pnf=1&size=500%2C500&nl=26%2F30%2F56.9

その他:
  陸上座り込みは、どなたでも参加できます。船をお持ちの方は、ぜひ海上パ
  レードに参加してください。また、船をお持ちでない方でも人数に限りがあ
  りますがボートに乗船し、海上パレードに参加することができます。現地へ
  の交通費等は自己負担となります。ご了承ください。

連絡先:
グリーンピース・ジャパン 野田 (携帯:080-5088−2912)

*天候により、海上パレードは中止になる可能性もあります。

サイバーアクション「辺野古の海を守ろう〜サンゴ礁の海に米軍基地はいらない」
にもご参加ください。
http://www.greenpeace.or.jp/cyberaction/okinawa/?cyber


特定非営利活動法人 グリーンピース・ジャパン
http://www.greenpeace.or.jp/
〒160-0023 東京都新宿区西新宿8-13-11 N・Fビル2階
電話 03-5338-9800(代表) FAX 03-5338-9817

_____________________________________________________
サイバーアクション・ニュース以前のメールはhttp://greenpeace.or.jp/pipermail/cyberaction-news/2004/date.html


 以上です。
サイバーアクションは、そんなに難しくありませんから、
賛同していただければ、ぜひ、お願いします。




    3月 5日 2005
    
タミフルは危険かも・・・
    昨日、タミフルに関する疑問を日記に書いたところだったが、
今日、TIP誌(薬の正しい情報を提供するNPO発行の雑誌)に、
タミフルに関する記載が載っていた。そこには、
1.タミフルの予防投与は無効。
2.慢性喘息をもつ小児には無効(病気が長引く)。
3.日本でもっとも数の多いA香港型(H3N2)には無効。
4.糖尿病を悪化させる。
という記載があった。

    そして、突然死に関する考察が載っていた。

  もともと、タミフルに関しては、
(珍しいことに)メーカー側から警告が出ていた。
すなわち、
昨年1月2日に、
「1才未満の乳児にはタミフルを投与しないように」
という警告文がアメリカで出され、これは日本にも報道された。
日本のメーカーもこれを受けて、医療関係者に
1才未満児には投与しない様に呼びかけた。

 この警告は、7日齢幼若ラットに、タミフルを1000mg/kg投与すると、
成熟ラットに比べて脳内の薬剤濃度が
約1500倍(ピーク時には約3000倍)に上昇するということが判明したからである。
これを受けて、日本小児科医会は、2月2日に、厚労省に対して、
「1才未満の患児に対して、本当にタミフルを投与してはいけないのか?」
という質問状を出した。
これに対して厚労省は、
「動物実験だけでは、禁忌(使ってはいけない。)
とする十分な根拠にはならない。
安全性・有効性が確立していないこと、
幼若ラットで薬物の脳内への高濃度の移行が確認されたデーターがあること
以上をふまえて、リスクとベネフィットを十分考慮して、かつ、
患児の保護者等に薬剤名、服用方法、効能、特に注意を要する副作用および
本剤の1才未満の患児に対する安全性及び有効性が
確率していないことなどについて、丁寧に説明して、
同意を得た上で、慎重に投与すべき」という趣旨の回答が示された。
(まったく、全面的に現場の医者に責任をおっかぶせているとしか言いようがないが・・・。)

  メーカーが1才未満児にタミフルを投与することは推奨されないとする理由は、
動物実験での死亡は、血液脳関門の未成熟な離乳前の幼若ラットで生じていて、
ヒトでも血液脳関門の未成熟な乳児の暴露量が予測できないことをあげている。
(血液脳関門:血中の物質はすべて脳にそのまま移行するわけではなくて、
         血液脳関門を通して移行するものと、移行しないものがある。
         また、移行するものでも100%移行するわけではない。
         重要な脳を守るための生体の機構の一つ。)

