秋田家のヨーロッパ旅行記


−ハーグ−

**ハーグ**
まずは、我が家が3年間住んでいた街、ハーグをご紹介します。ハーグは、オランダ語で"Den Haag"(もっと正式にはs'Gravenhage)、英語では"The Hague"(ザ・ヘイグ)、仏語では"La Haya"といいます。このように、欧州の場合、言語によって都市の名前が変わることが良くあります。日本で一般的に呼ばれている都市の名前と英語の名前は異なることがあるので、よく注意しないと通じないことがあります。

ハーグの街は主に、政府機関、由緒ある建物、ショッピング街や美術館等が集中するCentrum地区(Centrum=Centerつまりは街の中心)とビーチリゾートであるScheveningen地区が観光の対象となるでしょう。Centrum地区へ電車で行くのなら、スキポール空港、アムステルダム、ロッテルダムなどからDen Haag Centraal Station(Den Haag CSと略されたりします。)行きの電車に乗って終点で降りればOKです。(Centraal駅はどん詰まりの駅になっています。)なお、アムステルダム〜ロッテルダム方面(ブラッセル(ベルギー)、パリ(フランス)等)を結ぶ列車はDen Haag Holland Spoor(Den Haag HSと略されます。)駅に止まり、CS駅には立ち寄りません。HS駅からCentrum地区は歩くと少し遠いので、バスやトラム(路面電車)を利用する方がよいでしょう。バスやトラムの乗りかたは、市販のガイドブック等に書いてあるのでそちらにお任せします。なお、それほど心配することはありませんが、HS駅周辺はやや治安が悪い地域なので注意しましょう。Scheveningen地区には、Centrum地区からトラムを使うのが一般的な方法です。タクシーを使うのも良いでしょう。流しのタクシーはなく、駅などのタクシー乗り場を使うか、電話で呼び出すことになりますが、料金もそれほど高くないし、英語も問題なく通じます。

コラム:オランダの電車
 オランダの電車は黄色い電車で、2階建て車両が多いのと、自転車を載せるため出入り口の近くに大きなスペースがあるのが特徴です。1等と2等(1等は2等の5割増)、禁煙車と喫煙車の区別があります。座席指定は基本的にありません。(但し、パリ〜アムステルダム間を結ぶ赤いThalysと呼ばれる電車(TGVの車両)は予約制で別料金が必要です。また、ベルギー以外に行く長距離国際列車も予約制のものがあります。)各停はStoptrein、快速はSneltrein(snel=fast)、特急(追加料金はなし)に当たるものはIntercity(IC)と言います。

Centrum地区の観光


<Binnenhof(ビネンホフ)とMauritshuis(マウリッツハイス)美術館>  
Den Haag CSの駅前は、欧州の街らしくない、近代的な建物が立ち並んでいます。そこから10分程度歩いたBinnenhofの周辺が最大の見所、というより、ここだけ見ておけば一応ハーグを観光したということが言えるでしょう。ビネンホフの騎士の館Binnenhofは、騎士の館(Ridderzaal)と呼ばれる国会議事堂の周りを各省庁(全部の省庁ではない)の建物が取り囲んでいるような格好になっており、建物の由緒は古く、さすがヨーロッパという感じがします。但し、この国は九州程度のサイズの国なので、日本の国会議事堂のイメージよりはかなり小さな建物です。北側には噴水つきの大きな池があり、ここから写真を撮るのも良い雰囲気です。また、運がよければオランダの女王様に会えるかもしれません。なお、オランダの王室は男女に関係なく長子が後を継ぐことになっているため、ここのところ女王が続いています。マウリッツハイス美術館皇太子は男子なので、次は男王ということになります。また、日本と違って、王が存命中でも王位継承をすることができるようです。Mauritshuis美術館はかなり有名だそうですが、行ってみると本当に小さな美術館で、ざっと見るだけなら30分とかかりません。なんといってもここの目玉はVermeer(フェルメール)の絵でしょう。筆者は絵心全く無しのど素人ですが、フェルメールの絵は本当に分かりやすいです。ヨーロッパの絵画(特に宗教画)は、とかく暗い色調のものが多いのですが、フェルメールの絵はその中で非常に明るく見えます。フェルメールは光を強調するために、実際にはあり得ない角度からの虚構の光を当てた絵もあるとのこと。すごいですね。
<その他Centrum地区>


