退 院 後



9月 18日

9月 26日

退院後の生活。
 退院後の生活でいちばん支障となったのは、トイレの問題である。 直腸をほとんど切除してしまったため、便から最終的に水分を絞る機能が失われており、便が全般的に軟らかい。 しかも、便を最終的に「貯蔵」しておく場所も無くなったため、腸が動いて便が押し出されるとほぼ肛門の真上に溜まるため、トイレを我慢するのが非常に難しい。
 尿を出している際も、少しでも肛門の緊張が緩むと、肛門から便が出てしまう可能性もあり、油断できない。
 しかも、便が軟らかいため、俗に言う「糞切りが悪い?!」状態で、いったん大便が出ると、ウオシュレットが無いトイレでは綺麗にふき取れない。
 退院後は、天気の良い日はリハビリを兼ねて、外へ散歩へ出かけることとしたが、トイレの問題から散歩のコースもいざとなったらトイレに駆け込める場所に限られてしまう。 
 このままでは、トイレから付かず離れずの生活となってしまうのでは?!と少々不安がよぎる。
 退院後の食事は、家族が消化の良い物を考えて作ってくれているので、腸の調子も良いのだが、少し大きめな肉などの消化の良くない物が混じると、下痢ぎみとなってしまう。
 
 
9月 27日

退院後、初めての外来受診。
 退院後初めての外来での診療。 当然傷口の様子を見るものと思い、傷口の洗浄等準備していったが、いざ診療が始まると、世間話が主で全く傷口を見る気配なし。 その後、手術で摘出したポリープと、リンパ腺の病理検査の結果の説明があり、まだ最終的な検査の結果は出ていないが、現在のところリンパ腺への転移は発見されなかったということである。 
 1ヶ月分の整腸剤が処方されたが、ひょっとしたらと覚悟していた抗ガン剤の処方は無かった。

 退院後、一番心配していたのがリンパ腺への転移だった。 リンパ腺への転移の有無が、その後の肝臓へ転移や5年後生存率に大きな影響を与えるからである。 とりあえず、リンパ腺はガン細胞と戦って、リンパ腺自体がガン細胞に犯されることは免れたようである。 早速家族に電話にて結果を連絡し、喜びを分かち合う。

9月 30日

職場復帰。
 約1ヶ月ぶりに職場に復帰する。 まだ、トイレの問題でJRには長い時間乗っている事が出来ないため、しばらくは自家用車で通勤することにする。 しばらくぶりに自分の机に座り、不在中に溜まっていた書類に目を通したり、職場の上司に退院の報告をしているうちに、終業時間となってしまった。 しばらくぶりの勤務だったが、退院後のリハビリの成果か、さほど疲れを感じることもなく無事終えることができた。
 
 直接の部下には大腸ガンで入院していたことは臥せてある。 特段隠すつもりは無いのだが、職場では人から人へ情報が伝わる際に正確に伝わらない可能性もあり、いらぬ誤解からのトラブルは避けたいとの思いからである。
 気は進まなかったが、一応部署のトップには、手術後の病理検査の結果、ガン細胞が発見されたが、手術で完全に切除する事が出来たので、心配ない旨の報告をした。

10月12日

手術後初めての軽登山。
 手術後の体力の回復具合を確認するために、市内の山へ登山へ出かける。 山といっても標高千メートル少々で、登山口と山頂に立派なトイレも完備していて安心である。
 「普通の人」で山頂まで1時間15分少々とあって、体力の確認にはもってこいである。 幸い好天とあって、しばらくぶりの登山は、とても気持ちがよい。 途中何人かの登山者を追い越して山頂まで50分で到着。 若干足に張りを感じるものの、足の快復は順調のようである。

