迷いたい!フェズ


2001/2/16(金) 7日目

 
 6時半に起床。朝食後、再び5000円をディラハムに両替する。

 近所の散歩。昨日の夕方は曇っていたのだが、今日はうって変わって快晴である。ホテル前で昨日市内観光した日本人の団体を撮った写真が並べられていたが、みな傘をさしていたり、レインコートを着ていたりする。添乗員氏によれば、その団体の添乗員にうらやましいですねと言われたとのこと。
 
 9時出発。まずはじめは、街全体を見渡せる高台に向かう。この高台は街の南側にあたる。フェズの街は、マラケシュとは違い、白い建物が多い。天気がよいこともあり、その白さが映える。緑屋根の建物が目を引くが、モスクである。緑はイスラムの色だそう。メディナは、巨大で世界遺産にも指定されているが、猥雑な感じはちっともしない。フェズの人口の半分はメディナに住んでいるという。果たして、あそこは迷宮なのだろうか。

フェズ全景

 午前中からお昼にかけて、この迷宮と呼ばれるメディナを歩く。例によってぞろぞろと歩くが、マラケシュとは違って、バイクなどは旧市街には入れないため、多少は余裕を持って歩くことができる。写真もずいぶんとたくさん撮れた。歩きやすいこともさることながら、行列についていきつつ、他の事をすることに慣れたのかもしれない。
 メディナは、地区毎にいろんな業種がある程度まとまっている。鍛冶、銀やブロンズ細工、着物、革製品、やおや、その他食料、などなど。1つの地区をじっくりみるのが楽しい。けれども、ツアーなのでそうもできず、迷うこともかなわない。
 門から中に入ると、まず、にわとりを売っている露天がある。ニワトリは生きたまま売られており、足がしっかり縛られている。カメラを向けると、にっこりとほほえんでくれるおじさんもいる。メディナの中は観光客も多いこともあって、写真を撮られることを嫌がる人はそんなに多くないのかもしれない。ただし、やはり、嫌がる人(特に女性)もいるので、十分な注意が必要ではある。
 古い隊商宿、やおやのスーク、ブロンズ細工のスークを通った後、アンダルスモスク。9世紀に作られた古いモスクである。コルドバから来たアンダルシア人のために作られたというのが名前の由来。見ることが出来るのが門のみで、中を窺い知ることはできない。近くに共同の水場がある。
 メディナの中心、カラウィーンモスク。メディナで最大のモスクで、高台からメディナを見たときに、ひときわ目立っていた緑屋根である。北アフリカ最大のモスクでもあるらしい。これも9世紀に作られたもので、10世紀にムラービト朝の時代に、壮大なモスクとなった。また、大学としても使用されていたとのことである。中には入れないが、門が何カ所かあり、モスクの周囲を歩くと、その途中途中で中をのぞき見ることができる。
 

 そんなかんじで、1時間ほど歩いて、なめし皮染職人街、ダッバーギーンに行く。ここでは、2階のテラスから作業風景を見学することが出来てとても興味深い。円形の染色液に皮を浸して染色する作業なのだが、色とコントラストが強烈である。それに臭いも。ものすごい臭いがする。ここでは、皆にミントの葉を配っている。鼻にあてて、臭いをごまかせということらしい。わずらわしいので、使わなかったが、この臭いこそ嗅ぐべきだろうと思う人はあんまりいないか?
 ここではトイレ休憩もかねていたので、30分くらいいたが、見ていて飽きなかった。このような仕事をしているひとの身分とかそういうことに思いがいってしまうが、いずれにしても、普通の人がやりたがらない仕事には違いない。テラスは、革製品屋の2階でもあるが、それら高級製品がこのような臭いを発していたかと思うとまた妙な感じがした。

