通し番号「8」ニューヨーク(4)

「ニューヨークの朝」


目が覚めると外は晴れていた。うれしい!
「なにしたい?」とMが言う。
「やっぱ自由の女神が見たい。あとはエンパイヤ・ステート・ビルディングと
MOMAに行きたい。アメリカ自然史博物館というのが少し行ってみたい。」

ということで、Mが私のためにも、とも思って予約を入れていたジャズクラブは、飛行機着陸時刻の関係でキャンセルし、とにかく外へ出た。
「ベーグル、たべよう!」
Mはベーグルが好きなのだ。ベーグルとはリングドーナツ型をしたパンである。

道に出ると‘店’がたくさん出ている。屋台のように動けそうなそれは一畳程の広さの背の高い箱型、ガラスのショウウィンドウを持ち、そこにベーグルやドーナツ、バナナ等の果物がぎっしり詰まっているように見え、とても美味しそう。新聞等も揃っている。Mが私に食べたいものを聞いてくれ、まとめて買ってくれた。
中がどのようになっているのか分からないが、ホットコーヒーも買える。

買ったものを道で食べる。ニューヨーカーは歩きながら食べている。
道には椅子にちょうどいい高さの花壇的巨大植木鉢と言っていいのか、そういうものやベンチがある。私たちは適当な鉢に座ってひとくち。美味しい!ベーグル!

すると脇に大量の服を重ね着してまるまるとなった人が来た。
「あ、ホームレスだよ。何かあったらいけないから移ろう」
とMが言う。
そう思うのは悲しいことだが、私達は一介の旅行者。初めて来たアメリカ大陸の大都会で安全に対する判断を下すのは容易なことではない。さびしいことだが知り得ないことからは 避けて逃げて 賢明、というのが事実だろうと私は思う。
冒険するのは私達には まだ早い、と自覚して、さりげなく、席を立つ。
「花壇、冷たかったしねー」
と何となくお互い言い訳た気分。
ベーグルを食べ歩いていると、道にバナナの皮を発見、Mは言う
「ニューヨークって、すごくバナナの皮が落ちてて、自分も食べたくなるんだ」

シティバンク銀行に行ってクレジット・カードでキャッシングし、アムトラックのペン駅でワシントン行きの切符をカードで買った。この窓口の人は親切で言葉も通じ、“所用時間は余り差がないのに特急と急行では40ドルも違う”と教えてくれたので、私は急行を選んだ。US$60.-。切符には私の名前がちゃんと入っている。

さて、地下鉄(サブウェイ‘subway’)の入り口に着いた。
サブウェイの回数券はプリペイドカードで、私はMの薦めにより$6.00-分買う。改札を抜けるごとに購入額が減っていく。そしてゼロになったら、サブウェイの窓口でお金を払うと その分だけ充填できる(日本のプリペイドカードも充填できればいいのに、と思うが何かが未解決なのだろう)。Mは充填してもらっている。
そして改札を通るのだが上手くいかない。Mが必死にコツを言うのだが難しい。表現できなくて残念だ。ともかくやっと抜けることが出来、ホームに立った。

実際この街で暮らす人々には失礼だが、私にとってはすべてが映画の中のよう。Mが隣にいるものの、なんだか夢見ているみたいだ。<続く>

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