ガンガーちらり、午後はまったり


99/9/23 インド6日目



 朝4時半に起床し、5時過ぎに出発。ガンガー(ガンジス河)の沐浴をボートで見学するのだ。ただ、今は雨期で増水しているため、ボートに乗れないかもしれないと、前日ディープ氏は言っていた。
 バスで、ボート乗り場の近くまで行き、そこから歩く。早速、物売りの攻撃が始まる。子供の物売りが多く、しつこさは半端ではない。
「いらない」
「なぜ、いらない?なぜ、かわない?」
「いらねー」
「いらねー、いけないことば。くるくるぱー、いけないことば」
こっちが怒っていることは到底伝わらない。
あるいは、
「うしかうかー、うまかうかー、いぬかうかー」
買わんちゅうに。

 ボート場まで行くと、増水したガンガーがすぐそこまできている。流れはかなり速い。やはり、ボートには乗れないようだ。

ガンガー1
 すぐそばの狭い路地を入り、ガンガーを見晴らせる展望台に向かう。この路地、狭い上に、牛が多い。牛は絶対によけようとしないので、こちらがちゃんとよけて進まなければいけない。おまけに、足下には至る所に牛のうんこが落ちてるので、前見たり、下見たりと忙しい。相棒は、悠然と前進してくる牛にきゃーきゃー言っていた。
 展望台の入口のところで、
「おじさん、かうかー」
と物売りに声をかけられるが、前を歩いていたディープ氏が、
「おじさんじゃない、おにいさん」
と一喝。女性陣によると、昨日、ディープ氏と彼の年齢の話題になったらしい。皆40近い年齢を予想してたら、実は28歳だったとのこと。この事がディープ氏にとってはことのほかショックだったようだ、というのが女性陣の見解である。
 彼は、うっすらと口ヒゲを生やしているのだが、Kさん組は、
「絶対、ヒゲそった方が若く見える」
などと彼に言っていた。

 展望台には、外国人観光客が大勢詰めかけている。見渡すと、ものすごい水量と流れの速いガンガー。登ったばかりの太陽がまぶしい。

ガンガー2

 20分ほど見物した後、ヒンドゥーの寺院(ヴィシュワナート寺院)へ歩いていく。カメラを預けて中の敷地に入るが、金箔でおおわれた寺院を外から眺めただけである。イスラムのモスクもすぐ近くにあるが、柵で厳重に囲われている。ヒンズー教徒による破壊から守るためだそうだ。なんでも、ここ最近、ヒンズーとイスラムの緊張が高まっているらしい。インドとパキスタンの緊張が影響しているのだろうか。

 その後、バスに戻り、ヒンドゥー大学へ。広い敷地。中はきれい。その中をバスで回る。それだけである。たいして面白くもない。

 帰り間際に、 インドの大きな立体地図 があるヒンドゥー寺院(バーラト・マーター寺院)へ。外見的にはあまり寺院に見えない。子供が寄ってきて、バクシーシをねだる。けれども、身なりからして、そんなにひどい暮らしの子供でもないようだ。タコ揚げしてる子供がおり、ひょうひょう組がタコ揚げさせてもらってた。

 という感じで、早朝のヴァラナシの観光は終わり、ホテルに帰り朝食をとる。体調の悪い人はバナナが朝食。バナナが大人気だ。

 休憩後、サルナートへ。ヴァラナシからおよそ10キロのところにある。ブッダが初めて説法をしたところといわれている。ここでは、仏教寺院と遺跡、そして考古学博物館を見学する。遺跡を散策したら、えらく汗をかいた。今日も暑い。
ムルガンダ・クティー寺院

 ホテルに戻って昼食の後、午後は自由行動となる。自由行動とはいっても、ホテルからあまり離れないようにとのこと。もっとも、我々とカップルの彼氏以外は、マッサージに行った。ディープ氏曰く、
「とても気持ちいい」
マッサージなのだそうだが、結構いい金額とられるらしいし、第一、あんまり興味がないしでパスした。
 集合時間まで2時間ほど。ホテルの近くの大きな通りまで足をのばしてみる。とりあえず、カップルの彼氏といっしょに。
 歩いてほどなくして、インド人が寄ってくる。言い寄ってくるやつにろくな奴はいないと思って無視してたら、彼氏の方へ。
「大丈夫ですよ、僕らが泊まっているホテルで働いている人みたいですよ」
と彼氏はこちらに呼びかけるが、うちらは警戒モードである。
 という具合に歩いていくと、案の定、織物かなんかの店へ連れて行かれた。彼氏が店に入った後、インド人が、あなたたちもおいで、と誘うが、
「何も買う気はない」
と相棒が答えたら、あきらめて店に入ってしまった。
 相棒は、彼氏が店に連れ込まれたことに、責任を感じてたみたいだが、子供じゃあるまいし、大人なんだから、彼の責任である。

