HAWIIAN−LEO MAKAMAE





目次

Moloka'iの神話
ビデオ紹介
Kauai Wedding
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Molokaiの神話


その1


E Ha'a e, Ka Wahine Puhiohio ・ 「ものがたり・旋風の女神、ハアアよ!!」

話:クムフラ ジョン・カイミカウア

ハアアは、モロカイのカオロオロ、マハナ地区を守護する有名な女神の名前です。マハナはモロカイの中央部カウナカカイの近くにあります。その女神ハアアは、時には赤い土埃を巻き上げる旋風になって現れ、またある時はその地帯一帯に広がる輝くような赤い土に姿を変えていました。ハアアの住む場所は、Pu'u Waihuna・ ワイフナの丘と呼ばれていました。現在その場所は、空港からマウナロア方面に向かうハイウェイの左側に見ることが出来ます。ワイフナの丘はなだらかで、見晴らしのいい斜面がその頂上を取り巻くように広がっています。


ハアアの住むモロカイでは、さつまいもは主食として昔から盛んに作られていました。古い時代の農民たちは、新しい畑を開墾し、初めてさつまいもを植えた後に、うまくさつまいもが育つようにハアアにその神聖な加護を願ったのでした。それは、ハアアをその畑に呼び寄せる、女性だけが行なうことの出来る儀式なのでした。

その儀式は女性たちがその手で、さつまいもの茎で作ったLei Kalina(カリナのレイ)を準備することから始まりました。女たちはそのカリナのレイを昔からの言い伝えどうりに肩にかけ、その任の重い儀式に臨むのでした。儀式は新しい畑のそばで行われ、ハアアに捧げる独特のお祈りが完全に終わると、女たちは畑の赤土を手に握って、畑一面にまき散らすのでした。もし、その儀式が成功してハアアに願いが届いたときには、ハアアは旋風になって現れ、女たちがまいた赤土をくるくるとまきあげるのです。そうすればその畑の豊穣は永遠に確実なものになると信じられていたのでした。

ハアアの赤い旋風は今でも、ホオレフアやパラアウのあたりではっきりと見ることが出来ます。ハアアの旋風は3フィートから100フィート以上の高さでおこり、遠く離れた所からも見ることが出来ます。人々はそれを「E Ha'a e, ka wahine puhiohio o Pala'au」、パラアウの旋風の女神、ハアアよ!!と呼んで、崇めているのです。

訳者メモ
*飛行機がモロカイの空港に近づくと、眼下にはきれいな赤い大地が見えてきます。 耕されて緑が繁る畑でも、その隙間隙間には赤土が顔を覗かせています。写真は以前飛行機の窓から撮影した、モロカイ島ホオレフア空港付近の風景です。


その2


THE LAND IS SACRED ・「神聖なる島・モロカイ」

話:クムフラ ジョン・カイミカウア


この島、モロカイは神聖で、古来からのチャントやフラをするものは、この大地の精霊からインスピレーションを引き出すことができるのです。 自然の力と原理、自然界の植物や動物、そして幾世紀にもわたってこの地に住み続けて来た祖先たちが、そうしたこの島の精神を何層にも積み重ねてきたのです。

もし私達が、自分の常識の範囲だけでこの島を知ろうとしても、この島の霊的存在は決して理解は出来ないでしょう。人間の知性はこの島の物理的な側面しか見ることはできないし、また人間の知性は実存しないものを認めたり、理解しようとはしません。おそらく、現在の人間が常識というものに惑わされているのと違い、古代のハワイ人は、欺瞞とか混沌と言ったものはなんの力も持たず、人間の直観になんら影響を与えることはないということを知っていたのでしょう。

古代のハワイの詩は、目で見たり、耳で聞いたりしたことを直観で描写していました。しかもこの直観は、それぞれ個人の心の奥底からわき上がってくるのです。もし私達が、直観の目や耳を常識と置き換えることが出来たら、私達はこの島と、この島の自然界のすべての生命に対して、深い理解を持ち、関係を深めることができ始めるでしょう。

この島の霊的な存在がなければ、私はこの島からスピリチュアルを受けることが出来ないし、チャントやフラから生命と魂に対する祝福を受けることは出来ません。モロカイの植物や動物との親密な関係なしには、私は自然を手本にして表現するフラを生徒達に教えることはできません。

