DIARY

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    11月30日 2004
    
高橋晄正さん 
    僕は、この方の名前を、先日のビジランスセミナーで初めて知った。
もちろんお顔も知らない。
この11月3日に86才でお亡くなりになった。

    僕の医者としての原点の一つは、
「患者あるいは自分を頼って受診された健常者に、害をなさない事。」
である。
この原点を教えてくれたのは、ビジランスセミナーの浜さんであるが、
その大先輩の先生が高橋晄正さんである。
そんなわけで、お顔も知らないけれども、僕にとっては大恩師になる。

    先日のフッ素の害についても、
最初に告発されたのは、高橋晄正さん である。
他にも、スモン、筋短縮症、薬害、食品公害、大衆薬など
様々な薬害や医者の害を告発された。

     「反骨、頑固、正義感」。
周囲が口をそろえる黒ぶちメガネの医学者は、
製薬会社や食品メーカー、厚生官僚らにとってどれほど疎ましい存在に映っただろう。

      海軍の軍医から東大医学部に復帰。
製薬会社が有名学者を抱え込み、新薬で金もうけに走る状況を目の当たりにした。

従軍前の医局時代に出会った「推測統計学」を使い、
医療や薬の効果を検証することを決意。
1971年に市民団体「薬を監視する国民運動の会」を結成し、
機関誌「薬のひろば」で数々の薬や食品添加物の効能を否定し、副作用を指摘した。

「科学に基づく限り、企業も反論できない」。
周囲の心配をよそにそう言い切る姿を、
活動を共にした内田剛弘(うちだ・たけひろ)弁護士(73)は
「正々堂々の闘いだった」と振り返る。

     73年、講演先の山梨県で
「子どもが足を引きずっている」と母親が訴えると、
学園紛争の余韻が残る母校から若手医師を呼び集め、集団検診を実施。
全国で筋短縮症の患者が数千人に上ることを突き止めた。
国民皆保険制度が実現し、筋肉注射による治療が急速に普及した結果だった。

    「世界中の文献を丹念に分析し、一体、寝る間があるのかと心配になった」
と被害者で作る全国協議会事務局長の由井格(ゆい・いたる)さん(70)は追想する。。
共に歯科医療でのフッ素使用に反対した歯科医の秋庭賢司(あきにわ・けんじ)さん(55)は
「『それでも地球は回っている』と純粋に科学の真実を追究したガリレオのようだった」と語った。
出世とは無縁。講師止まりの人生だった。

    心から、ご冥福をお祈りします。






     11月29日 2004
     
過剰診断
     先日、「国立がんセンターで癌検診をすると、30%の人に癌が見つかった。」
という記事を読んだ。
きっと、みんなが
「それじゃあ、他のところでは見つからないような癌を、
 国立がんセンターで検診を受けて、早い内に見つけて、早期に治療しよう。」
と思うに違いない。
本当にそれで良いのだろうか?
僕には、
みつけなくてもいいような癌を無理矢理に見つけている。」ように思える。
例えば、前立腺癌は50才以上の男性には30%以上存在する。
じゃあ、
50才以上の男性は、実際に30%の人が前立腺癌の治療を受けているのか?
というと、否である。
そして、50才以上の男性の30%が前立腺癌に苦しんでいる話も聞いたことがない。
ようするに、
癌はあっても、何もしないで共存しているのである。
「それを無理矢理に探し出してきて、どうするの?」と言いたい。
誰でも、「あなたには癌があります。」と宣言されれば、平常ではいられない。
「なんとか癌から逃れたい。」と思うだろう。
そして、手術や抗ガン剤のお世話になることになる。
知らなければ、何事もなく、平和な気持ちで何年も生きていけたのに、
手術や、術後の合併症や、抗ガン剤の副作用や、
再発の恐怖に苦しめられる日々を送ることを余儀なくされてしまうのである。
なのに、その医者は、
「よくぞ見つけてくださった。あなたは名医だ!」と感謝される。
何か間違っている。
僕に言わせれば、
見つけなくても良い癌は見つけないでおくのが名医である。

