菅原輔昭 すがわらのすけあきら 生没年未詳

式部大輔文時の次子。従五位下大内記。天元五年(982)出家。名は「すけあき」とも。
天延三年(975)の「一条大納言為光歌合」、貞元二年(977)の「三条左大臣頼忠前栽歌合」に参加。漢詩文にすぐれ、『本朝文粋』『和漢朗詠集』などに作を残す。拾遺集初出。勅撰入集四首。中古三十六歌仙

三月閏月ありける年、八重山吹をよみ侍りける

春風はのどけかるべし八重よりもかさねてにほへ山吹の花(拾遺1059)

【通釈】今年は閏三月があるから、春は例年より長いはず。春風も普段よりのどかに吹くにちがいない。八重といわず、もっと花びらを重ねて咲き誇れ、山吹の花よ。

【補記】「一条大納言家歌合」に款冬(やまぶき)の題で出詠されている。

題しらず

まだしらぬ古郷人(ふるさとびと)はけふまでに()むとたのめし我を待つらむ(新古909)

【通釈】急に公用で遠国に旅立つことになってしまった。そのことをまだ知らない故郷の妻は、今日までに帰って来ると期待させた私を待っているだろうなあ。

【補記】藤原公任撰『金玉集』によれば、東国から京に戻ったところ、急な公用でまた他国へ派遣されることになった人の代作歌。

【他出】金玉集、前十五番歌合、深窓秘抄、後六々撰

【主な派生歌】
人待たぬ時だに物のかなしきに来むとたのめし秋の夕暮(宗尊親王)
紅の色に出にけり梅の花来むとたのめし人のとふまで(藤原親子[新拾遺])


更新日:平成15年03月21日
最終更新日:平成15年03月21日