通し番号「13」ニューヨーク(9)

「信じられない」


アメリカ自然史博物館の中。

まず、バスルーム(トイレのこと)へ行きたい。
なのにここもまた迷路。地図通りに歩いていると思うのだが全然みつからない。
方向感覚はさておき地図さえあればどこにでも行ける自信があるのに、まるでだめ。やっと着くと“ここは使えないよ”と言われる。監視員がいっぱいいて、都合か何なのか地図には入れると書いてあるのに入れない場所がたくさんある。
どうにか用を済ませたので、館内を見学する。待合わせ場所‘鳥の広場’を確認したら、まずはアジアを見よう。と思い、鳥の広場へいくと、その横にブードゥーの様なものが見える。何だろう、と思って覗くとアフリカだった。
ちょっと私が見ただけでも全然アフリカにみえない。それからアジアのコーナーへ行った。中国・韓国そして日本。日本もほとんど日本じゃない。

時間が来たので‘鳥の広場’で待っていると、嬉しそうな顔でMが現れた。
「よかったよ!ツアー!最高だった。ああ、いいなぁ夢のようだった」

私達は鳥の広場を見た後、私がアフリカとアジアにMを連れていった。
「どうみても偏見としか思えない。鳥の広場はいいけどね。」
と私が案内する。アフリカには戦う時の装備が何体も並んでいるが、まるでフジツボのようないぼいぼの鎧....みの虫みたいなはりはりの鎧....
「うっっ、これは....」 ついで日本も見せる。
「ほんと、これは偏見....」 とM。
日本のコーナーにも一つだけ本物と思える掛け軸があったが、他は、こんな感じかな、という風に作られた何か別のものである。これから推すると他の国のものも誇張された作り物としか思えない(本物だったら申し訳ない)。
真偽は置いておいて、何も考えずに眺めると、すべて面白い。

記憶に不安を覚えたので、図書館でガイドブックを借り、改めて読んだ。いま分かったことを書いたので、よかったら下の「注釈」をクリックしてください。
そろそろMOMAに向かわなければ。今日は夜間開場の曜日、それを当てにこの博物館に寄ったのだ。でも少し時間があるのでオノ・ヨーコの‘イマジン’を見に行こうとMが言う。セントラルパークにはさっき行ったばかりだがまぁいいかと思う。
公園に入ると、ちょっと待って、とMは煙草を吸う。ニューヨークでは歩き煙草をする人はないし、煙草を楽しむ人もほとんど見掛けない。Mの煙草が終わるのを待っていると、セーラーカラーの服を着た男性が寄ってきて“火を貸してくれ”と言うのでMは貸してあげた。喜んでいた。なんとなくジョンのファンに見えた。
そして‘イマジン’を見たが、私達ふたりの感覚によれば謎の物体。
私がもしや、と思った建物はやはりダコタ・ハウスだった。
さて私のメトロカードはゼロになっているし、思い切ってバスに乗る。当たり前だが街中を走る、その風景が楽しい。途中で乗り換えてMOMAのそばまで来た。降りてMOMAに近づくと、様子がおかしい。入り口に着くと、あっけない立て札が。

“7月4日より夜間開場の曜日を変えました。よって今日は既に閉場しました”

・・・・。Mが7月2日にMOMAに電話して夜間開場の曜日を確認したのだ(録音テープの応答だったが)。なのに、なんで!!<続く>

ページのはじめに戻る


表 紙 へ 戻 る
旅の模様について 注釈 旅の準備 旅の軌跡