最新の設備の元に、PET検査をおこない、ヘリカルCTを行えば、
確かに30%位は癌が出てくるだろう。
今や、ヘリカルCTは5mm以下の癌も検出できるようになっている。
その気になって探せば、やぶ医者だって癌は見つけられる時代なのだ。
この先は、過剰診断が社会問題になってくるのだろうが、
当分の間は、
「よくぞ見つけてくださった!」が優先する時代が続きそうだ。 

だって、
その医者は感謝されることはあっても、非難されることはない。
癌がなくても、「よくぞ、詳しく診てくださった。これで安心した。」
とやはり感謝される。 
ようするに、医者側に反省する機会は無いのである。

そして、患者側も、「早期発見、早期治療」の名の元に、
この現状をありがたく思う風潮がある。
マスコミも、批判する気配は全くない。

しかし、「
本当にそれで良いというわけではない!
ということも知ってもらいたいと思う。








     11月24日 2004
     
フッ素の続きとおまけ
     昨日ダイエーの歯磨き売り場で、練り歯磨きを調査した。
おそろしいことにほとんどの練り歯磨きにフッ素が入っていた。
フッ化ナトリウムとかモノフルオロナトリウムという名前のものがそうだ。
僕がざっと見た限り、ザクトとエチケットライオンは入ってないと思う。
老眼で細かい字を見たので、自信がないけど・・・。
しかし、まぁ、驚くべき事にほとんどの練り歯磨きには
フッ素が入っていた。

     考えてみると、フッ素コートのフライパンも
年数を経るとフッ素が取れて焦げ付きやすくなるけど、
あの取れたフッ素はどこに行ってしまったのだろう?
たぶん間違いなく、我々のおなかに治まったんだろう。
怖い話である。
家内は嫌がっているが、鉄鍋が良いと思う。
実は、僕は錦見鋳造の- 魔法のフライパンを
今年の8月はじめに注文した。
どうしても、プロ仕様の鉄鍋が欲しかったのだ。
鉄鍋は、手入れが大変で、重いのが欠点なのだそうだが、
このフライパンはそうではない”らしい”。
”らしい”というのは、まだ使ってないからわからないのだ。
僕が注文したのは中華鍋だが、
手にはいるのは来年の11月の予定である。
予約がいっぱいで、製造が追いつかないのだ。
フライパンが26cmで10500円(他にもサイズがある。)
伝統の尾張鉄器を品質改良して作った手作りの鍋である。
しかし、まだ1年待ちである。

      おまけ。
      ダイエットには、低脂肪食よりも水分の多い食事のほうが有効のようだ。
ランダム化比較対照試験では、
エネルギー密度を下げると体重減少が促進された 。

食物のエネルギー密度を低下させることを基本にしたプログラムを実施した群では、
6カ月の区切りまでに体重が9.4 kg減った。
対照群でも体重は減ったが、それほど有意ではなく、同時点で6.7 kgの減量であった。

低エネルギー密度食群に対してはその代わりに、
果物、野菜、豆類、全粒粉、汁物、繊維が多い
低脂肪の食物を食べるように明確な指示を与えた。
その際、食べる分量は問題にしなかった。

それに対して、低脂肪群には食べる分量を抑え脂肪を控えるように指示した。
このコホートも体重は減少したが、4カ月目以降はエネルギー密度群が先を行くようになった。

6カ月のデータでは、
両群とも1日あたりのエネルギーのうち28%を脂肪から摂取していたが、
摂取した食物の平均エネルギー密度は低エネルギー密度群のほうが小さく、
それぞれ 1.18 kcal/g と 1.44 kcal/gであった。
果物や野菜を食べる量も、減量がより成功した低エネルギー密度食群のほうが多く、
それぞれ1日あたり5.1回分と3.5回分であった。