なめし皮染色

 この後は、絨毯屋に連れて行かれる。添乗員氏は、
「トルコやエジプトの絨毯よりは落ちますが。。」
などと言っている。全く正直な添乗員氏である。もっとも、どこの土産物屋に連れていくかとかは、モロッコの旅行会社が取り仕切っていることなので、添乗員氏の懐がどうこうなるという話でもないのだろうけど。
 例によって、ミントティーを飲ませてもらいながら、絨毯やらキリムやらを見せられるが、確かにトルコのよりは落ちるようだ。値段交渉をしてるのを横目で見ながら、居心地が良いので、まったりモードである。ここの絨毯屋の建物自体かなり古く、14世紀くらいのものらしい。今いる場所は、中庭の天井を覆って広間にしたものである。天井が高いので、すごくゆったりした気分になるのだ。とはいえ、朝方の寒さを引きずって、ちょっと肌寒い。夏の暑い時期になれば、快適な空間になるのだろう。この周辺には、このように、古い建物を改造した、店やホテル、レストランなどが多いとのこと。

 絨毯屋のとなりが、レストランになっており、ここで昼食。ここも、古い建物を利用している。少し寒いということでここではストーブが入っている。ここのイスはふかふかで、寝っ転がることが出来る。例によって、料理はすぐに出てこないので、横になり、天井や柱の幾何学模様をぼんやりと眺める。そうすると、意外と退屈しない。無機的な幾何学模様なのだが、なんとも不思議な感じがする。そういえば、実際、昔の王侯貴族は寝そべり天井を眺めていたというし、神学校の学生も寝っ転がって、思索していたとか説明していたような気がする。なるほどという感じ。
 料理はサラダにチキンのタジン、フルーツ、ミントティ。
 

 金曜日で、イスラムの安息日ということもあり、午後から閉める店も多いとのことで、普段よりも人が少ないのだそうだ。バスに戻り、王宮へ向かう。現在は、国王がフェズに滞在するときに利用するとのことらしいが、いずれは一般開放したいというのが国王の意向だという。観光客を5倍に増やして、年間1000万人を目指すのだそうだ。

 王宮のすぐそばがかつてのユダヤ人街となっていて、ここを通ってバスに戻る。ユダヤ人の家の特徴は張り出したバルコニーにある。現在の住人はユダヤ人ではない。イスラエルの建国とともにユダヤ人はほとんどいなくなってしまったからである。そういえば、モロッコはアラブ圏なのに、イスラエルとの関係は良好らしい。古代から多数のユダヤ人が住んでいて、王朝の要職を占めていたりした。実際、前国王の葬儀には、イスラエルから首相をはじめ、閣僚級の人間が多く参列したようだ。

 その後、メディナで一番美しいと言われる、ブー・ジュルード門から再びメディナに入る。青色で施された模様が印象的である。ちなみに裏側の模様は緑色になっている。
 またメディナに戻ったのは、ブロンズ細工屋に連れていかれたからである。ブロンズだけでなく、銀細工も扱っており、細工の細かさも素晴らしいが、値段も素晴らしい(高い)。完全に冷やかしモードで見学する。ここの説明のおじさんも日本語を話す。直立不動の棒読みではあったが。

 夕方4時というのに、日はまだ高い。朝一番で行ったのは南側の展望台であったが、今度は、北側の展望台に行く。
安息日というのは、我々の日曜日という感覚で良いのだろうか?みんなのんびりした雰囲気でひなたぼっこしたり、遊んでいたりする。

のんびり風景

 
 おみやげ攻撃第三弾ということで、陶器工房へ。もともとは、メディナの中にあったらしいが、煙がすごいので、追い出されて、現在は、町外れにあるとのこと。ここまで、おみやげらしいおみやげは殆ど買っていないので、適当に買う。絵柄はともかく、なんか強度的に弱そうな感じの皿だなあと、思っていたら、実際持ち帰った皿が1枚割れていた T_T

 ホテルに帰る前に再び、スーパーに寄って貰ったので、おみやげ用のタバコを買い足し、アラビア語の絵本?を買った。
 
 ホテルの夕食後、添乗員氏と席がいっしょになって、その席にいた5、6人で盛り上がる。旅行業界の裏話。

 

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