(Last update:09/09/26)
製作の経緯:
今回は久々の小ネタ ^^;
管理人はこの春からコーギーの仔犬を飼っている。夏も終わって日没が早くなり、夕方の散歩の時間にはだいぶ暗くなってしまった。そうだ、ライトが必要だ! というわけでジャンク箱を漁ってみたら、昔、実験用に作った秋月のキットが出てきたので、こいつを改造することに。
キットからの変更点:
発振回路はキットのままだが、
(1) LED x 5 とし、直列に抵抗を入れて明るさを均一化
(2) 100μH のコイルを、100mA 以上流せるものに変更
(3) トランジスタを 2SC2500 へ変更
(4) 定電流駆動用にトランジスタ 2SC3325 を追加
が変更点。
回路設計:
設計にあたっては「Pokkeの電子工作研究室」の「LEDを電池1本で光らせるコンバータ」を参考にさせていただいています。Pokke
様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
さて、この秋月キットを実用的なお散歩ライトにするには明るさが足りないので、単純な発想ながら
LED を増やすことにする。LED はケースとの兼ね合いから 5個とするが、単純な
5 パラレル接続では明るさにバラツキが出るので、多少エネルギー効率が落ちても
LED に直列に抵抗を入れて明るさを均一化する。LED は定格 30mA だが、目視的には
20mA でも差が無いので 20mA とする。すると総消費電流は 20mA x 5 = 100mA
となるが、キットに付いてくるインダクタ(定格 44mA ?)だと飽和してしまうので、100mA
以上流せるものに変更する。
また LED は定電流駆動が基本なので、LED に 20mA 流れたらフィードバックをかけることにする(参考)。具体的には、LED
に直列に入れた抵抗に発生する電圧が 0.8V (2SC3325 の VBE は一般的なシリコントランジスタの
0.6V よりもやや高い 0.8V) の時に 2SC2235 を ON にして、2SC2500 のベース電流を逃がすことで
2SC2500 を強制的に OFF にすればよい。この場合の抵抗値は、I=V/R (オームの法則)から求めることができる。即ち
0.02(A) = 0.8(V)/R であるから R = 0.8/0.02 = 40(Ω)付近となる。手持ちに
36Ωがあったのでこれを使い、最終的には 0.8(V)/36(Ω) = 0.022(A) の定電流駆動となった・・・ハズ。なお、定電流制御トランジスタには、実装スペースの都合上、手持ちにあったチップトランジスタ
2SC3325 を使ったが、性能的には 2SC1815 でもよい(VBE = 0.6V なのでむしろ
C1815 の方が望ましい)。
またLED に直列に抵抗を入れることによって効率が落ちるぶん、発振用トランジスタには
VCE(sat) が低いストロボフラッシュ用の 2SC2500 を使用(参考)して多少なりとも効率改善を狙ってみた。
実装:
2枚の基板は最後は 2段重ねになるため、部品の高さに留意が必要。コイルと
2SC2500 はそのままでは背が高いので寝かせて実装し、定電流制御トランジスタも高さを抑えるためチップ部品を使用した。チップ部品の足は非常にもげ易いので、ケースに収めた際に不要な応力がかからないように留意する必要がある。
ケースは、電動ドリルとヤスリがけで LED 用の角穴を空け、防水を兼ねて 2液混合エポキシ系接着剤で
LED を固定。またリード(犬の首輪につける紐)に繋げるための金具もエポキシ系接着剤で固定した。
使用感:
ランニングコストを考えて通常はニッケル水素電池で使っているが、そこそこの明るさは確保できているし、リードにぶら下げても邪魔にならない大きさ、重さに収まったのでひとまずよしとする。
まぁ、昨今、いろんな種類の LED ライトが安価に出回っているので、手っ取り早くはそれらを買ってくればいいのだが、明るさ、大きさ、重さ、電池のもち、ランニングコスト(ボタン型電池などは論外)等、全てのニーズを満たすものは案外見つからないのではないだろうか。今回の改造はキット代を入れても
1000円でおつりが来るので、トータルバランス的になかなか満足のいく製作であった。
反省点:
このライトはリードにぶら下げ、地面を照らすようにして使うのだが、LED がケースから飛び出す形になっているので、時々地面とこすれて
LED のレンズ (?) 部分が変形してしまった ^^; 発光面がフラットな高輝度 LED
を、ケースの表面から飛び出ない形で実装するのがベストだったかもしれない。
また、今更ながら電流制限抵抗に 0.8V も食わすのは非常にもったいない気がしてきた。完成後、オシロで測ってみたところ、1.35V
入力時では最大出力 3.2V で、36Ωには 0.4V 程度しか発生しておらず、定電流回路が働いていないことが発覚(核爆)。結局定電流回路が働くのは入力
1.8V 以上であった。もっとも、1.5V 入力で 36Ωに 0.6V 発生したので、C2235
の代わりに C1815 を使えば 1.5V から定電流制御がかかるはず。
おまけ:
1.5V で LED を光らせる、というネタは皆さんいろいろと研究されているようで、「1.5V
LED」をキーにしてググッてみれば、非常にたくさんの事例が見つかる。参考にさせていただいた「Pokkeの電子工作研究室」や、最近では「Joule
Thief」あたりが話題になっているようだ。どちらもバイファイラ巻きコイルを使った昇圧回路だが、部品点数が極めて少なく魅力的。これならかなり小型化できるし、コイルが効率を左右することもあってチューニングの楽しさ満載。管理人としてもいづれ試してみねばなるまい。
2009/09/26 追記:
その後、効率重視で再製作してみた。詳細はこちら。