通し番号「20」ミラノ(2)

「ドゥオモ」

ドゥオモのイメージ(ほんとはこんな色じゃないけれど)


少し灰色がかった細い塔たちが圧倒的に空に延びている。
ドゥオモの向かいの建物の縁に座って全体を眺めた。。。。すごい。
中に入り、しばらくして私は自分が泣いていることに気付いた。
そのときに誰かがこう言ったら私は肯いただろう。

このステンドグラスこそが神様である、と。

一日この場所にいてもいい、と思ったが、欲がでて屋上へ行くことにした。
エレベーターもあるが節約のため階段で上に登った。その眺めは(アルプスの少女ハイジがフランクフルトの教会から見た屋根のシーン)を思い出させる。
屋上ではたくさんの人が写真を撮っている。私は首に立派なカメラを下げた人に“ミスクージ”と言ってカメラのシャッターを押してもらった。私も誰かのシャッターを押したりしながら、しばらくして降り、もう一度中を見てから近くのアーケードへ行った。アーケード街は、外国、という感じがした。カフェに一人で座っているお婆さんがいた。すごく着飾っているのが寂しそうに見えた。

それから歩いてスフォルツェスコ城へ行った。
城、と言っても2階建てという感じで、なんとなく東京丸の内のお堀っぽいと思った。わくわくしなかった。それでも城内に入りこんで古い遺跡のようなものをいくつか見た。面白くなかったが、人が余りいないしひんやりしているので気持ちがよかった。でも焦って外へ出た。私がミラノで一番見たいものはダヴィンチの最期の晩餐だったので、それを見るまでは気が静まらなかったのだ。

露店で売られているピザを買って食べ歩きながら
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ聖堂へ向かう。着くと1時だった。
行列が出来ていた。鑑賞はあと45分ぐらいで締め切りなのに、こんな行列じゃ入れないかも。と思いながら入場料を確認すると、
今の私の所持金1000リラでは全然たりない!

1000リラではメトロにも乗れない。
私は地図も見ずにATMを探し走った。
にぎやかな市場があり、後で寄ってみようと思いながら走りつづけ、
やっとATMを見つけカードを入れた。
機械の画面には見慣れぬイタリア語が現れ、お金は出てこない。
どうしたのだろう。
何度もカードを出し入れしていると後ろに男の人が来た。何か話し掛けてくる。一瞬怖いと思ったが、(何ですか?という顔で)“ミスクージ。”というと、彼は

“君のカードは壊れてるんだよ”

と言っているようだ。画面の文字を落ち着いてみると
英語の(壊れています)という言葉に似た綴りになっている。

私は“グラーシアス、ん、グラーツィエ。”と言ってATMを離れた。

どうしよう。カードが。。。。<続く>

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