 ここで、昨日の日記では、インフルエンザ脳症の死亡としていたが、
果たして本当にそうだったのか?という疑問が浮かび上がってくる。

  幼若ラットは、タミフルを投与されてどの様に死んだのだろう?
詳細は、省略するが、
1.生後7-14日の幼若ラットが、タミフル1回投与10分〜4時間後に死亡した。
2.死亡は、呼吸抑制の結果と考えられた。
3.呼吸抑制はタミフルの脳内への大量移行のためであることが推察された。
4.ラットが死亡する可能性のある最小用量(500mg/kg)は、
  ヒトの常用量の20倍程度。
5.ラットの生後7日は、ヒトの1才未満。

  ここで、ヒトのインフルエンザにかかって突然死した症例は、どうだったのか?
塩見(昨日の日記参照)は、2002年〜2003年のインフルエンザシーズン中に
睡眠中に急死した小児6例を報告している。
この内の2人に関してインターネットで公開されている
詳細な聞き取り調査がある。

症例1
3才3ヶ月男児(体重13.5kg)。
いままで、インフルエンザにかかったことはない。
12月末午前0時に38.5℃の発熱、翌日も持続したため、
かかりつけの医院受診し、インフルエンザシーズンAと診断された。
タミフルを処方されて午後2時頃帰宅。
この時は、意識明瞭で、通常通り歩行も可能だった。
昼食後にタミフルだけ服用、
ビデオを見ながら入眠したと母親は思った。
母親は、目の届く範囲で家事をして時折様子を見ていたが、
眠ったと判断していた。
午後4時頃、患児は右側を下にした姿勢で、鼻水を流したまま、
呼吸停止状態で発見された。
救急車で病院に運ばれたが、5時15分死亡が確認された。

症例2
2才5ヶ月男児(体重13.5kg)
初めてのインフルエンザ。検査でA型と診断。
午後9時半〜10時にタミフルと処方された他の薬を一回分服用後入眠。
午前0時にいったん覚醒し、再び入眠。
午前6時半に父親が触れたときにはチアノーゼがあり、心肺停止しており、
病院に運ばれたが、死後硬直を起こした状態であった。

死亡したのは、8才の一人を除き、5人が3才以下で、
5人の内4人はタミフルを服用していて、
初回のタミフル服用後に、睡眠中に死亡した。
この4人は、死亡前には異変は気付かれていない。

タミフル服用後に睡眠中に突然死が起これば、
それが1人でもあれば、
重大な有害事象である。
因果関係が明白に否定されない限り、
その可能性を考えておかないといけない。
塩見は、「インフルエンザ脳症が今までにもあった。」と
言っているのであって、今回の突然死がそうなのかどうか?
塩見も、「従来のインフルエンザ脳症になかった新たな病態である。」
と指摘している。

インフルエンザのために、あるいは、軽いインフルエンザ脳症があって、
血液脳関門に障害が起こって、脳内のタミフル濃度が上昇して
呼吸抑制が起こった可能性は十分にある。
タミフルの副作用で亡くなった可能性は、否定できないと思う。


   もう一つ、興味深い話がある。
「初体験のインフルエンザで生涯の免疫が左右されるかもしれない。」
という考えがある。
ここにA1,A2,A3というよく似たインフルエンザウィルスがあるとする。
ある子が生まれて初めて接したウィルスが、A1だとすると、
その子は、A1に対する記憶がもっとも強く刻印され、
その子には、A1に対する抗体が出来る。
そして、その後その子は、A2やA3のインフルエンザにかかったときも
A2やA3の抗体ではなく。A1の抗体を元にA1'を作る。とされている。
この原理は、(初感染)抗原原罪原理と呼ばれている。
もし、ここで、初めて感染したインフルエンザにタミフルを使って、
耐性のウィルスが出たら
(小児では30%に耐性のウィルスが出現していると報告されている。)
(タミフルを使って、病気が長引く時は耐性ウィルスが出現した可能性がある。)
耐性ウィルスに対して弱い免疫しかできない可能性がある。
そうなってしまうと、
将来も様々なウィルスの変異に弱い反応しか起こせなくなる。
つまり、インフルエンザにかかりやすく、
かつ、重症化しやすい子になってしまう。

  これらのことを、合わせて考えたときに、
タミフルは、1才未満の子供はもちろん、
幼児にも、安易に使うべきではないのではないか。
少なくとも、タミフルが安全であると確認されるまでは・・・。

