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写真表現の狙いや方向性

最初に、大まかな狙いや方向性を理解してほしい

 このコーナーで扱う写真表現ですが、それがどのような特徴を持つのか、ある程度の狙いや方向性を知っておいた方が、より深く理解できるでしょう。また、期待していた内容とは違うと、読んだ後で分かり、損したと思うこともないでしょう。そこで、狙いや方向性を簡単に説明します。これを理解した上で、本コーナーの内容を読んでください。

自分なりの写真表現術を公開

 狙ったような写真を撮影するためには、写真の表現術が必要です。世の中には、いろいろな写真表現術が公開されていて、写真を長くやっている人ほど多く知っているでしょう。私も、写真の先輩や友人から教わったり、自分で改良や発見してきました。そうした表現術を公開したいと思います。

 撮影時にどんなことを考えるかは、撮影者によって異なるでしょう。本サイトで紹介している内容は、初心者向けのものを除き、あくまで“私が撮影時に考えている内容”であって、普遍的なものではありません。その大前提を理解しながら読んでください。といいつつも、多くの人にとって役立つ内容だと思います。もし気に入ったら活用してください。

残念ながら、初心者は対象外

 本サイトが対象としているのは、初心者ではありません。初心者を何とか脱し、中級者の入り口に踏み込んだ人が中心です。それ以上のレベルを目指すとき、役立つ内容を提供したいと思っています。

 初心者から脱するのに必要な内容も、少しだけ解説しています。ただし、大まかな説明しかないので、詳しい内容に関しては、他の資料やサイトを参照しながら調べてください。

表現意図を伝えるのが最大の狙い

 私が写真表現で一番重視しているのは、表現意図の実現です。そのため、常に考えているのは「どうすれば表現意図が一番伝えられるか」であって、そのような写真を撮るれるような方法を探し続けています。

 表現意図というのは、もっとも簡単な言葉で表すなら「写真を通して伝えたい内容」です。もう少し詳しく表すなら「撮影した写真を見せることで、何を伝えたいのか」となります。

 言葉で表すと簡単ですが、実際に行うのは非常に大変です。通常、被写体を見て自分が感じたとおりには写らないですから。それを、何とかして伝わるように写すのが、写真表現術の役目です。

 では、どうすればよいのでしょうか。どんな風に撮影すればよいのでしょうか。この問いの回答こそ、本コーナーの解説内容です。ただし、写真の上達本に多い“なんとなく説明している風の内容”ではなく、“考えるべき点や手順まで明らかにした内容”に仕上げてあります。その分だけ、実際に役立つ内容となっているはずです。

 写真を用いた表現には、1枚だけで表現する単写真と、2枚以上を組み合わせて表現する組写真があります。どちらも解説の対象です。まず単写真を取り上げ、それを理解している前提で組写真を取り上げます。両方とも表現意図が大切ですが、その特徴はかなり異なっており、その辺も解説します。

素人が良いと感じない写真も含む

 写真に特別な興味のない人(つまり写真の素人)は、写真の良し悪しを決める判断基準として無意識に「その写真を見て面白いか」を用います。この「面白いか」に含まれるのは、印象が良いものに集中しています。より具体的に表現するなら、「美しい、優しい、安らぐ、格好良い、迫力ある、魅力的など」です。

 しかし、それとは正反対の写真もあります。「醜い、汚い、格好悪い、恐ろしい、みすぼらしい、情けないなど」です。こうした印象の悪い内容も、表現意図として設定できます。また、狙って撮ることも可能です。

 写真の腕を冷静に評価するなら、印象の良い写真だけでなく、印象の悪い写真も撮れる方が、より上手といえます。表現の幅が広いのですから。そのため、本コーナーでは、印象の悪い写真も積極的に取り上げています。

 もう少し補足しましょう。印象の悪い写真になったのは、表現意図の内容が、そんな印象を持つように設定されたからです。その表現意図を達成するように、表現術を使って撮影し、狙いどおりの写真に仕上げました。このように、表現意図を重視する方法は、幅広い写真が撮れるのです。

 もっとも強調したいのは、写真を見たときの第一印象だけで、写真の良し悪しを決めないでほしいということです。これが理解できれば、写真を見る目が1段成長したといえるでしょう。

写真の良し悪しは、最終的に好みで決まる

 少しでも良い写真を撮りたいと思っている人は、自分の写真の良し悪しが気になるでしょう。でも、待ってください。良し悪しを決める基準って、何が正しいのでしょうか。

 おそらく、そんな基準なんて見付かりません。最終的には、その写真を好きか嫌いかで決めるしかないからです。撮影技術が下手な写真であっても、その写真が好きなら、その人にとっては良い写真なのです。ただし、良いと思う基準が、いろいろなことを知ることで変わることは、よくあります。だから、永遠に良い写真であり続けるとは限りません。様々な写真を数多く見ることで、写真に対する考え方が大きく変わりますから。

 こういったことを踏まえると、自分が良いと思う写真を目指すのが、自然な流れでしょう。良いと思う写真を明らかにして、それを撮れるようになるのが。こんな考え方の人にも、本コーナーで解説している表現術が役立ちます。自分が目指す写真の印象を、表現意図に設定して、そうなるように撮影すればよいからです。

 前述のように、様々な写真を見るうちに、良いと思う写真が変わります。そんなときでも、狙ったように幅広く撮れれば、問題なく対応できるでしょう。新しく良いと思った写真を、狙って撮ればいいのですから。こんな特徴の表現術を、本コーナーでは取り上げているのです。

(作成:2003年9月3日)
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