ダイエット実践者が摂取カロリーを増やさずに分量を多く食べることができることが、
低エネルギー密度食の根拠の一つである。
「低エネルギー密度食群の女性は、
低脂肪食群の女性に比べて有意に多くの量の食物を食べることができた」
そのために低エネルギー密度食群の女性は空腹を感じることが少なかったと考えられる。

要するに、野菜や果物、豆腐や汁物など水分が多い食事をした方が
おなかがいっぱいになって摂取カロリーは少ないから痩せられるという
考えてみれば当たり前の話。
当たり前だけに、説得力はあるように思う。
患者の食事指導にも使えそうだ。







     11月22日 2004
     
やっぱり怖いフッ素
     この週末は、ビジランスセミナーに出席した。
このセミナーは、今までも書いてきたが、
医者ばかりではなく、薬剤師も看護師も患者も一般市民も
オープンに参加できる。
言葉も、出来るだけ、専門用語は使わないし、
市民の方の発言も活発に行われて、
主催者側も、市民の方の発言大歓迎でとても楽しい。
出席されたら、きっと、
今の医療のいろんなおかしなところがたくさん見えてくるし、
常識と思っていた医療が、
とんでもない間違いであることに愕然とすると思う。
(もっとも、僕は、先週の土日は、市民健康フェアでつぶれて、
この2週間土日無しでげんなりである。)
・・・・と、ぼやきはこのくらいにして。
この会は、いつもいろんな事を教えられる。
近いうちにその内容をいくつか、お披露目したいと思う。
今回は、緊急に
ランチョンセミナー(メシを食いながらお話しする会)が開かれて、
予定の議題に追加で「フッ素」の話が取り上げられた。


    最初に、フッ素がどうして体に悪いのか?
フッ素は細胞膜の受容体部分に結合して細胞毒として作用する。
知覚過敏の歯に塗ると知覚過敏が消失するのは、
この細胞毒のために知覚神経がダメージを受けるからだ。
ちなみに正露丸も知覚過敏に効く。
(正露丸も細胞毒だからだ。危険である。)
長期的には、25年間水道水にフッ素を添加した場合、
そうしなかった地域に比較して、25年間で10%癌が増える。
10%は多くないように思えるだろうが、
分母が巨大であるから実数は多い。
この説が間違いである可能性は、0.0044。
すなわち、1万回に44回、(約千回に5回)であるから、
ほぼ正しいと考えて良いだろう。
日本でも、水道水に添加しようとする試みが今でもあるが、
とんでもない話である。

    また、歯科医院で行われるフッ素洗口の危険についても話があった。
子供はどうしても飲み込んでしまうので、止めるべきだという話であった。
子供は飲み込んでしまうので、
水道水に添加する以上に危険である可能性があるようだ。
確かに、フッ素は、虫歯を減少させることが出来る。
相対危険度で26%減らすことが出来る。
虫歯が10本あれば、7.4本に減らせるわけだが、
最近の子供は虫歯は多くない。
2本の虫歯なら、約1.5本にしか減らすことは出来ないのだ。
危険の大きさが勝っていると思う。

    フッ素は歯磨きにも入っている。
モノフルオロナトリウムという名前があれば、フッ素入りである。
このフッ素添加は、効果は10%未満であり、
結局は、害だけあると考えて良い。

    こんな話を聞いて、家に帰ってフライパンを握ったら、
これもフッ素加工だった。
フライパンも歯磨きも、交換する必要がありそうだ。

   だけど、問題は、
フッ素がいつまでも規制されないままに
歯磨きにもフライパンにも、歯科医療にも
何の疑問も無しに使われていることである。
問題が提起されても、何か重大な事故でも起こらない限り、
行政は動かないのだろう。
残念ながら、まだ当分は、
自分の身は自分で守るしかないのだろう。






      11月19日 2004
      
コエンザイムQ10
      コエンザイムとは、補酵素の事である。
最近、「コエンザイムQ10」が入った化粧品などが大モテだ。
もともと体内のあらゆる細胞にあり、
細胞を活性化させてエネルギー代謝を促進、
抗酸化作用もあるということで、若返り効果があると宣伝されている。
20歳をピークに減少する。
「補うことで小じわが目立たなくなった」
「疲れにくくなった」などの報告もあるのだそうだ。
(絶対に嘘だと思うけど・・・。)

