DIARY
12月29日 2003
良いお年をお迎えください
今年も、無事に一年間診療が出来た。
今、大掃除が終わって診察室で一人パソコンに向かっている。
とんでもない患者に、とんでもないことで言いがかりをつけられたことも
一回だけあったが、
まぁ良い一年だったと思う。
自分で言うのもなんだが、
良い医療を提供してこれたと思っている。
(患者さんがどれだけ満足してくれたのかどうかはわからないが・・・)
「この状態で、正月休みにはいるのは心配!」
という患者さんも無く正月休みにはいることが出来た。
(入院してもらった人はいたけど・・・)
職員の一人が、「開業の頃は先生はものすごく優しかった。」
と言っていたが、僕に言わせると、今の方がずっと優しいはずである。
医療のレベルもずいぶん上がった。
その結果、薬で熱を下げなくなったし、風邪はほっておく様になった。
(昔は、一生懸命に熱を下げたり、咳を止めたりしていた。)
それは、優しくなくなったのではなくて、正しい医療がわかってきたからだ。
「病気を征圧しよう。」なんて思い上がったことは考えなくなった。
「病気とはうまくつきあっていくのがいい。」ということがわかってきたからだ。
どこかの国が、よその国や国民を武力や金で
自分の思う様にするのは不可能なように、自然には逆らわない方が良い。
皆さんの来年が、良い一年であります様に!
12月26日 2003
さすらいのギャンブラーは病気のなせる技
さすらいのギャンブラーは、病気なのかもしれない。
〔米コネティカット州ニューヘブン〕 エール大学(ニューヘブン)精神科の
Marc Potenza助教授らの画像研究から,
病的に賭博を繰り返す人では,
カジノでのトランプやサイコロ賭博のシーンをビデオで見せると,
脳活動に固有の変化が生じることが明らかになった。
この研究は機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)研究として,
Archives
of General Psychiatry(60: 828-836)に発表された。
このfMRI研究では,賭博問題を抱える人は、
賭博のビデオを見るときに、脳活動に一時的なダイナミックパターンが現れ,
前頭葉,辺縁系および辺縁系周囲に変化が見られ,
賭博の場面を見ると,
衝動調節にかかわる脳領域の活動が減衰することが実証された。
つまり、「やめとこか。」という気持ちが抑えられちゃうわけだ。
だから、本人の意志が弱いと言うだけではないのだ。
脅迫性障害に対する薬が効果がある様だ。
パチンコ中毒も病気ということになる。
12月24日 2003
ケアマネージャー
以前、8月29日の日記で書いていたお年寄りのその後の話。
あれから、ケアマネージャーが変わった。
この人が、とてもいい人だった。
ただ形だけのケアプランを作るのではなくて、
「この人がどうなっていくのが、この人にとって一番幸せであろうか?」
いつも考えてケアプランを立ててくれる。
当然要求も増えて、こちらの仕事も増えるわけだが、
筋が通っているから、こちらもすんなりと納得してしまう。
今日来たFAXを紹介したい。
A様のことでお願いがございます。
PT(理学療法士)が歩行訓練は勿論のこと、
トイレが自分で出来る様に
下着の上げ下ろしから始まって排泄行為まで
トレーニングしてくれていることもあり、
一人で伝い歩きや、歩行でトイレまで行ける様になりました。
洗面所まで行っての洗顔もいつの間にか出来ておられます。
しかし、依頼心が強いことと、寒いこともあって
気が向かなければ、紙オシメの中でして、
びしょびしょでシーツまで交換という現実です。
ケアスタッフから「自立していただくのが目標」なのだから、
これを機会に紙オシメをはずして
パンツに尿パットを当てる様に切り替えた方がいいのではないか
と言う意見が出てきました。
実際に、日中は布パンツに切り替えた方が上げ下ろしが楽になり、
漏らしたら気持ちが悪くてパンツの中での排泄はなくなると思われます。
まず日中から始めたいと思いますが、
何年間も介護されるのになれておられるA様の自尊心を傷つけない様に言うことは、