BinnenhofとMauritshuisに行けばとりあえずハーグの雰囲気は味わえます。半日しか時間がなければ、とりあえずこれだけで良いでしょう。1日時間があるのなら、後述のscheveningen地区を含めて、以下のような見所があります。
  監獄博物館
ビネンホフの池から道路を隔てた向かいにある小さな博物館で、一定時間ごとに行われるガイド・ツアーで見学します。名前通り、昔の監獄で、拷問の用具などが見学できます。なお、この建物の一部は道にはみ出していますが、実は、道にはみ出すように建物を建てたのではなく、中世時代つながっていた建物の一部を壊して道を作った時の名残だということです。
  パノラマ・メスダフ
ただの風景画(19世紀のschveningenの風景)です。でもでかい。部屋はドーム状になっていて、その一面に写実的な風景画が描かれています。ここに入ると、まるで昔の漁村にタイムスリップしたような気分になれます。ただそれだけですが...
  平和宮
昔の社会科で「国際司法裁判所」がハーグにあるということを習ったことがありますか?ここは、その国際司法裁判所の建物で、アメリカの鉄鋼王カーネギーの寄付により20世紀前半に立てられた建物です。「平和宮」というだけあって、本当に宮殿のような立派な建物です。この中で、各国の国際法の権威からなる判事さん(日本人の方もおられます)による裁判が行われています。裁判の内容は、国家間の紛争が主です。実は、筆者は毎日この建物の前を通っていたにもかかわらず、中に入ったことがありません。もともと観光地でないため、土日は閉まっており、裁判のない平日しか見学ができないからです。なお、ここはビネンホフからは若干離れているので、Scheveningen方面に行くトラムに乗るのが良いでしょう。
  市立博物館・美術館
平和宮から日本大使館の前を通って北西に1km位行くと、オランダ国際会議場(Nederlands Congresgebouw)のある一角があります。丸いちょっと変わった形の建物が化学兵器禁止機関(OPCW)の建物です。この一角の一番南側の大きな建物がハーグ市立美術館・博物館になります。ここは、マウリッツハイスほどは有名ではありませんが、規模は大きく、有名な画家の作品もかなりあります。また、絵画以外のコレクションや科学館のような展示もあるので、結構ゆっくり楽しめます。
  マドローダム
マドローダムここは、おそらくビネンホフやマウリッツハイスを除けば最も人の集まる観光名所です。小学校の運動場くらいの敷地に、オランダの有名な建物の精巧なミニチュアがぎっしりあるというところです。建物以外にも、スキポール空港のところには各国の飛行機がいたり、港では消防艇が放水をして火事を消したり、オランダの電車や遊園地など、模型とはいえかなり凝ったものが見られます。まあ、それだけといえばそれだけであり、ここで1日つぶそうというのはちょっと無理かもしれません。筆者も訪問者の案内などで何度も行きましたが、何度か行くとさすがに飽きます。まあ、一見さんの観光で来るならば行っても損はないでしょう。なお、この施設はある婦人が戦死した息子の霊を慰めるために作ったとかで、できた経緯としては結構深いものがあるのです。
Scheveningen地区の観光
これはまず発音からして厄介です。日本人だけでなく、オランダ語を母国語とする人以外にも難しいらしい。英語風に読むと「スケベニンゲン」即ち「助平人間」ということで非常に言いやすいので、少なくとも我が家ではこう読んでいました。ガイドブックにはスヘフェニンヘンとなっていたりして、一応これが近いのかなと思いますが、まず現地の人には通じません。オランダ語は、chとgの発音が非常に厄介でいびきをかきながらハヒフヘホをいうような何とも言えない音です。(Den Haagも「デン・ハーフ」に近い発音になります。「ハーグ」とオランダ語をローマ字読みで呼ぶのは多分日本人だけ??)