 というわけで、明日から、僕のところでは、
1才以下の子供にはタミフルは使わない。
幼児にも極力使わない。
という姿勢で臨もうと思う。

   しかし、これらのことを、
外来の現場で、上手く簡潔に説明できるんだろうか?
「難しいことを言って、脅かして、薬を出してくれない。」
なんて言われそうだ。
アーァ、これでまた、今まで以上に”変な医者!”って言われそう。




    3月 4日 2005
    
インフルエンザには、タミフルでいいの?
    今、僕のいる診療所では、”インフルエンザ様疾患”が
猛威をふるっている。何故”インフルエンザ様”なのかというと、
ほとんどの人に検査をしないからだ。
だって、検査は痛いし・・・。
それに、ほとんどの人は、発病一日以内に来院される。
「発病48時間以内にタミフルを使わないと、
タミフルの効果が期待できないからだ。」
だけど、発病してしばらく(特に24時間以内)は、
インフルエンザの検査をしてもそんなに陽性率は高くない。
検査が陰性でも、そのうちの22%は間違いで、
やはりインフルエンザであるという報告がある。
ということは、検査して結果が陰性でも、
インフルエンザだと思ったらインフルエンザの治療をすることになる。
つまり、検査の結果が陽性でも陰性でも、
インフルエンザと診断したときには
インフルエンザの治療をすることになる。
では、何を根拠にそう診断するのか?
というと、発病の経過、感染の機会の有無、潜伏期、身体所見が
その主なものになる。
どうしても、感染性胃腸炎などの疾患が除外しにくい時だけ検査する。

   そして、インフルエンザと診断したら、タミフルかリレンザという
抗ウィルス剤を使う。
だけど、なんだか変だ?
日本中タミフルを使っている。
一昨年は、世界中のタミフルの、
実に70%が日本で使われた。
本当にこれでいいのだろうか?
喘息患者にタミフルを使うと病気が長引くという報告があるが、
実際に喘息の人に、
「あなたは喘息があるから、タミフルを使うと病気が長引くから、
 タミフルは使わないね!」
なんて言って、許してもらえるわけがない。
「そんな報告があるんだけど、やっぱり使う?」と聞くと
100%「使う!」という返事が返ってくる。
かくいう僕も、(たまに喘息が出るんだけど、)
やっぱり、リレンザを使った。

   今年は、タミフルに耐性を持つインフルエンザ患者が多くいた様に思う。
5人に一人は、「効いてないなぁ・・・」と思う。
実際、乳幼児では、30%に耐性が出来ているという報告がある。
小児の臨床試験では、タミフルを使った方がプラセボ(偽薬)より
むしろ治りが悪いというデーターさえある。

   「インフルエンザ脳症になるのが怖くてタミフルを使う。」
ということも、果たして正しいのかどうか?
2002-03年の冬に
インフルエンザに感染した子どもの一部に起きるインフルエンザ脳症の中に、
意識障害などの神経症状が出る前に子どもが突然死したケースが
大阪府で6例あったことが厚生労働省研究班の調査で分かった。
研究班メンバーの
塩見正司(しおみ・まさし)大阪市立総合医療センター小児救急科部長によると、
大阪府内で1-8歳の子ども6人がインフルエンザ発症後すぐに、
寝ている間に突然死した。
子どもには事前に脳症をうかがわせるような異常はなく、
うち3人を解剖すると脳が腫れていた。
6人のうち4人はタミフルを飲んでいたが、
塩見部長は「タミフルの発売前にも症例があり、
 タミフルが原因ではないだろう」と話している。
しかし、タミフルで死亡が防げなかったこともたしかだ。

   世界の医療とかけ離れた日本の医療が、
(今回のこういうことが、
日本の医療の特徴をある意味端的に表しているように思うが・・・。)
はたして、どこにたどり着くことやら・・・。
僕は、何も出来ないで、それどころか、片棒を担ぎながら、
心配して見守っていくしかないのだろうか。

   一番確からしいことは、

不用意に解熱剤を使わないこと!

である。

  発熱は生体の大切な防御反応だからである。
どうしても使うのならアセトアミノフェンだけ!
(商品名はいろいろ、カロナール、アンヒバ、アルピニーなどが有名)

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