10月25日

退院後1ヶ月の外来受診
 退院後、約1ヶ月目の外来受診。 例によって、体調の確認のみ。 続いて、最終的な病理検査の結果の説明があった。 病理検査の結果、当初ステージはU又は最悪でVという予想であったが、ステージTに留まっているとのことである。 5年後生存率は、90%以上で今後の心配は、肝臓への転移のみということであった。 
 外来の受診も、1ヶ月毎ではなく、2ヶ月に一度で良いこととなり、次回診察は年末となる。
 当日、外来で待っていると職場での大先輩に声を掛けられ、話を聞くと2年前にやはり大腸ガンの手術を受け、定期検査のために外来を受診しているとのこと。 入院しているという話は以前聞いていたが、病名までは知らなかったので、大いに驚く。 しばしの間、病気の話で盛り上がる。
 
 いちばん心配していたのが病理検査の結果であったが、もっとも嬉しい結果となった。
 今後は、抗ガン剤の必要は全くなく、外来での検診も2ヶ月に一度で良いこととなった。

10月26日

1人での長距離運転と登山。
 自宅から約300キロ離れた場所で趣味である登山の集まりが開催され、1人で自家用車を運転して出かける。 トイレの確保のため、ウォシュレットの設備がある「道の駅」等をたどりながら行く計画を立てる。
 道の駅で、休憩を取りながら約6時間で無事に目的地に到着する。 到着後、早朝に集合して山に登っている仲間を出迎えるために、近くの山まで出迎えに登る。  水とカメラだけを持った軽装で登ったため、すこぶる順調に目的地の山頂手前まで到着する。
 夕方、夜景を楽しむために、仲間と伴に標高300メートル少々の山へ「ナイトハイキング」へ出かけたが、こちらも順調に登ることが出来順調な回復を確認する。

 長期間の運転は、やはり「腰」に来るものである。 健康体の時は全く気にならなかったが、流石に帰宅後は腰が辛い。

11月24日
HPの本格的立ち上げ
 以前から、徐々に書き溜めていた発見から現在に至る経緯を本格的にサーバーにUPする。
 私の場合、現在のところ幸いにも転移も無く、病状の詳しい説明も僅かなので、他の方の参考になるとは思えず、自己満足の域を出ないが、徐々に自分で調べた病気のことをUPして記録に残そうと思っている。

 最近、職場で私がガンで入院して手術をしたという「噂」が広まっているようである。 別に隠してはいないものの、特に「カンでした。」と言っていないのだが、「人の噂」というのは凄いものだと変に感心してしまった。
12月20日

退院後3ヶ月の外来受診
  今日は退院後3ヶ月目の外来受診である。 今回は前回の問診だけの診療ではなく血液検査を実施。 多分腫瘍マーカー等の検査 を実施するためであろう。
  通常人間ドックなどで実施している腫瘍マーカーの検査はごく一般的なもので、検査結果にそれなりの制度を要求するならば、特定の腫瘍を発見するための「専用」の検査が必要のようである。
  今のところ、体力も順調に回復しているので一応安心しているが、最低今後5年間は検査結果と「にらめっこ」しながらの生活が続きそうだ。

  手術後一定の時間が経過したせいか、最近ようやく大きな便が出るようになった。 急に便意を催す事も少なくなって、少しは安心して外出することが出来るようになった。 ただし、排尿は未だに膀胱の位置が定まらないようで、立ってすることが難しい。 時間が解決してくれるのを待つしかないようである。
2月14日

退院後5ヶ月の外来受診
  今日はバレンタインデーで、朝からなんとなく世間が華やかである。 そんな華やかな雰囲気の中を退院後5ヶ月目の外来受診へ向かう。 今日は、前回の血液検査の結果を聞くことが出来るはずである。
 一番気になるのは、ガン細胞の動きを知ることが出来る腫瘍マーカーの検査結果である。
結果は、AFP/RIAが3.0、CEA/RIAが0.86、CA19-9/RIAが1.93と今のところ正常値の範囲内で、全く問題無いとのことで一安心する。
  ☆腫瘍マーカについてはこちら(国立ガンセンター)を参照。

