通し番号「23」ピサ

「斜塔」

斜塔のつもり


ピサ行きの電車のホームは離れた所にあった。
ホームの入口に刻印器があり、切符を通すと駅名と時間などが印字された。
ミラノで電車に乗るときホーム係員に引き止められたので、今度はどうかな、と思ったが、支障なく乗ることが出来た。

夕方のピサ行きの電車はとても空いている。
電車が走ると涼やかな風が入り、気持ちがいい。たくさんのひまわり畑がある。とてもきれい。目で見たようには映らない、と思いながらカメラのシャッターを押す。

ピサに着いて斜塔までのバスの切符を買おうと自動販売機にお金を入れた。料金分を入れたのだが切符が出ない。おかしいな、と更にお金を入れたら切符が出たがおつりは出なかった。販売機のそばに運転手さんの休憩所があったのでおつりが欲しいと言ってみたが、にこにこされただけで、お釣は貰えなかった。リラ硬貨は新旧があり、自動販売機は新のものしか受け付けないのだ...私は旧300リラを自動販売機に飲み込ませてしまった。
ちょっとくやしい、と思っているうちに、バスは斜塔の広場に着いた。

明るい青の空と夕日に白く輝く礼拝堂とドゥオモと斜塔と緑の芝生。人々が芝生に寝転がったりしてくつろいでいる。絵のように、きれいだ。

私は背の小さい子供を探してカメラを押してくれるように頼んだ。すると彼女は人見知りするようにノーと言った。彼女のお母さんのような人が、押してあげなさい、みたいなことを言って、私は子供にシャッターを押してもらうことが出来、お気に入りの写真ができた。

ドォウモの中のガリレイの振り子を見たかったが、開場時間が日本で調べたものより短くなっており、見逃してしまった。またドォウモの青銅の扉に彫塑されたカエルやイモリを触るといいことがあるというので触りたかったが、柵がされていて触れず、(日本の摩り地蔵のように)てかったカエルなどを見るだけ見てきた。
斜塔が倒れないように補強がしてあると聞いていたのでそれを見に行く。予想に反して補強は、倒れろ、というように倒れかけてる上側に黒いものが載せられていて驚いた。私は仰向けになって斜塔の写真を撮り、それから芝生にごろごろしていた。

ドォウモ広場を閉める時間が来た。帰り道、まわりの土産物屋にはピノキオがたくさんいた。なぜピノキオなのか?前を歩く小さな男の子がお母さんらしき人に向かって“ピノキオ”“ピノキオ”と何度もピノキオを指差しながら言っていた。

駅までの道はフィレンツェより幅広く建物の背も低い。ちょっと田舎っぽい。途中川があり石橋がある。少し小樽に似ていると思う。

こうやって街をするする歩いているときがとても楽しいような気がする。

駅にあったファストフードのようなピザ屋でピザと飲み物と果物を摂った。
美味しかった。

深夜0時前にフィレンツェに戻り、荷物を受け取り、夜中の電車を待った。
お金はほとんどなかったが、さびしいので駅のマクドナルドに入ってみると
炭酸水を買えることが分かったので買うことにした。
隣では毛布を着たおじさんがビールを買っていた。こわかった。

再びピサに出て1時50分。ここをローマ発ニース行の電車が3時前に通るのだ。
何人か私と同じような旅行者が同じ電車を待っていたので少し気持ちが和らいだ。でも皆仲間連れで、私は一人だ。

電車が来て、やっと乗るとどの部屋も毛むくじゃらの男達がごろごろ寝ていた。これでは、乗れない。<続く>

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