      昔、大学病院にいるときに白血病の治療に
ダウノマイシンという抗ガン剤を使った。
この抗ガン剤は心筋にもダメージを与えるので、
この「コエンザイムQ10」が心筋の保護に役立つ可能性があるということで
大量に使ったことがある。
もともと、副作用はほとんどない薬品なのでとても使いやすかったためである。
本来は、ノイキノンという心不全の治療薬である。

     効いているのか効いてないのかよくわからない薬だった。
数年前に、やはり同じ疑問が持たれたようで、
効果について大々的に検討された事がある。
結果は、「効いていない!」というものであった。

    だから、今こんなにヒットしているのがどうも信じられない。
副作用のほとんどないものなので、どうでも良いけど、
世の中、訳のわからんものを担ぎ出してきて、
いろんな効用を並べて、上手く商売する奴がいるものだと
つくづく感心してしまう。
高い金出して買うほどのものでは、決してないので、
お気を付けあそばせ!











     11月15日 2004
     
よく効く薬
     よく、他の病院で治療を受けている患者さんが
紹介されて僕のところに受診される。
その時に、現在どんな薬をもらっているかを確認する。
ほぼ全員が胃薬をもらって飲んでいる。
それも、よく効く胃薬を大量に!
胃薬といっても、最近の胃薬は、やたらよく効くものが多い。
「他の薬を飲むから、胃が荒れないように胃薬も飲む。」
という約束事を、患者側も医者側も盲目的に実行しているのだろうか?

     考えてみたら、数年前までは、僕のところでも、
抗生剤など何か薬を出すと
「先生、私、”胃が弱い”から、胃薬も出しておいて!」
と言う患者さんが多かった。
僕は、そのたびに(きっと嫌そうな顔をして)
「抗生剤でそんなに胃は荒れませんよ。
おなかの、細菌のバランスが崩れるから、
下痢はあるかもしれないけど・・・、
でも、どうしてもというなら出しとくね。」
と言ってなるべくあんまり効かない胃薬を出していた。
最近は、みんなあきらめたのか、
それとも、そういう要求をする患者さんたちは
僕を見限って他の医者に鞍替えしたのか、
めっきりそんな要求をされなくなった。
(そういえば、患者さん減ったかな?)

     どうして、「胃薬を出すのがいやなのか?」というと、
「訳もなく薬を飲むのは、やっぱり変でしょ?」ということである。
確かに、胃薬を飲むと、胃が楽に感じる。
食欲も出るし、食事も美味しく食べられるかもしれない。
だけど、毎日そうなるために
毎日、胃薬を飲み続ける必要があるのだろうか?
胃が痛くなるのは、体が何らかの異常に対して、
サインを出しているからだ。
暴飲暴食の翌日に食欲がないのは、
「胃が休ませて!」と言っているのだ。
胃薬を飲むよりは胃を休ませることが必要なのだ。

体の言うことは聞くに超したことはない。

そのサインを「ただ胃薬を飲む」ということで、
無視していいのだろうか?
良いわけがない!
軽い胃炎だったら、それで解決するかもしれない。
しかし、他の原因は、そのままマスクされて進行することになる。

     よく効く胃薬はさらに、胃の酸の分泌を抑えてしまう。
驚くべき事に、H2ブロッカーといわれる薬は薬局で買える。
もっとよく効くプロトンポンプ阻害剤(PPI)は、
まだ薬局では買えないが・・・。
H2ブロッカーは、当たり前のように、
病院で薬をもらっている人はみんなが飲んでいる。
ガスター・ザンタック・タガメットなどが有名だけど、
星の数ほど種類がある。

