1969年型マスタングに代わって2008年4月から私の愛車となったのはポルシェ・ケイマン。 ボーズの手が入っているというこのシステム、音質のイコライジングはもちろんながら、同時に各スピーカーの音量バランスが非常にうまく調整されているようなのです。 車の宿命で、中央から非常に外れた場所(運転席か助手席)で聞くにもかかわらず、うまくステレオイメージが定位します。さすがはボーズ。見事な音のマジックだと思います。 マスタングのオーディオではそれなりの限界があったのは当然ながら、アウディTTだって、フォルクスワーゲン・パサート・W8だって、カタログ上では「高級オーディオ搭載」の車でした。しかし、ケイマンのそれは別格です。もっとも2シーターなので、調整上、リアの乗員のことを考えないでよいことが有利に働いてはいそうです。
スピーカーの構成は、フロントダッシュ中央にセンターミッドレンジ、左右にはツイーター、ドア内部には20cmウーハーとミッドレンジ、リア左右にミッドレンジで合計9スピーカー。アンプもそれぞれに独立していて、それぞれ25W、55Wx2、25Wx2、25Wx2という大出力。
とくに、ケイマンのドアは分厚いので、ウーファー用としてはかなり大きな体積のエンクロージャー(たぶんバスレフ)を内蔵していそうです。実に「正しい低音」が無理なく出ています。もちろん室内騒音はそこそこあるので、クラシックはピアニッシモ部分で聞こえなくなり無理ですが、ポップス系ならオーディオとして十分に楽しめる音です。
カーナビをあえて内蔵型にせず純正オーディオ(下の写真左)を残してやはり良かったと思っています。これを捨ててしまったら大損失でした。運転席の位置での音響特性をPAA3で測定した結果は下の写真右のようです。150Hzあたりがへこみ、1-2kHzと100Hz以下の低音をすこし強調した音になっていますが、走行中には非常にバランスよく聞こえますので、これは車の騒音を考慮したある種の演出なのかもしれません。高域まで素直に伸びているのがわかりますが、これはフロントウインドウの反射を利用して、ツイーターの音を耳に届かせているようです。後付オーディオで素人がこの音に調整するのはなかなか大変でしょう、多分。
(2008年5月31日記)
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