猿沢の池より
Scenery from Sarusawa Pond

猿沢の池の南側から再建された中金堂と五重塔を見る。池に雨の輪がぽつぽつと広がってきた。
興福寺と春日大社を舞台にした能に、「采女」、「春日明神」、「野守」があり、采女と春日龍神は物語の終わりにこの池に戻っていく。野守の鬼神は飛火野を踏み破って地中に消える。
驚いたのは、1999年10月の塔影能で「重衡」が演じられたことだ。平重衡は源平の戦いで東大寺、興福寺などを攻めて焼き払った人物で、興福寺にとっては不倶戴天の仏敵になる。
寺では上演に異論もあったとのことだが、曲は重衡を供養した後に演じられた。シテの浅見真州さんが1432年以来演じられたことがなかったこの曲を復活させて自ら演じた。父が他界した前月のことで、陪観はできなかった。 電車が近鉄奈良を離れると激しい雷雨になった。 戻る