概略
大覚寺、曼朱院、青蓮院と並ぶ門跡寺院(皇族が出家すると入寺するところが門跡寺院)。仁和寺は歴史も古く、実際に法親王が住職を務め続けたお寺。
大きな門、入ると白い砂利が広がり、左手に寝殿と勅使門、右手に霊宝館。まっすぐ眼が五重塔へ伸び、そちらへ進めば小さな門。そこから上っていくと、金堂と五重塔を間近に出来る境内へ。小門の左手に、有名な御室桜が広がります。この境内だけなら、無料です(ただし、桜の季節は花見料がいります。)
旧御所の遺構、御室桜
青蓮院のように庭を楽しむというより、御所から移築された遺構が目に入ります。寝殿の美術も悪くないですが、庭越しに見える大きな勅使門、またそれらが周囲の壁や屋根と大きなバランスをとるところなど、大きく力強い建物でありながら、細工の優雅さが併存しています。それは紫宸殿から移築した金堂も同様です。建材の作り出すラインに、清潔な印象があるのですね。
御室で有名なのはもちろん桜。ここでの花見は2001年の旅日記に書きました。暖かさが本格化する4月中旬から下旬、花に酔えるすてきな光景。ただし、夏でも葉が生い茂り生命力豊かな桜を見る楽しみもあります。
霊宝館
春と秋の観光シーズンには、霊宝館の一般公開があります。別料金ですが、常時公開の寝殿よりも見ごたえがあると個人的には感じています。たとえば、門跡のつけていた筆書きの帳面に宿曜経(仏典の中で、インド占星術の理論を伝える)などを学んだあとがかいま見えたり、雅楽の美しい楽器が並んでいたりすると、何を見、感じ、考えていたのか、いろいろ想像が広がっていきます。それは、通常の公開ではなかなか得られない想像です。
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