ここは砂浜の海岸(もともと漁師街なので漁港もあります)で、日本でいうと海の家に当たるような海辺のレストランや、ショッピングセンター、ホテル(なかでも、Kurhaus(クールハウス)と呼ばれるホテルは大変立派です(写真参照))、土産物屋などが立ち並んでいます。スヘフェニンヘンのクールハウスホテルHolland Casinoという政府公認のカジノや映画館なんかもあります。但し、夏でもクーラー不要のオランダのこと、水は冷たくて泳げたものじゃないです。ほとんどの人は、日光浴をしているだけです。それから、ここにはいわゆるトップレスの人もずい分たくさんいますが、オバチャン率が高く、見たくないものは見なかったことにできる精神力がなければ却って情けない思いをします。砂の彫刻展が開かれたり、夏は花火が上がったりしますが、冬は強風が吹き荒れ寂しくなります。ぶらぶら散歩するには賑やかで楽しいところです。ここに行くのは、いくつかのトラムの路線の終点になっているので、とてもわかりやすいです。
普通日本人観光客は行かないところに行きたい方は...
以下の場所は別にお勧めでも何でもありませんし、普通のガイドブックにも載っていません。たまたま時間がありあまっていて、ちょっと地元の人々の憩いの場所に行ってみたいという人は、こういうところもいいんでは?なお、このような場所は一般のガイドブックの地図には記載されていませんが、書店や観光案内所(VVV:ハーグではCentraal Station駅前)等で市内の地図(「Cito PLAN」など)を買うと良いでしょう。Street名がわかれば、索引(Cito PLANの場合巻頭)で場所を特定できますし、バスやトラム(路面電車)の路線もすぐにわかります。
  ハウステンボス(Huis ten Bosch)
えっ?オランダにもハウステンボスが?という人もひょっとしたらおられるかも知れませんが、もちろんこちらが本家で、言葉の意味は「森の家」、日本で言えば皇居に当たるところです。でも、ここは観光地ではありません。なぜなら、一般の人は建物に近づくことすらできないからです。Centraal Stationから東へ歩くと門がありますが、門は固く閉ざされて守衛に守られています。その奥に森に囲まれた宮殿がチラッと見える程度です。間違っても写真バチバチというわけには行きそうもないし、よほど暇ならとりあえず前を通って、「ここに女王様が住んでおられるのか」と感慨にふける程度でしょう。(場所:Centraal StationからBezuidenhoutseweg通りを東に約2km)
  クリンゲンダール公園(Clingendael)
Centraal Stationから2kmくらい離れたところにあります。元住んでいた家のまん前にある広大な公園で、森林、花壇、池、芝生などがあります。クリンゲンダール公園の日本庭園山羊や牛もいたりして、我が長男は、山羊や水鳥にえさをやったりしていました。地元の人は、犬を放し飼いで散歩させながらのんびり過ごしています。さて、ここには変わったものがあります。それは、日本庭園です。(写真)なぜか5月ごろの1ヶ月しか開放されませんが、入場無料で、地元の人がたくさん訪れます。なぜ、こんなところに日本庭園があるのかわからないけれど、時々散歩にきていました。ちなみに、「古いオランダの庭園」というのもあって、これは常時開放されています。もちろんお金はかかりません。(場所:Centraal Stationから北東約3km。メインの入り口はLaan van Clingendael通り。)
コラム:オランダ人と犬
オランダ人の犬好きは有名ですが、日本と違って「番犬」という概念が全くありません。犬は小さい頃から厳しくトレーニングされ、決して人に向かって吼えたり噛んだりしません。オランダでは、人を噛むような犬の飼い主は、飼い主の資格なしです。その代わり、オランダの人はあまり犬の糞の始末をしないので、オランダの道は糞だらけです。