 大通りを行ったり来たり、写真を撮ったり、適当に過ごすが、とにかく暑いといこともあり、早々にホテルに帰ることにした。帰り道、声をかけてくるサイクルリクシャーの運転手が後をたたない。

 ホテルの入口の木陰が涼しいので、そこの縁石に座ってだらけてると、インド人が寄って来た。いろいろ話を聞いてると、ホテルに出入りしてる洗濯屋さんのようだ。例によって、彼もどこか店かなんかに連れていこうとするが、待ち合わせの時間があるのでと断る。
 このおじさんとしばらくいろいろと話して時間をつぶす。写真を撮ってあげたらことのほか喜んだようで、ホテルの名刺を出して、ここの住所に写真を送ってくれとお願いされた。

 待ち合わせの時間にロビーにいると、ディープ氏と残りの連中がやってくるが、どうやら、乗る予定の電車が大幅に遅れているらしい。とりあえず、また迎えにくるまで、ここにずっといてくれとのことである。
 それから、例のカップルの彼氏であるが、とんでもないものを買わされたということはなかったようだが、それでも何か小物を買わされたようだ。
「しつこくて、参りましたよー」
とのこと。

 ということで、どこにも行けず、ホテルのロビーにてまったりと待つ。暇なので、ホテル内の土産物屋をひやかしたら、都合のいいことに日本語が堪能な店員がいたので、いろいろ話をして時間をつぶした。川越(埼玉)で働いていたらしい。
 おみやげに変な象の小さな置物を買った。

 ようやく6時にホテルを出発。駅に着いて外に降りると、ザーッと雨が降り出す。小降りになるまで、バスの中で雨宿りをすることになった。我々の他にポーターのおじさんたちも中に入って雨宿りをする。女性陣は、
「これじゃ、うんこがどろどろにとけて広がっちゃうね」
などと言っている。確かに。
 激しいふりだが長くは続かない。小降りの中を駅まで歩く。ここで持ってきた傘が役に立った。

 駅のホームは例によって薄暗い。ナトリウムランプの黄色い明かりがあるだけである。うんこで汚れたのが気になるのか、サンダル履きの相棒や、カップルの彼氏がホームの水道で足を洗っている。
 ふと気がつくと、のっそりと、後ろから牛が!おいおい、駅のホームにまでいるんか。どっから入ってくるんじゃ、一体。

夜のホーム
 かと思うと、何か大きな荷物をかかえてやって来ては、いきなり、それを展開し、料理しはじめるおじさんもいる。なにかの商売らしいが、なんでもありだなあ、まったく。
 お次は人形売りである。最初はみな無視していたが、ひょうひょう組が値切りに値切り、たったの3ルピーで人形を買っていた。
「この子、すごいブス」
と言って、ぶさいくな人形に喜んでいた。こういうのが、結構いい土産なったりするものである。ほんとにひょうひょうとしてるな、この2人は。

 そんなこんなで、待つこと1時間ほどで電車がやってきた。

 今日の寝台車は、2段式。例によって冷房はしっかり効いている。窓側の上下に相棒と陣取る格好となった。
 さすがに、このままでは寒いので、ディープ氏が毛布を調達。この時、なんでかよく分からないが、毛布持ってくる係りの人にボールペンを要求される。余分にあったので、あげたらえらく喜ばれた。胸のポケットにさして、おじさん得意げ。手頃に喜ばれる日本製品らしい。

 夕飯は、またもやホテルの弁当。皆お腹の調子が悪いからなのか、バナナが2本入っている。荷物は、寝台の下に置くのだが、ここに来て持ってきたチェーンロックが役に立った。この辺はマニュアル通り。

 することもないので、9時くらいには寝てしまった。

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