  最近特に「再発」という可能性を意識するようになった。  先日テレビでガンの特番が放送され、御覧になった方も多いと思うが、手術で「完全にガンを取ることが出来ました。」と医師から言われ、喜んで退院した人が、その後再発し、不幸にも亡くなっている事例が多いということを改めて実感したからだ。
 まあ、もともと自分の細胞が突然変異したものが、「ガン」なのだから、一度出来た物はまた出来る可能性は高いというのは、考えてみればごく科学的に見て「当然」であるのだから.....................。
 まあ、突然気が付くより、可能性が恒に頭のスミにある方が幸せかも。
4月18日

退院後7ヶ月の外来受診
  北海道も春らしくなって、歩道を覆っていた雪も殆ど無くなり、道ばたにフキノトウが顔を出している。 手術前は、来年の春を迎えられるかと心配したが、何とか春を迎えることが出来た。
 外来は、今回は問診のみ。 手術から半年以上経過しているので、少々心配となり、こちらからそろそろCTでも.........と切り出すと、担当医も「そうですね〜っ、そろそろ撮ってみましょうか」ということとなり、次回の6月の検診日にCTを撮ることとなる。
 医者が深刻そうにしていないのは、吉報と解釈。

  先日、一番年長の従兄弟が肺ガンで亡くなった。 病気が発見された時は既に末期で、余命6ヶ月と宣言されていたが、本人の努力と家族の支えで、2年以上余命を延ばすことが出来た。 父方の家系では、体質として「結核」となりやすい体質で、私も子供の頃に「小児結核」の疑いで、しばらく投薬を受けていた。 モノの本によると、結核の人はガンに罹りにくいとかで、まだ認可されていない「丸山ワクチン」は、この結果から生まれた薬らしい。 事実、父方の親戚でガンで亡くなった親戚は初めてで、しかも私の発病とも重なって、やはり結核家系の人は、ガンに罹りにくいというのは、あまり当てにならないのかも。
 
6月13日

退院後9ヶ月の外来受診
  今日は手術後初めてのCT撮影。 いつものとおり問診のみの外来を終えて、CTの撮影に向かう。 CTの待合室には入院中の人や、多分これから初めてのCT検査を受診すると思われる不安そうな顔をした人も沢山見受けられる。 10ヶ月前の自分も、多分あんな顔をして順番を待っていたのだろうなと改めて思い返してしまった。 準備室で造影剤を手の甲から注射され、約10分で撮影終了。 結果は次回の外来の時までお預け。 今まで、2ヶ月に一度の外来診療だったが、次回はから3ヶ月に一度で良いとのこと。

  最近体力増強のため、発病以前のように登山を再開した。 ただ、まだ以前のように排便のコントロールが利かないので、登山の最中に「出て来る」可能性があり、気を抜けない。 一応出かける際には、「携帯用のウォシュレット」「着替え用の下着」そして「携帯用トイレ」を持参しているが、今のところ「事なき?!」を得ている。

7月20日

手術後10ヶ月で目標の大雪山「トムラウシ山」山頂に到達
  今年春から本格的に再開した登山。 徐々に体力を回復して来ていたが、今日は目標としていた大雪山のトムラウシ山の山頂を踏むことが出来た。 約25キロのリュックを背負って、片道12キロの山歩きだったが、何とかリタイアすることなく下山する事が出来た。
 昨年の今頃には考えられなかった事なので、感慨深いものがあった。 このまま再発せずに、何とか収まってくれれば良いのだが......。

9月12日

手術後1年経過の外来受診
  昨年の手術から、おかげさまで「生きて」1年を迎える事が出来た。 昨年の今頃は、ガンの告知・入院・手術と大変な状態だったが、今年は今のところ何事もなく過ごすことが出来ている。 普段の何気ない「幸せ」は、やはり何か自分の身に降りかかる「大事」が無ければ気がつかないということが実感出来る1年だったと思う。