モロカイの山から海にかけてのすべての風景を、霊的な存在として大切に受け止めていた祖先との関係を理解しないままでは、私は彼らの教えの恩恵を受けることができず、チャントやフラのマナを感じることは出来ません。

私達はモロカイを唱え、モロカイは私達を詠います。私達はモロカイを踊り、モロカイは私達を踊るのです。モロカイ、チャンター、ダンサー、これらのものは複雑に繋がりあって、神聖な人と自然の共同体を形作っているのです。自然はチャンターの声の霊力によって姿をあらわし、フラを踊ることによって動き出すのです。私達がモロカイの自然との相互関係を認め、古代からのチャントやフラは先祖達の神聖な伝統を保持することによって、私達は人類としての重要な精神を持ち続けることができるのです。

訳者メモ
*今回のカイミカウアさんの文は、異様に難解で、呪文のようでもあり、謎掛けのようでもあり苦労しました。とても回りくどい訳になってしまいましたが、しかし、フラをする人にはすぐにピンと来る内容です。清書していて、ドキドキしてきましたし、鳥肌が立ちました。このスピルチュアルが、フラをするものには一番大切なんですが、残念ながら日本人には一番ないがしろにされる部分でもありますね。フラをする者は、つねに直観を研ぎ澄まして、見えない部分、聞こえない部分を感じるようにしなくては行けないはずなのですが・・。


その3


Pahu Drum Traditions of Early Moloka'i・「モロカイに伝わるパフの鼓動」

話:ジョン・カイミカウア

 昔、モロカイではフラやチャントに使われたパフ(Pahu)の伝統的な演奏法は40種類にも及び、その音色もおのおの違っていました。そして、それぞれに名前がつけられていて、特定のフラやチャントに利用されていました。

 キイパパ(Ki'ipapa)は、モロカイの独特なパフの律動(音色)です。キイパパは、フラの守護神・ラカ(Laka)を賛える伝統的なモロカイのメレ(Mele)の時だけに使われていました。それは宗教的な儀式でもあり、ラカに捧げるフラが踊られているあいだ中、パフは打ち続けられているのでした。


 カアカアカア(Ka'aka'aka'a)は、これもまた特異な打法で、同じ名で呼ばれるフラを踊る時に演奏されていました。フラ・カアカアカアは、一種のオペラのような特殊なタイプのフラで、3人またはそれ以上の踊り手によって踊られていました。その内容は、モロカイに伝わるモオレロ(Mo'olelo・伝説、伝記)などを題材にしたもので、踊り手自身が歌いながら踊るというものでした。そしてそのフラ・カアカアカアは主にモロカイのマカヒキ(Makahiki)の間に演じられていました。

 ケエエ(Ke'e'e)は、モロカイの航海術を語る際に伴奏されていました。その独特なパフの音色は、男たちがカヌーを漕ぐ動作をしながら踊っている間、打ちならされていました。航海にまつわるフラは、西モロカイのケプヒ(Kepuhi)の海沿いにあるカイアカ(Kaiaka)の丘に伝わっていました。偉大な航海の守護神のヘイアウがかつてカイアカの丘の頂上にありましたが、そのヘイアウは1940年代に、軍隊によって破壊されてしまいました。

訳者メモ
*Pahu:ココナッツの幹とサメの皮で作られるハワイの最も神聖な楽器。最も適した材料はロイヤルパームやウル(パンの木)とのことですが、誰もがその木を切ることを惜しがり、最終的にココナッツで代用されるようになったそうです。どれも根もとの部分が繊維質で堅くて丈夫なのだそうですが、半面、作業には非常に手間と時間がかかるとか。作ったばかりのときは大変重く、小さなpahuでも一人で持ち上げるのが困難な位ですが、10年、20年と経つうちに乾燥が進み軽くなり、音もよくなって来るそうです。

*Makahiki:古代の祭事で、10月中旬から約4カ月もの間、厳しい戒律によって定められた儀式が続いたそうです。キャプテンクックがハワイ島に上陸したのもこの時期で神と間違えられてもてなしを受けたという話は有名。


