McIntosh C1100
内蔵真空管フォノイコライザ




McIntosh C1100


 マッキントッシュC1100のフォノイコライザは、MCヘッドアンプは半導体で、それ以後は、真空管を6本も使った豪華な仕様になっています(下写真)。雑誌等でもフォノアンプは高い評価。入力インピーダンスも、100、200、400、1000Ωと切り替え可能で、しかも正面のダイヤル設定で、内部基板上の超小型リレー(これがリレーか!!って驚くほど小さい)が動作して切り替わります。配線引き回しのノイズの危惧もなく、しかも便利。さすがはマッキントッシュです。

  ↓上面からフォノ用真空管が見えるデザインで、真空管をアピールします。


 C1100は、フォノイコライザだけに6本も真空管を使っています。MM用に3本、MC用に3本と分けているからです。つまり、MC用半導体ヘッドアンプは、MC用真空管フォノイコライザに直結されています。
 MCヘッドアンプをMMイコライザにつなげは、真空管3本で済むのに、なぜMMとMCと別の回路にして、真空管を6本も使うのでしょう。
 
C1100のスペックをよーく見て、その合理的理由がわかりました。     C1100のS/N比は、MMが-77dB、MCが-79dB、とMCの方がS/N比が高いのです。これは、半導体MCヘッドアンプの出力を大きくとって、MC用真空管イコライザのゲインをMM用より低く設計することで可能になります。
 すなわち、MMとMCの真空管を分けたのは、MCで高いS/N比が得られるよう、真空管フォノイコライザの設計ゲインをMM用とMC用で変えているからだと思います。S/N比最重視の贅沢な作りです。

 困ったことに、C1100には、C46にはあった「REC出力」がないので、フォノイコライザの音を取り出すことが出来ません。つまり、ADコンバータ経由でDEQ2496に入れる方法がないのです。
 しかし、こんな高級な、フォノイコライザを生かさない手はないと思い、回路の途中からフォノイコライザの出力を試験的に取り出しました。これでフォノイコライザを、アナログレコードも高サンプリングのデジタル経由で聴くという私のシステム(回路図はこちら)において必須の、ADコンバータへの入力へのテストが可能となります。


私が感じた聴感上の音質

  C1100は真空管らしく、柔らかい音色で、その分、音量が上げられるために、バイオリンも声楽も、ぐっと前に出て、さすがはマッキントッシュと思わせる。
マッキントッシュの真空管フォノ、というイメージにあっている音と言えるように思います。
 逆に言えば、真空管らしからぬ現代的な音のC1100プリ本体とは、一致しない。CDとアナログレコードをぜんぜん違う音で鳴らす、という目的と思いました。音質的には、抜群の相性の事もあるけれど、なんか昔の音だなー、ということもある。

 一方、真空管フォノらしくない点は、圧倒的にノイズが少ないこと。これは、聴感上の、ではなく、-80dBまで測定可能なレベルメータで、計測不能です。こんなフォノイコは見たことがない。決して出力レベルが低いとかではないのです。音の大きさは同じにしての話。やはり、電源部と増幅部が別れている点が、低レベルのフォノイコでは非常に有利なのだと思います。

 このフォノイコをこのまま採用するか、という点で悩みました。そもそも回路の途中から臨時でピックアップしているわけでもあるし、迷った挙句、たどり着いた結論は、同じく真空管ながら、MC用にはトランスを使う EAR Phonobox でした。C1100の横に、うまく収まります。



(2021年2月編集)

 

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