     はたして、「胃酸の分泌を抑える。」ということは、
良いことなんだろうか?
その昔、「胃潰瘍は、胃酸の分泌(攻撃因子)と
胃粘膜を胃酸から守るために
胃の粘膜から分泌される粘液(防御因子)のバランスが崩れると発症する。」
と教科書に書いてあったような気がする。
(不勉強な僕は、あまり教科書を開かなかったので自信がない。
 友達のノートのコピーを熱心に勉強していたもので・・・。
  正確には「友達のノートに書いてあった。」が正しい。)
(本当に友達というのはありがたい!
 でも、僕はあまり逆貢献はしてないので、
 大変に申し訳なく思っている。 って話がそれてる。)

      そもそも、なんで胃から塩酸が出てるの?
自分自身も溶かしちゃうような塩酸を
無理してバリアーを作りながら出しているのは
それなりの理由があるからである。
胃酸は、食物を消化する機能もあるが、
細菌など外界から変なものが入ってこないように
そこで処理する機能もあるのだ。
確かに、現代は、食品は少し古くなると廃棄されるし、
冷蔵庫はあるし、加熱殺菌も出来る。
しかし、「それは頻度が圧倒的に減っただけのことではないか?」
と思っていたら、やっぱり!

     米国医師会誌「JAMA」10月27日号掲載のオランダでの研究で、
胸焼けを緩和する酸分泌抑制薬(制酸薬)の長期服用で
肺炎の発症リスクが高まることが判明した。
それによると、
36万4000人を超えるオランダの国民健康保険加入者を対象とした研究で、
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の長期服用者で
肺炎リスクが2倍近く高まり、
また、H2ブロッカー服用者のリスクは3分の2近く上昇していた。
研究者でナイメーヘン大学医療センターの疫学者Robert J. F. Laheij氏は、
その理由として、酸の減少による胃内の生菌数増加を挙げている。
また、他の研究では、インフルエンザや気管支炎などの気道感染の増加も報告されている。

      胃薬と侮るなかれ!
よく効く薬は”それなりの何か”も持ち合わせている事が多いのだ。










    11月10日 2004
    
抗生剤の皮内反応
    南花台は、街路樹の銀杏の葉が黄色くなって、
多くは、鮮やかな黄色になってきました。
団地の桜の葉も赤くなって、           
道沿いの黄色の銀杏と紅葉の桜で、
2列のコントラストがとても綺麗です。



  少し前に厚労省が、
ペニシリンやセフェム剤の
”抗生物質皮内テスト”の義務付けを廃止する添付文書の改定を行いました。
これによって、抗生物質の点滴や注射をする前に
”抗生物質皮内テスト”をしなくなった先生が増えたと思います。
(*抗生剤の皮内反応とは*
抗生剤の注射でアナフィラキシーが出現することがあるので、
事前に抗生剤の薄い溶液を少量、
皮内に注射(ツベルクリンの時のマメ注射と同じ)して、
アレルギーがあれば、赤く腫れることが多いので、それを確認する行為。)
(アナフィラキシー反応とは、その物質に過剰に体の免疫系が反応して、
 皮膚の発赤、かゆみ、気管支粘膜の腫脹(咳・呼吸困難)が出現して、
 最悪の場合はショックになって死に至ることもある反応)
しかし、
この厚労省の”抗生物質皮内テスト廃止”の根拠は極めて薄弱です。
厚労省の”抗生物質皮内テスト廃止”の根拠は、
日本化学療法学会の廃止の提言です。
この提言では、(細かく書くと大変なので、おおざっぱに)
1.有用性のエビデンスがない。
2.皮内テストがアナフィラキシーを予知しているとは言い難い事実。
 a. 皮内テストを実施していない米国より日本の方が高頻度。
 b. 皮内テストを実施していないバンコマイシンと、
   実施しているセフェム剤が同程度。
3.真のアナフィラキシーより、皮内テスト陽性者が圧倒的に多い。
  よって「患者に必要な抗菌剤が使えない。」という不利益がある
  との認識をしている医師が多い。
というものです。 
もともと、この動きのきっかけになったのは、
シプロフロキサシンという注射が2000年に承認されて、
この注射の皮内反応で非特異的な陽性例が多く出たため、
皮内反応廃止の動きが起こり始めたものと思われます。
(非特異的な陽性とは、
 アナフィラキシーが出現するわけではないのに、
 陽性(皮膚が赤く腫れる)反応) 
しかし、 
1.のエビデンスに関しては、
 皮内テストの”感度”(アナフィラキシーが出現する患者で皮内反応が陽性になる確率)と
 ”特異度”(皮内反応が陽性の場合に、アナフィラキシーが出現する確率)に関するエビ
  デンスを調べていない。
  つまり、「エビデンスがない。」と言っているそのエビデンスがないのです。
2.皮内テストをしても米国より高頻度なら、
  止めればもっと高頻度になる可能性がある。
  (米国でも、皮内テスト無しで1万人中3.2人がアナフィラキシーを起こした
  が、皮内テストを実施するようになってからは13194人に実施してアナフィ
  ラキシーを起こしたのは0人であった。というデーターがあります。)
  バンコマイシンも同様です。
3.あえて危険を冒すより安全な多剤に変更すべき。
なのです。

