概略
正式には禅林寺といい、浄土宗のお寺。哲学の路からさらに南へ下ると、洛東高校が見えてきます。そのすぐ先。
東山の斜面を利用した造り。玄関から廊下を通ってお堂を進むに連れて、回廊を上がってはお堂に入る、それを繰り返す構造です。秋の紅葉が有名ですが、一年を通して有名なのは、みかえり阿弥陀と呼ばれる仏像。念仏修行に励んでいた永観律師(平安中期)がいつものように歩みつつ念仏を唱えていると、ご本尊がともに歩んで念仏を唱えだし、驚いて佇む永観に「永観遅し」と叱咤したという由来。
どの季節に来ても落ち着いた佇まい。ただし、春と秋の混雑もすごいです。
山の斜面を利用していることからわかるように、明るくからっとした印象はありません。そういう空気は禅寺に多く、ここはもっととろりとした山の空気をふんだんに残しています。
妙な経験
私はここで以前、妙な経験をしています。回廊を歩いて、ご本尊のあるお堂へ向かう時です。障子が閉まっていましたが、「障子を開けてご自由にお参りください」と書いてあります。男性や女性の話し声が聞こえています。何を話しているかはわかりませんが、先客がいらっしゃるかと思いつつ、優しく障子を開けました。
誰もいません。とりあえず、お参りだけすると、回廊へ出ました。やはり誰もいません。何となくそのまま先へ進みました。別に怖くはありませんでしたし、嫌な気配もなかったし、変なことも起きませんでしたが、印象深いことではありました。
大学1年が終わった際の春休み(とは言っても2月)の経験です。寒くて人も少なかったことを、よく覚えています。
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