私どもでは難しいと思われます。
次回受診時に、ご本人に
「一人でトイレに行くことが出来る様になったら、
今度は紙オシメ(リハビリパンツ)を外そうよ。」と次の目標を提案して頂ければ、
ケアスタッフがA様の排泄自立のためのケアが容易に出来ると言う意見が出ております。
申し訳ございませんがよろしくお願い申し上げます。
と言う内容である。
Aさんがここまで良くなったのは、ケアプランの根本的な質の良さゆえである。
僕は「この人が歩けない理由はどこにもない。」と言っただけである。
あとは、本人にやる気を出させてそっちに導いてくれたケアプランナーと
スタッフの努力である。
糖尿病も、なんとか内服治療でコントロール中である。
勿論、食事のカロリー管理や薬の内服の管理も
うまくやってもらえる様になってこうなったのだ。
Aさんはいい人に巡り会った。
できれば、どのケアプランナーもそうであってほしいが、
僕の知る限り、この人しか知らない。
でも、この人に触れたスタッフが
他のケアプランナーを触発して輪が広がっていくことを期待している。
12月22日 2003
おむつ
我が家の愛犬Bは、現在生理中。
なので、ナプキンの代わりに(出来ないから)、
最近ずっとおむつをしている。
家の中で飼っているので、かわいそうだが、そうしているのだ。
この週末の土曜日は、とても寒い日だった。
Bのさんぽに出かけるのに、
僕も家内も思いっきり防寒対策をした。
僕は、スキー帽をまぶかにかぶって、ダウンジャケットを着た。
家内は、毛糸の長いマフラーをぐるぐる巻きにして、ダウンコートを着ていた。
お互いに、相手の異様な格好にあきれて、
「変な格好だ。」とけなしあいながら散歩に出かけた。
「愛し合う二人にはお互いの姿しか見えなかった・・・」
んな訳ではないのだろうが・・・。
Bの格好には何も気づかなかったのだ。
散歩に出かけて20mくらい歩いたところに街路樹があり
Bは、いつもそこでしゃがんでシーシーをする。
その木に近づくと、我慢できないといった風情で
駆け寄っていって、木の根本にしゃがみ込む
雌なのでしゃがんでするのだが、ふと見ると、
なんと!おむつをしたまま連れ出してしまっていた。
彼女は、がんばってしゃがんだわけだが、
シーシーは地面にしみ込むことなく、
彼女のつけていたおむつをぐっしょりと重くしただけであった。
異様な格好の二人とおむつをした犬の散歩は、
こうして、一時中断されたのであった。
12月20日 2003
パッチ
いつの頃からか、寒さに弱くなった。
40才を過ぎると肩周りがスースーして寒くなると聞いていたが、
本当に肩周りが寒くなった。
一昨年くらいから、真冬は、通勤の時、
自転車に乗っていてあしもとが寒い!
絶対に履かないと思っていたパッチを、
プライドを捨てて履かないといけなくなってきてしまった。
実に情けない。
こんな風に年をとっていくものなのだろうが、
そのうち、紙パンツを履く様になるのだろうか・・・。
「今年こそは、パッチは履かない。」と決めていて、
なんか今年はやれそうだと思っていたが、
何のことはないずっと暖冬だったのだ。
今日の寒波で、あっさり敗北してしまった。
しかし、どうして「パッチ」なんだろう?
「アンダーパンツ」とか、「ウォームパンツ」とか
もう少しましな言い方があってもいいのに・・・。
そうすれば、少しは抵抗が柔らぐってぇもんだ。
12月17日 2003
年末年始は、国内で!
今日は、日記はさぼろうと思っていたけど、
気になる情報が入ったので・・・。
「12月24日前後から2004年初めにかけて、
アルカイダが海外の日本関連施設を攻撃する可能性が高くなっている。」というのだ。
当面の優先順位は
在外公館に対する爆破攻撃と
日本の民間航空機の携行型地対空ミサイルによる撃墜作戦らしい。
狙われる恐れが高いのはフランスやドイツではないヨーロッパのある空港、
東南アジアの空港などであるとされている。
今更、予定変更はしにくいかもしれないが、
これから予定を入れる人は、考慮に入れてもらえたらいいと思う。
でも、正月にシパダンで潜れたら、やっぱり、いっちゃうかなぁ!