その4


Boki Ku-manomano O Kalaupapa ・「カラウパパのボキクマノマノ」

話:ジョン・カイミカウア





 マカナルア半島カラウパパ地区の、そう現在は灯台が建つ近くに、小さなヘイアウがあります。その名はクウォ・イリオ(2)といいます。そのヘイアウの特徴は幾重にも積み重ねられた石垣に区切られ、雨期には絡み合ったさつまいもの茎で覆われていました。そのヘイアウにはマカナルア半島一帯を守るボキクマノマノ(3)という名の守護犬が祭られていました。

 昔、カラウパパの漁師が危険な珊瑚礁の彼方、レフアの沖に漁にでかけて無事に帰ったとき、それに感謝するためにしきたりどうりにヘイアウを訪れ、さつまいもを捧げ物として残してきました。さつまいもは守護犬ボキクマノマノの大好物だったのです。それ以来、その漁師はボキクマノマノの海の安全を生涯保証されました。もし漁師の耳に風に乗ってふだんと違う鳴き声が聞こえてきたら、それは危険を知らせる合図でした。漁師は直ちに沖から岸へと戻ればいいのです。

 ボキクマノマノはヘイアウのあるプウコリイからパネエネエの高い絶壁まで半島全体を包む濃霧に姿を変えることがありました。古代の言い伝えによれば、この現象はボキクマノマノの後ろ足がプウコリイに、前足がパネエネエの頂上に踏ん張っているのだと言われています。守護犬はマカナルアがオアフやマウイの首領によって、侵略の脅威にさらされた時には、その間中厚い濃霧でマカナルアを覆い包んでいたそうです。古代人々はこの現象をラウオヘ・ケア・オ・ボキ、ボキの白い毛と呼んでいました。

 古代のハワイでは、犬はブタ以上に貴重な食物でしたが、マカナルアの住人たちは決して犬を食べませんでした。これは、経験豊かな住人たちは、自分達の土地は動物に姿を変えた神によって守られているということをよく知っていたからです。同じことは、守護神の存在を信じる家庭でも守られていました。かれらは自分達の先祖が動物の姿を借りて現れ、子孫の暮らしを援助すると信じていたからです。その動物を食べることは、神の居場所を取り上げることであり、すなわち先祖の神を失うことだからです。犬を食べるということは、神を冒涜することで、それに違反したものは死によって裁かれたのでした。

訳者メモ
(1)Heiau: 祭壇、寺院。多くのヘイアウは石造りの高台か、簡単に土地を盛り上げただけのものである。

(2)Kuwo 'Ilio: クオ イリオ。大声で吠える犬


その5


Mo'omomi : 偉大なる守護神の大トカゲ

話:Kumu Hula ジョン・カイミカウア

守護神Mo'omomi (モオ モミ・真珠トカゲ) は、モロカイ西部のカエフ岬の海の底にある洞窟に住む大きなトカゲです。Mo'omomiはニホアからイリオにかけての沿岸の浅瀬も深海もすべての海辺を護っていると言われています。その大トカゲがカエフ岬近くの岩礁で、巨大な身体を休ませ日光浴をしているのを大昔はよく見られました。今日でもごくまれに見られます。大トカゲの肌は白い真珠のようで、その輝きは遠くはなれたところからでも見ることが出来ました。そういうところから、昔その付近に住んでいた住人は、その見事な肌の色をした不思議な動物を、Mo'omomiと呼ぶようになりました。それは真珠トカゲと訳されます。

その付近では、 海からまき上がる波しぶきは、Ka'ehukaiweloka (しっぽのしぶき)と呼ばれて知られていました。Mo'omomiが長い大きな尻尾を振ると、カエフ岬の海面にはその有名な波しぶきが上がるのでした。これはまた、豊かな海の魚を示すものでもありました。いくつもの巨大な魚群が海面に立ち上げるしぶきでもあったのです。


海底にあるMo'omomiの洞窟は、Keanakihi (トカゲの穴)と呼ばれていました。その洞窟は古代の土地のカフナにとっても神聖な場所でありました。深海に隠されたオレンジ色の岩は、カフナ自身を癒す岩として大事にされていました。癒しのためにその神秘の岩が必要になったカフナたちがカエフ岬で祈りを捧げると、Mo'omomi 自らがその大きな口に岩をくわえて海面まで運び上げたと伝えられています。