濃淡のはっきりした陰が続く道、久し振りでアニタの家を尋ねる。少し坂を登った所に赤
いカンナの一群。「オッオーいる?」チギョルの葉が茂る、ひっそりと落ち着いた庭。白
くペンキで塗った手押し車の上に黄色いバラが咲く。「家族は、元気?」「うん、日本で
ね」アニタは、以前、村中にサロン・ド・テーを経営していた。家族で食べに行った、ど
甘のケーキが懐かしい。木陰の椅子で新聞を読むルイ。ワイン用の葡萄の栽培をしていた
が今はリタイアして一日家にいる。「トシオ、ちょっと来て」アニタが家の中に案内する
。「私のコレクションよ」居間の壁にサロン・ド・テーをモチーフにした絵が並ぶ。窓辺
に椅子とテーブルどれも個性があっておもしろい。「あの穴蔵は」「昔のCAVEよワイ
ンを貯蔵していた」100年前から続く家、住人が色々に改装する。「いつか私もアニタ
の庭を描きに来るよ」「頼むわ」庭に出るとルイがパスティスを用意。「ア・ソンテ!健
康に乾杯 」