4時起床で5時出発。まだ真っ暗である。モロッコのこの時期、日の出は7時くらいである。ツアー一行は、ランドローバー7台に分乗してエルフードから60km離れたメルズーガの砂丘を目指す。
はじめは道らしいものがあったのだが、だんだん道無き道になっていき、車もがたがた大きく揺れるようになっていく。我々の乗った車の運ちゃんは他人と同じ所を走るのが嫌いみたいで、他の車と離れて、全然別な所を走っていく。真っ暗な中を快走。楽しい。1時間で到着するが、あたりはまだまだ暗い。かなりの観光客がいるようである。我々はラクダで日の出地点まで往復することになっている(一人10ドルもしくは、100ディラハム)。薄暗い中で、ラクダが口をもぐもぐさせている。相棒が気味悪がっている。下に黒いつぶつぶがたくさん落ちているが、これがどうやらラクダのふんらしい。ラクダは、2人乗りで、前に私、後ろに相棒が乗る。御者がラクダの首根っこ押さえてる時に、前から順番に乗り込む。乗っかったあと、ラクダは後ろ足側より立ち上がるので、一瞬大きく前のめりになる。しっかり捕まっていないと落っこちる。当然の事ながら、ラクダから降りるときも同じことである。
ラクダの上は快適とまではいかないが、歩かずに済むのはやはりラクには違いない。一応、鞍の前部に横棒がついていて、それに捕まっているのだが、油断すると落っこちるかもしれないという感じはする。そんな感じで砂漠を登っていくうちに、あたりが少しずつ明るくなっていき、砂漠の全容がはっきりしていく。砂が赤い。15分ほど乗った後、ラクダから降りて、さらに砂丘1つを歩いて登る。丘の上に、ござを敷いてもらい、座る。砂漠の丘の上に、御一行、それに他の団体がずらりと並んで座っている。日の出まではおよそ20分ほどあるのだが、案内してくれたラクダの御者のおじさんが、ゆっくりとさせてくれない。いろいろ話しかけてくれたり、写真を撮ってくれたりしてくれるのはいいのだけれど、砂漠を観ながらぼーっとしたいでしょ。やっぱり。最後には、予想どおり、アンモナイトかなんかの化石を出してきて商売をはじめる。ほんの5、6cmくらいの大きさのものなのだが、はじめは、1個100DH。1000円ということ?聞いた話によると、この手の化石は珍しいものではなく、じゃんじゃんとれるらしい(昔は海だったので)。高いよ、と言っていたら、2個で100ディラハムになった。おまけに、家族が多いとか、生活が大変だみたいな話をはじめる。と、日が昇ってきた。おじさんを無視して、カメラを向ける。
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結局、その化石2個を100DHで買った。後で、いろんなおみやげ屋をみたけど、それでも少し高かったみたい。
日の出後、10分程で帰途につく。ほんとはもっと長い時間いたいのに。昼間どれくらい暑くなるか体験したい気もする。
再びラクダに乗って、車の駐車地点まで戻る。行きは真っ暗でよく分からなかったが、明るくなって、ラクダに乗るのも楽しいと思えた。前のラクダに乗っている人の写真を撮ったがことごとくピンぼけ。揺れる、揺れる。ラクダから降りると、御者のおじさんにチップを要求される。さっき、チップ代わりにボールペンあげたつもりなんだけど。そんなことはお構いなしのようだ。10DHでは、足りないと言われて、20DHあげた。それが、ここの相場のようだ。おじさん、もらうものをもらったら、さよならも言わずさっさと引き揚げていった。あっさりしてるな。全く。
その後、車でホテルに戻る途中、ベルベル人のテントを見学する。羊や山羊が放し飼いにされている。ミントティをごちそうになる。
ホテルに戻ったのが、9時少し前。それから遅い朝食をとる。
毎日、毎日、バスの長距離移動が続くが、今日が最大の移動距離らしい。再びアトラスを越えて古都フェズを目指す。
ズィス渓谷にて写真ストップ。下に集落やナツメヤシの群生。向こうの山は上面が真っ平ら。真っ平らな頂上の山をよく見かける。休憩していると、今日の砂漠見物の間、我々の写真を撮りまくっていた観光業者が車で追いついてきた。現像した写真をホテルで売りつけようとしたが、間に合わずに追ってきたらしい。例によって、1枚20DHで売りつけようとする。よく撮れている写真が1枚あったので、買おうとしたら、10DHしかない。おつりもないとかやっていたら、バスが発車しそうになって、じゃあ、10DHでいいよ、とサービスされた。10DHでも高いんだけどね。
しばらく走ると、エルラシディア。カスバ街道の終点でもある。ここで休憩。近くに飛行場がある。サウジアラビア航空の飛行機が停まっている。
飛行場
ここから、再びアトラス越えである。添乗員氏によると、去年の12月来たときには、雪で通行止めになり大変だったらしい。例によって、車窓の風景がダイナミックに変化していく様が面白い。山に刻まれた地層が面白い。今日は、朝早かったので、バスの中で熟睡している人が多いが、もったいなくて眠ってられない。
山脈を越えて、ミデルト。このあたりは、リンゴの産地として有名らしくて、リンゴの木があちらこちらにある。昼食は、ここのレストランである。シシケバブ。日本人用なのか、牛肉である。確かに、羊より牛の方が、なじみがあり、実際、口にあう。
この先、再び山岳地帯が続く。最高地点はザード峠で2000mある。このあたりはアトラス杉の産地らしい。残雪、それに、雪が溶けて沼になったところが、所々に見える。気温もだいぶ低いようだ。
ここまで、ずっと快晴状態が続いていてのだが、雲行きが若干あやしくなる。路面が濡れているところがあって、雨が降った後のようだ。
おもむろにバスが停車する。野生の猿。よく知らないが、珍しいらしい。添乗員氏もはじめて見たとのこと。ただ、バスから降りてよく分かったが、道路の周辺にはゴミが多い。車からぽいぽい捨てるのか?
野生の猿
最後の休憩地が、イフレン。モロッコのスイスと呼ばれている。ここでも標高は1500mくらいあって、いわゆる避暑地なのだそう。フランス人が作った街ということで、いかにもヨーロッパ風の建物と町並みが続く。モロッコというか、アフリカとはとても思えない。
モロッコのスイス
夕方、かなり暗くなってフェズの街に入る。ホテルは、今回のツアーで一番豪華だと思った。でも、暖房は故障で入らなかった。