12月16日 2003
インフルエンザ考
世間では、インフルエンザワクチンの在庫が無くて大騒動だ。
もちろん、僕の所も無い。
インフルエンザワクチンを積極的に奨めているわけではないから、
無ければ無いでいいけど、
どこかが大量に取り込んでいることは、少し腹立たしい。
大量に注文しておいて、後で返品が出来るから、
ずるいところは、あらかじめ大量に注文して多めに確保しているのだ。
誰もがそんなことをすれば、品薄になって困るから、
良識のあるところは、(ほとんどの医療機関はそうだが)そんなことはしない。
だから、ほとんどの医療機関でワクチンが足らなくなったのだ。
今、「ワクチンがあるからいつでもおいで!」 と言っているところが
そのずるい医療機関だ。
この騒動は、毎年のように起こる。
わかってはいるが、だからといって、ずるいことまでしたくはない。
患者さん達には申し訳ないが、どうしても、しておきたいワクチンではないから、
あえて行動を起こす気にはなれない。
きっと、インフルエンザが流行り出すと、
今度は、タミフルという抗インフルエンザ薬が足りなくなるのだろう。
ちなみに、今年流行る予定のH3N2というタイプのインフルエンザウィルスには、
タミフルは無効のようだ。
(昨年まで流行っていたのは、H1N1というタイプ)
ついでに言えば、
今年のインフルエンザワクチンはH3N2の成分が入ってはいるが、
実際に流行る予定のものとは少し違うので、
効果は(元々あやしいのに)さらにあやしい。
昨年、世界中のタミフルの70%以上が日本で使用されたのも、
なんだか、日本の医療はゆがんでるような気がするぞ!
そんな新薬に、猫も杓子も飛びついて乱用して、いいのだろうか?
そのうち、タミフルが効かない日本産のこわーいインフルエンザが出てくるかも・・・。
SARSをはじめとする新型のウィルスは中国の野生動物やアフリカからでて、
怖い耐性ウィルスは日本からでるってことが
世界の常識になることも大いにある。
12月13日 2003
海の汚染
ワシントン11日共同】 米食品医薬品局(FDA)は十一日、
メチル水銀による胎児や乳幼児への悪影響を避けるため、
妊婦や授乳中の女性らに、
マグロなどを含む一般の市販魚介類について、
消費量を一週間に最高で十二オンス(約三百四十グラム)程度にとどめることが望ましいと勧告した。
メカジキやサメについては、これまで通り、食べないよう呼び掛けた。
米国内の市民団体などは、マグロについて「水銀濃度が高い」と指摘してきた。
FDAは「マグロステーキや一部の缶詰マグロには比較的、水銀濃度が高い例がある」としながらも、特別扱いすることは避けた。
環境保護団体からは「マグロの消費量は非常に多く、この勧告では不十分だ」との指摘が出ている。
FDAの勧告は、妊娠中や妊娠している可能性のある女性、授乳中の女性が対象。
母体や母乳経由で、魚の中のメチル水銀が胎児や乳幼児の発達に悪影響を及ぼすことを避けるため、
サメ、サワラやアマダイの一種、メカジキを食べるのを避けるよう勧告した。
それ以外の魚介類については「毎週十二オンスまでなら(継続して)食べても安全だ」とした。

ここまで海は汚染されていたのか!
いくら生物学的な生体内濃縮があるとはいえ・・・。
少し前にも、「大陸から遙か離れたところに生息するイルカの生体内に
やはりメチル水銀が検出される。」という記事を読んだ。
海は、人類が出した汚染物質を浄化してくれるところではないのだ。
とりあえず、魚も十分に安全なものではない。
食べ過ぎないように注意が必要だ。
そういえば、動いてない鮨をしばらく食べてないなぁ!
12月10日 2003
イラク派兵反対!
とうとうイラクに自衛隊が行くことになった。
家族の心配はいかほどだろうか?