  バラ公園(Rosarium)
ハーグ バラ公園バラ公園といえば、スイスのベルンにあるものが有名ですが、ハーグにもSchveningenに行く途中にあります。オランダの代表的な花であるチューリップと比べれば地味ですが、この公園も結構味があり、散歩にはぴったりのところです。(場所:ScheveningenのKurhaus(上記)からNieuweparklaan通りを南へ約1km、Westbroekpark内)
  カイクダインの海岸(Kijkduin)
Schveningenより西側の方にある海岸です。Schveningenと比べると地味で、どちらかというと保養地という雰囲気ですが、ホテルやショッピングセンターもあります。(場所:Centraal Stationから北西約10km、Centraal StationからKijkduin行きのバス(4番)乗車。)
レストラン・ホテル案内    とりあえず元ホームグラウンドだから少しは紹介しときます...


<ホテル>
オランダ(ベネルクスも)には、政府によるホテルランク付けがあって、星の数で表されます。(五つ星が最もランクが高い。)これは、設備の充実度で決められているようですが、大体オランダのホテルの星の数は、フランスのホテルの星の数+1と考えれば良いようです。バス(またはシャワー)トイレ付きなら、大体三ツ星以上のホテルを選ぶのが良いでしょう。ホテルは、Centrum地区とSchveningen地区に集中しています。安ホテルなら、HS駅付近が多いですが、前にも述べたように少々治安がよろしくないのが難点。三ツ星ホテルはたくさんありますが、筆者がはじめてハーグに出張して泊まったホテルが何と、「Badhotel」という名前でした。冗談か?と思いましたが、何のことはない、オランダでBadとはBathのことで、ここで言うBathとは海水浴のこと、すなわち、「海水浴ホテル」ということでした。つまり、Scheveningen海水浴場にあるからこういう名前になったわけですね。この他にももちろんたくさんあります。四ツ星ホテルとなると、数が限られてきます。Scheveningen、オランダ国際会議場近辺、駅の近くにそれぞれいくつかあります。どちらかというと、アメリカンタイプの大型ホテルが多いですが、ヨーロッパらしい趣を求めるなら、Plein1813(1813年広場)の近くにある「Carlton Ambassador」なんかがお勧めです。結構値が張りますが、こじんまりしたヨーロッパらしい建物で、内装がとてもきれいです。出張者もよく利用されていました。五つ星は、さすがに数えるほどしかありません。最も高級なHotelといえば、Centrumでは、Lange Voorhoutにある「Hotel Des Indes」、Scheveningenにある写真でも紹介した「Kurhaus」です。もちろん宿賃もそれなりです。「Kurhaus」には、筆者滞在当時、日本の某首相もお泊りになりました。その他は、国際会議場の近くの「Promnade」や中央駅前にある「Sofitel」がありますが、いずれも機能的なチェーンホテルです。
<レストラン>
グルメでもない私めがレストランを紹介するのもはばかるので、とりあえずはレストラン探しの目安を。もちろん、Centrum地区にはいろいろなレストランがありますが、結構いいレストランを捜すのは難しいです。ビネンホフ東側の広場付近に何軒かカフェレストランがあります。観光気分で一服したいのなら、大教会(Grote Kerk)近くのいかにも由緒ある建物の中に大きなカフェがあります(もちろん食事も可)。中華料理の店もゴマンとありますが、Grote Marktstraat通り (直訳すれば大市場通り)の南側に広がる中華街にたくさん安い店があります。日本料理が恋しくなったら、SpuiのMercureホテル(四ツ星)に白鷺という店があります。ファーストフードなら、マクドナルドもバーガーキングもあります。Scheveningen地区は、レストランだらけ。海辺にたくさん出ていますが、正直言ってどこがいいのかよくわかりません。KurhausにあるKandinskyは高級レストランです。お手軽に済ませるなら、ショッピングセンターのフードコートへ。ここにある中華のラーメンも結構愛用していました。海水浴場を西に歩いたDr. Lely Kade通り(小さな港があるところ)には、シーフードを中心にたくさんのレストランがあります。特に、東側と、西側の奥に何軒かのレストランが固まっている場所があります。

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