「第40回日本小児神経学会総会」に行って来ました

 といっても、実は日本の場合、医学関係の学会には医者以外は参加できないんですな、これが。私は昔、仕事の関係で「日本教育工学会」というのに入っていたので、学会に入るのに学位がいると聞いて驚きました。というわけで、実際に行って来たのは、学会のイベントとして開催された公開シンポジウム「重度障害児の医療と生活支援」で、このシンポジウムの会場前に難病の子供支援全国ネットワークが用意したブースでMLD HomePageの宣伝と、MLD患者の家族からの連絡を求めるチラシの配布をさせてもらったわけです。

 重度障害児の医療を考える上で、家庭、学校を含めた生活全体を考える必要がでてくるのは当然でしょう。医者のほうも治療を進めて行く上で、その全体像を知る必要が必ずでてくると思います。一方、われわれのような稀少難病の患者を抱えた家族の場合、必要十分な情報を一般のマスコミ、あるいは主治医だけを通じて得ることは事実上難しいわけですから、場合によっては直接学会に参加して勉強したくなってきます。なにごともケース・バイ・ケースでしょうが、特に小児難病の場合には、学会と親、教育機関、行政担当者がいろいろな形で協力していくことが医学の発展のためにも不可欠だと考えます。

 実際、今回のシンポジウムも、東大の榊原洋一先生をはじめとする、そのような問題意識をもった方々が実現させた、エポックメイキングなものだったようです。じつは、今回出展したのも、難病の子供支援全国ネットワークの設立祝賀パーティーで榊原先生に進められたのがきっかけでした。満員に近かった参加者は、みたところ2割が学会から流れてきた医者、残りが親、養護学校などの教育関係者、保母さん、病院、医療関係者だったような気がします。このホームページでご紹介した鴨下重彦先生、以前から相談にのってもらっている渡辺章充先生ともお会いできました。

 シンポジウムそのものは、手の空いたときにところどころ盗み見るような形で見ていたのですが、マザーアンドマザーの榊原真智子さん(島旅作家:河田真智子)のスピーチが、難病の子供をもつ親の気持ちを代弁してくれるものとして心を打ちました。そういえば榊原さんのお子さんもうちと同じ東京女子医大に通っていたはず。スピーチの一部しか聞いてないのですが、「難病の子をもつ親は、診断がつくまでの間、先生はちゃんと病名を教えてくれていないのではないかと悩み、病名を聞いてもそれが今後の子供と自分の生活にどのように影響して来るかの情報を与えられないのでまた悩み、そういうことを聞いたり話あったりする仲間を紹介してもらえないのでまた悩む」というような話です。

 ブースを出していたのは難病の子供支援全国ネットワーク関係の団体で、小児難病患者関係の団体としては、稀少染色体異常児の「Four-Leaf Clover」、日本レット症候群協会、もやもや病の「もやの会」、人工呼吸器をつけた子の親の会「バクバクの会」、軟骨無形成症「つくしの会」、全国二分脊椎症児を守る会などが出展していました。小児難病の患者も数人来ていました。

 直前に楓子が入院し、しかも開催日の前日に熱性痙攣の発作を起こすというあわただしい状況だったため、難病の子供支援全国ネットワークの小林さんと連絡がとれず、実は、「MLDの会」ということで(そんな会はまだないが)ブースが1つ用意されていたのですが、それに気がつかず、他の会の机に間借りするような形になりました。机にはチラシとパソコン(MLD HomePageがオフラインでブラウズできるようにしている)を置き、背後のプレゼンボードにMLD HomePageのハイライトをカラープリンタで印刷したものを貼っておきました。特に呼び込みをするでもなく、地味な感じで静かにしていたところ、30人くらいが患者の家族の連絡会への参加を呼びかけるチラシをもって帰りました。パソコンはウケると思ったのに、実際に触ってみようという人は皆無でした(でも、ほかのブースからはうらやましがられた)。500万部くらい出ているはずの朝日新聞に載っても2人から連絡があっただけですから、30部くらい配ってどうなるもんでもないのですが、小野さんのところのように、熱心な療育関係者から患者の家族に情報が伝わることもあるので、少しは期待してます。

 出展してよかったな、と思えたのは、MLD HomePageをいつも見ているというご夫婦にお会いできたことです。お子さんが原因不明の病気で、インターネットを検索しているうちに行き当たり、楓子の状態を他人事とも思えず気にしてくださっていたということです。結局ポンペ病らしいのですが、つい先日「リソソーム蓄積症一覧」という資料を作ったばかりなのでびっくりしました。そんなに話ができたわけではないのですが、他の小児難病の患者会がどんな感じでやっているのかが少し見えてきたのも収穫でした。

capsul_back.gif (1896 バイト)


※このWebサイトはあくまで患者の家族が個人的に作成したものです。医学情報の扱いにはご注意ください。
 MLD HomePage/ロイコジストロフィー・ネットワーク mld@jura.jp