派兵をすれば、テロだって、東京でおこるかもしれない。
「テロにひるむな!」って?
そういうあなたがテロの矢面に立ってから
その言葉を言ったらかっこいいけど・・・。
自分自身は安全なところにいて、そういうことを言わないでほしい。
無責任きわまりない発言だ。
国民の安全を守るのがあんたの仕事でしょ?
元々、個々の国民の痛みや、幸せなど眼中にない人だから
「政府と企業が栄えたら、国が栄えてる。」と錯覚してる人だから
イラクで何人死んでも、東京で自爆テロが起こって死人が出ても
自分の責任が問われること以外では、痛みを感じないのだろうが・・・。
いまさら、小泉に何も期待はしていないけど・・・。
やっぱり腹立たしい。
いい加減に国民も賢くなったらどうだ!
小泉を選べば、イラクに派兵するのは目に見えてたことなのに・・・。
小泉を選んでおいて 「イラク派兵反対!」 と今更言っても、遅いだろう!
そうは言っても、
選挙の時にはそのことはベールの下に隠されて判りにくくされていたけど・・・。
だいたい、選挙のマニフェストが問題だ。
いかにも 「公明正大に選挙しましょう!」 というポーズをとっておいて、
都合の悪いことには極力触れないし、
触れても極めて曖昧な表現しかしない。
さらに、各政党がバラバラに自分の都合のいいマニフェストを出すのでは、
その内容を比べようがない。
マニフェストに記載する内容は、
国民の代表やマスコミの代表が決定して
一覧表を作るようにしてくれないと
また、同じ手でだまされ続けることになる。
誰か何とかして!
とりあえず、イラク派兵反対の表明だけはしておこうと思う。
12月8日 2003
イマジン
"Imagine all the people living life in peace"
白地のページにわずか8語の一文だけ。
スポンサーを表す名前や写真は一切ない匿名広告が、
2001年9月11日、米国同時多発テロの2週間後の、
9月25日付けのニューヨーク・タイムズ紙に掲載された。
スポンサーは、オノヨーコ。
1980年の今日、ジョンレノンは拳銃で撃たれて死んだ。
今夜は、「くだらん意地や欲望のために、これ以上、血が流されないこと」
を祈ってジョンレノンのCDを聞こうと思う。
12月4日 2003
日本に生まれて良かった!
この週末は、「バカの壁」を読んだ。
これまで何度も、どう説明しても、わからん人たちがいたが、
なるほど、確かにそうだ。
はじめから、わかろうとは思っていない興味のない話は、その人にするだけ無駄なのだ。
馬の耳に念仏である。その話題に関しては、その人は馬になっているのだ。
でも、この本は僕には、単なるコミュニケーション論とは思えなかった。
この本を読み終えた時の感想は、
「日本に生まれて良かった。」というものだった。
別に国粋主義的な意味合いはない。
むしろ逆である。
「そういう国粋主義などのような一元論的な視点で
物事を判断するのは、危険だ。」という話である。
日本は、宗教にしても、神さんがいるし、仏さんもいる。
西洋や、イスラム圏のような、唯一の絶対的な神がいて、
善悪から道徳的な規範まで、それに従っているようなことはない。
みんなが、様々な価値観を持っていて、それぞれを認め合って暮らしている。
思考過程も、西洋のように「イエス」と「ノー」の選択の繰り返しで進むようなものではない。
「あいまいだ」と批判されてきたが、
ものごとは、何でもかんでも、すぱっと割り切れるものではない。
コンピューターなんかは、ファジーがより進化したプログラムである。
そういう曖昧な思考が子供の頃から、普通に受け継がれてきたことが誇りに思えたのだ。
詳しいことは、読まないとわかってもらえないだろうけど・・・。
真実は一つでも、それを受けとる人にとっては、
受けとる人の数だけ、その人にとっての真実があるのだ。
報道も、「中立で正しい報道」と言ってはいても、
あくまでその報道機関のフィルターがかかるのだ。
日本で育った人は、もっともそんなフィルターを取り払う下地が
出来ているのではないかと思った。
日本の文化は捨てたものではない。