要するに、
「皮内テストで陽性程度が強くなるほど、害反応の出現頻度は高い。」
と言うことです。    

私のところでは、(月に一回も抗生物質の点滴はしませんが、)
皮内反応は従来通り実施しようと思います。  

   また、厚労省が
新たな薬害を作ろうとしているとしか言いようがありません。

   以上のようなことを、あれこれと議論する
JIPセミナーがきたる
11月20日(土) 13:00〜19:00
    21日(日)  9:30〜16:45 に
此花区の此花会館であります。
環状線西九条駅から徒歩3分です。
会費は1日2000円、2日3000円です。  
興味のある方は是非ご連絡ください。
一緒に参加しましょう!
例えば、「インフルエンザワクチンを打たない。
      タミフルもやたらに使わない。」
という考え方もあることに気づくのも必要なことかもしれません。 







     11月 8日 2004
     
ディープ インパクト
     昨日は、ディープ インパクトを途中から観た。
以前もやっていたのを途中から観たので、毎回途中からしか知らない。
この映画では、小惑星が地球に衝突して、
惑星の衝突で、地球はほとんど壊滅状態になる。
生命もほとんど死に絶えてしまう。
この衝突を回避するために、いろんな事が行われる。
最悪の場合も想定して、
”ノアの箱船”の様に、地下都市を建設して、
選ばれた人たちと抽選で選ばれた人たちはそこに避難する。
というものだ。
もし、そうなったら、僕は、51才なので、
(50才以上の人は限られた人達しか選ばれない。)
地下都市には連れて行ってもらえなくて、そのまま死ぬことになりそうだ。
僕としては、そうなったら、それでかまわないが、
逆に、地下都市に連れて行ってもらえるようになった時は、
かなり悩みそうな気がする。
映画の一場面でもあったけど、
赤ちゃんを連れた母親なんかが、そばにいようものなら
思わず”勢いで”席を譲っちゃうことだってあるかもしれない。
逆に譲らなかったときの、後ろめたさも相当なものだろう。

     最近、こうした「小惑星が地球に衝突する。」
といった報道が増えてきた。
小惑星を発見する機器がどんどん精密になっているためだ。
そして、そうした小惑星の危険性を判断するプロセスは現在、
ウェブ上で一般に公開されている。

    1998年に発見された地球近傍小惑星はわずか400個ほどだった。
昨年は、リンカーン望遠鏡のおかげで、発見数は1800近くまで増えた。
今年はもっと増えるはずだ。
カリフォルニア州にある由緒あるパロマー山天文台が小惑星の追跡に加わったためだ。
パロマー山天文台は、晴れた夜には数千もの小惑星を発見する。
そのうち、5〜6個は地球近傍小惑星だ。
これら小惑星の情報は
ハーバード・スミソニアン研究所のスパー氏のチームに送られる。
スパー氏は、新月の夜にはさまざまなソースから何百という単位で、
地球近傍小惑星と思われる天体に関する報告を受ける。
スパー氏はこれら宇宙の岩塊の動きを暫定的に予測する。
この計算から、その動きが地球近傍の小惑星のようであれば、
予測結果は『地球近傍天体確認ページ』というウェブサイトに載せられる。

