「あの長身の婦人は誰ですか」「ギャルダ・アンダーソン」「随分辛口ですね」マドマゼ
ル・ドゲの家で絵の批評会。フランス人ルシアン・グガニエ、カナダ人ヘラルド・クルン
ダー、日本のトシオ・ムナカタ3人の画家が集まる。庭先のベンチに3人の絵が並ぶ。「
あの絵は、何なの、あれがプロヴァンス、理解できないわ」ヘラルドの絵は、単純な色形
でプロヴァンスの印象を表現した抽象画。ギャルダ・アンダーソンの矛先がヘラルドの絵
に向かう。「僕にはこう感じるのさ、カナダと違ってプロヴァンスは、こじんまりした印
象です」ギャルダの激高とは対に落ち着いた表情のヘラルド。「もう少しましなプロヴァ
ンスは、ないの」具象画にしか絵の価値を認めないらしい。随分身勝手な見方だ。一方そ
れを堂々と主張する姿勢にあこがれる。1975年春、ギャルダとの初めての出会い。そ
れから20年近く、このおしゃれで個性的なオランダ夫人との付き合いが続く。