 6月のCTの検査結果は、おかげさまで異常ナシとの事で安心する。 ただ、念のため受けた人間ドックの超音波検査で胆嚢にポリープが発見され、再度CTを撮ることとなった。 どうやら、CTは局所的な部分しか撮影しなかったようだ。 あぁ 〜、これで又検査料1万円が飛んでいく〜。
 今回の外来受診時に、排便障害の状況を相談したところ、薬を試してみることとなる。 処方された薬は「ブスコバン」。 ごく一般的な万能薬だが、若干副作用が強い。 一応1回2錠の服用となっているが、状況によって服用量を調整することとする。


2004年   
1月30日

手術後1年半経過で初めての内視鏡検査受診
  手術を受けてから1年半が経過した。 排便と排尿の深刻な障害以外に後遺症もなく何とか過ごしてきた。 手術後は血液検査による腫瘍マーカーのチェックと二度のCTで再発のチェックを行ってきたが、肝心の大腸に腫瘍が再発していないか直接チェックしていなかった。 今回は初めてガンを発見してもらった職場近くの消化器科で大腸内視鏡検査をしてもらう。 相変わらずの辛い下剤による事前処理の後、しばらくぶりのカメラの挿入。 何度経験してもあまり気持ちの良いものでは無い。 辛い約30分の検査であった。
 結果は、幸運にもガンを切除した部分も綺麗で、大腸全体にも再発は無く、新たなポリープの発生も無いとのことで一安心。

 今回で3度目となる大腸の内視鏡検査だが、手術後は初めてである。 前の2回の検査同様に前夜8時までに夕食を終わらせ、午後8時過ぎに小さなビンに入った下剤をコップ一杯の水に溶かして飲むのだが、腸を切除した影響で、今回は下剤が効きすぎて、午前1時前後から頻繁に便意が襲い、明け方まで眠る事が出来なかった。 朝起きてから呑む2リットルの下剤も、前回と違い激しい下痢が続き結局最後の最後までトイレから離れることが出来ない状態となった。 
 普通の状態の人用の下剤なので仕方が無いと思うが、手術後の人間にとっては若干問題がある内容となっているようだ。 この検査で死者も出でいるので、再度検査の方法、内容について精査してもらいたいものである。


2004年   
10月26日

手術後2年経過でCT受診無事クリア
  おかげさまで、無事に手術を受けてから2年が経過した。 相変わらず排便と排尿の障害は多少残っているものの、さほど不便なく日常生活を送ることが出来ている。 9月の外来診療の際2年目を迎えたということで、予想したとおりCTで肝臓への転移の検査をすることとなる。 結構CTの検査は混んでいて、こらから最短の検査予約日は10月26日となるということで、最短日に予約を入れる。

 CTの検査には造影剤が使用され、場合によっては若干検査の後に体調が悪くなる可能性があるため、当日は午前中は通常とおりの勤務をこなし、午後から休暇を取って放射線部へ出かける。
 しばらく廊下で待つと名前を呼ばれ、検査室の中へ入り、ズボンを少しだけ下げて検査台に横たわる。 やがて放射線科の医師が来て造影剤を注射される。 本日の造影剤は「オムニパーク」と呼ばれるごく一般的な造影剤で体内に入ると一時的に体が「カッ」と熱くなる感じがする。 およそ15分程で無事検査を終え、検査後の体調不良もなく帰宅。

 11月の外来の際に検査結果を知らされたが無事何事もなくクリア。 以下、検査結果の内容を参考までにそのまま記載します。

検査名所:CT(肝臓〜骨盤)
造影剤:オムニパーク300シリン 生食 100 ml
検査目的:CTにて肝転移、リンパ節転移の有無の検査
検査結果
上部直腸術後状態。 術後部位ら腫瘍を再発を疑わせる腸管壁の肥厚像は認められない。肝に転移を示唆する所見は認められない。 胆嚢内腔に明らかな突出病変なし。 胆嚢壁の肥厚像なし。 両側腎の増強は良港。 両側腎嚢胞。 腹部、骨盤内にリンパ節肥大なし。 胸水、腹水なし。 直腸腫瘍術後、転移の所見は認められない。
 




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