    その結果はまた、
米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所が運営する
ウェブ・ベースのシステム『セントリー』にも送られる。
このシステムは地球近傍の小惑星に関する情報の貯蔵庫の役割を果たしている。
今年3月に稼動したセントリーの目的は、世界中の天文台が、
これら地球に衝突する危険性のある小惑星に関して、
実際の観測とこれらデータの確認とを詳しく行ない、
より明確な予測を出せるようにすることにある。

     「かつて大きな小惑星が地球に衝突したことがある。
再び衝突するのはいわば時間の問題だ。
それが何年先なのか、何十年先なのか、何百万年先のことなのか?
誰にもわからない」。
NASAのプレスリリースにはこのように書かれている。

地球環境に重大な影響を与える隕石は、
6500万年前に落下して恐竜を滅ぼし(日本語版記事)、それが最後となっている。

    ちなみに、最近読んだ論文では、
恐竜たちは、衝突の後の塵の雲のために
太陽の光が届かなくなって死んでいったのではなくて、
衝突による大爆発の熱(200度を超える熱が数日続いたようだ。)で
短時間で死滅したようだ。
地表の生きとし生けるものは、みんな”レンジでチン”状態だったのだ。

    しかし、最近の研究では、
小都市ほどの大きさのこうした物体が
地球に衝突するのは1億年に1度だと考えられている。
もちろん、実際に衝突した場合の被害は甚大で、
その影響は、婉曲的に「進化のリセット」と表現されている。
一方で、フットボール競技場くらいの大きさの小惑星か彗星が
シベリアのトゥングースカ川上空の大気圏に突入して爆発してから、
まだ100年もたっていない。
この爆発の威力は広島を壊滅させた原爆よりずっと大きかった。
この地域は人が住んでいなかったため、
トゥングースカの爆発の被害を受けたのは、主に樹木や野生動物だった。
トゥングースカ級の衝突が起こるのは250年に1度だと推測されている。

      しかし、宇宙の営みからみると、人類が地球で生息している事は
塵みたいなもので、
小惑星がドカンと来たら、地球上の人類はどうなる事やらわからないし、
それを何とも出来ないのが現実なんだから、
本当に諸行無常を思い知らされてしまう。
・・・・って秋だからそう思うのかなぁ?






     11月 5日 2004
     
癌検診
     最近、癌の末期状態に関することで相談を受ける機会が増えた。
僕が診ていた人達ではないのだが、状況は深刻で
本人も家族も大変な状態であるから、
出来る限りの助言をするようにしている。

     しかし、「絶対に癌にならない方法」は無いし、
「癌になっても早期に発見して、癌で死なないですむ方法」も、確立はされていない。
逆に、
「もし、そんなことが現実になったら、本当にいいんだろうか?」
なんて、罰当たりなことも考えてしまう。
僕はよく、「癌」と「鮫」のことを思うことがある。
癌は、一般に忌み嫌われて、誰もが「なりたくない。」と考えている。
鮫も、一般に忌み嫌われて、「海の中で出会いたくない。」と考えられている。
でも、ほどほどに年をとって、人生もう充分生きて、退屈してきたときには、
適当なところで終止符を打つには、そんなに悪くないものかもしれない。
と考える人もいるのではないだろうか?
鮫も、我々ダイバーは、襲われたくはないけど、
出会えるとラッキーである。
(ホオジロやタイガーシャークは、アンラッキーかも・・・。)

     さて、そんな罰当たりなことを言っていては、
医者のホームページであるまじき事なのだろうから、
「癌の早期発見をどうしようか?」
ということについて私見を述べてみたい。

