ある日ふと気が付いた症状
最近、大音量で右の高域がひずむような気がしてきました。そこで、測定マイクを中高域ホーンの直前に置き、他のアッテネータは絞って、なるべくホーンだけの特性を図って1kHz〜20kHzの周波数特性を左右比較したのが下図の上段です(下段は修理後の特性、詳細後述)。
緑は右の音が大きな帯域、赤は左の音が大きな帯域。
3-6kHzで右chが、10kHz以上では左が大きい。これはなにか変です。ハーマンインターナショナルの修理担当に相談し、ダイヤフラム交換に出すことにしました。もちろん左右同時に交換します。
ホーンドライバーのはずし方は意外と難しい
ウーハーのエッジ交換では、バッフル前面からユニットを取り外せましたが、ホーンドライバーは前から取れません。はずし方をハーマンのご担当者に電話で聞いてから作業開始です。
まずは、スピーカーボックス裏面のふたを外すと下のような状態。裏蓋のパッキンが融着しているので、このふたがなかなか取れなくて大変でした。
次に、ホーンとドライバーをつなぐネジ3本を外すのですが、これも狭い場所での作業なので意外と難しい。
修理結果はきわめて良好
なんとか外して修理に出し、待つこと約3週間。4月中旬に帰宅したホーンを取り付けて音を出してみると、すぐに比較的まともな音で鳴って拍子抜けしました。
ただ、もちろんながら、鳴らしこみは必要。5月連休に集中して聴いているうちに落ち着いたように思います。
修理後の特性は、本ページ最初の写真の下段です。確かに、ほぼ測定誤差の範囲で左右が揃いました。
アッテネータ位置とデジタルイコライザーの調整は、もちろん大幅に変りました。周波数特性は前とまったくおなじターゲット特性に補正しましたが、それでも中高音の「音色」が変化し、聞きなれた4344の音でありながらも、カチッとした張りのある音です。
返却された古いダイヤフラム(下の写真)では、2個とも「切れ」「穴」は見えませんでしたけれども、修理前はダイヤフラムがヘタッていたのだ、と思い知らされる明快な音の差でした。
これが4344の本来の音だったのでしょうが、非常にゆっくりした経年変化なので、変化にまったく気が付かなかったです。ダイヤフラム左右交換で、9万円弱の投資。これはお得な投資でした。
修理前と修理後のDEQ2496のデジタルイコラーザーポジションを以下に示します。下段が修理後です。
左が●、右が○です。
ホーンの受け持ち帯域(1.3kHz〜12kHz)を含む「600Hz〜20kHz」は左右差が減ったのがわかります。
今回は、JBL4344のアッテネータと相互に調整を行い、出来るだけイコライザの左右差が少なくてすむよう、アッテネータを修正してみました。0.8kHz〜1.6kHzで差がないのはその効果です。
なお、この際なので、スピーカーの配置も少し変更して低域の生特性も改善したので、低域も変っていますが、これは今回の修理とは関係ありません。(300Hz付近で左右の大小が反転するのは、部屋の非対称な構造に起因するので、変える事は出来ません。)
調整結果はJBL4344の現状のページをご覧ください。
2013年5月
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