     よく、「血液の検査で癌がわからないのか?」という質問を受ける。
答えは、「わかるときもあるけど、わからないときもある。」である。
「そんなの、答えになってない。」といわれそうだ。
以下に理由を述べる。
1つは、血液を採っても、
ある特定の癌を疑って、その癌に特異的なマーカーを
検査屋に調べるようにオーダーしないと検査はされない。
つまり、その癌を疑って調べなければ、わからないのである。
「では、片っ端から、癌のマーカーを調べたらいいではないか!」
という意見が出るだろう。
それは、癌のマーカーは種類が無数にあって、
すべて調べたら、費用が莫大になるし、
それに見合うだけのメリットがないので、
そんなことはしないのが普通である。
どうしてメリットがないかというと、
多くの腫瘍マーカーは、
1.癌があっても、かなり進行しないと陽性になりにくい。
2.癌があっても、(進行していても)陽性になるとは限らない。
つまり、感度(その癌があると陽性になる確率)が低い。
また、
3.陽性でも、癌でないこともある。
4.陽性でも、どこの癌かわからないことがある。
つまり、特異度(陽性の場合にその癌がある確率)も低いからである。

中には、前立腺癌のマーカー(PSA)の様に、
比較的感度(前立腺癌があるときに陽性になる確立)も
特異度(陽性であるときに前立腺癌がある確立)も
いいものもあるが、これは例外といってもいい。
もう少しすると、HIAA(?たしかこんな名前だった)
という腫瘍マーカーが開発途上で、
(このマーカーは全身のどこかに癌があると
癌の種類や部位はわからないが、高い確率で陽性になるらしい。)
一般に使えるようになるみたいだ。
これが陽性だと、PETやその他の手段を使って癌を探すことになる。

      PETは、最近脚光を浴びてきた。
一回の検査で、全身のどこかに癌があると、検出してくれる。
もっとも、胃や肺、腎臓など、PETが苦手な部位もあるし、
PETの感度では検出しきれない小さな癌もある。

     全身CTは、
もし、CTの依頼票に”全身”なんてオーダーしたら
放射線科の技師に怒られちゃうだろうけど・・・・。
現実に、それを薦めるドックも出てきているようだし、
そうすることを支持する医者もいる。
確かに肺癌は、今のレントゲンよりも格段に感度よくみつけられるだろう。
腹部の肝臓や固形の臓器の癌も見つけられるだろう。
しかし、被爆も半端ではない。
放射線医学誌「Radiology」9月号掲載の先ごろの研究では、
全身CTスキャンの有益性を示す証拠がない一方で、
毎年、または2、3年に1度という頻繁な使用で、
照射に起因するがんによって死亡する可能性が
劇的に高まることが明らかになった。
45歳の人が1回のみの全身CTスキャンを受けた場合の死亡率は
1200分の1(1200人中1人)であったが、
30年にわたって毎年受けた場合には、
線量が蓄積して50分の1に高まる。
また、1回または一連のスキャンを受けたことで
寿命や健康が改善することを示した研究は確認されなかった。
という研究報告がある。
やはり、ここの症例で、それぞれの癌を疑ったときに
その都度CTを撮るのがいいようだ。
米エール大学医学部予防研究センター長で
公衆衛生臨床准教授のDavid L. Katz博士は、
「全身CTスキャンには危険性を上回る有益性がない。」
として推奨せず、
医療企業が極めて説得力のある広告で
この技術を広めて収益を得ていることを指摘する。

医者の言ってることが、医学の分野に関することであっても、
いつも正しいとは限らないから、頭から信じない方がいい。
・・・・・ってぇことは、この文章も・・・・!






     11月 1日 2004
     
ちょっとお知らせ
     今年のグリーンピースのカレンダーは、
サポーターも一般も販売価格は同じだそうです。(1部1500円)
だから、僕が仲介しないで、直接ネットで買って頂いた方が手間がないようです。

     今年の国際水中映像フェスティバルは、神戸であります。
11月11日(木)から13日(土)まで、神戸国際会議場であります。
前にも書いたけど、今回は、僕の写真も出ます。
そんなわけで、僕も一日くらいは行ってこようかなって思ってます。









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