第47話 日本語は難しい

ードディスクの換装が一応無事に終わりました。810MBから3.2GBへと一挙に4倍の記憶容量です。これだけあれば、あと何年かは使えるでしょう。ママの記憶力も簡単に増強できるといいんですが、こればっかりはどうにもなりません。換装の記録は同居人執筆で、「別冊 Satellite 200CS HDD換装奮闘記」 として掲載しましたので、ちょっとマニアックですが、興味のある方はご覧ください。

PortableDock 前話で書いたデータの引っ越し問題も、今までのハードディスクを外付けディスクにしてしまうPortableDock(右の写真)というものを使ったら簡単にできました。ちょっと出費がかかりましたが、これからはこれをバックアップ用に使えるのでまあいいかな。自分で作るデータは810MBもないのでバックアップに十分です。

ハードディスクを交換したら、文章作成も家計簿も反応が早くきびきびしていて気持ちがいいです。記憶容量が増えた効果か、アクセスが早くなった効果でしょうか? ハードディスクにアクセスする時の音も<カリカリ>じゃなくて、<るりるり>という澄んだかわいい音になりました。コードが切れてうまく動かなかったマウスも直り、快適な環境となりました。

しかし、同居人の新製品に対する欲しがり方は小学生と同じです。せっかく、ハードディスクに余裕ができたのだから、このままサテライトを使っていればいいのに、液晶ディスプレイとデスクトップが欲しいらしい。できたらマックもDOS/Vも別々に欲しいようです。確かに液晶ディスプレイは場所を取らずに最近はTFT液晶14インチで10万円を切って狙い目ですが、季節の変わり目に新商品が発表されれば新しいおもちゃがほしくなるのは家計を預かるママにとっては困り者です。ママは物欲から解脱して、ただひたすらに子供たちの成長と家事の手抜きを願っているだけです。

ATOK-11 for Windows95/NTをインストールしました。これは、かなり前に購入していたのですが、ハードディスクの残りが心配でインストールできていなかったのです。前にも書きましたが、MacではATOK8を使っているので、Windows95のMS-IMEに物足りなかったのです。

ATOK11 ようやくインストールできたと思ったら、この夏にはATOK-12がでるそうです。でも、ATOK-11でもなかなか賢い仮名漢字変換を行います。

ママはワープロ歴が長かったのですが、昔のワープロは長いセンテンスの変換ができなかったので細かく切って変換しているうちに、単語変換の癖が抜けなくなってしまいました。このように昔からワープロを使っている人は、単語ごとに変換してしまいがちで同音語の変換ミスが多いようです。

でも、こんどのATOKは確定した文章を参照しながら変換しているので、どこで切っても適切な漢字に変換してくれるそうです。本当かな? 実際使ってみると、文で区切って変換した方が効率がいいように思えますが。

日本語は同音異義語や似た意味でも漢字が違う場合が多い(他の言語のことは知りませんが)ので、変換ソフトも大変ですね。有名なところでは、「子供が泣く」と「犬が鳴く」ですが、MS-IMEでは正しく変換できません。これに限らず、最近は明らかに変換ミスを見落としたと思われる漢字の間違いを色々な書類や印刷物で見かけます。昔の誤植とはちょっと違うのでワープロを使って文章を書いていることが想像できて面白いところでもあります。

んとATOK-11では、「うらにわにはにわにわとりがいる」を、きちんと「裏庭には二羽鶏がいる」と変換できました。すごい。これが、MS-IMEだと「裏庭に埴輪鶏がいる」となってしまいます。埴輪鶏という鳥がいてもいいですけどね。

「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」はATOK「貴社の記者が汽車で帰社した」、MS-IME「貴社の記者が貴社で帰社した」となりました。

「ももくりさんねんかきはちねん」は、ATOK「桃栗三年下記八年」で、ATOKももう一踏ん張りです。桃と栗を認識しているのだから「柿」を想像してくれてもよさそうなのに惜しいです。MS-IMEは、「桃くり三年下記は知念」と、どうしようもありません。MS-IMEでは「ふんとうき」でさえ「分と浮き」になってしまう。

ATOK11
「本日ようやく奮闘記を更新することが出来ました。」
MS-IME
「本日要約分と浮きを更新することができました。」

ATOK11の製造元のジャストシステムも昨年度の決算は大赤字でかなり大変そうです。でも、ソニーの資金協力を得たり、最近のニュースではIBMと共同で音声認識ソフトをだすとか、大手メーカーの協力が得られているようなのでちょっと落ち着いてきたのかな。とにかく成功した数少ない日本のベンチャー企業として、日本人の為の日本人によるソフトを作り続けてほしいものです。

ただ、ちょっと気になるのはATOKやMS-IMEは、いわゆる差別用語と呼ばれる言葉を辞書に載せてないことです。弱者に配慮したといえばそうですが、まだまだ論議の多いこの問題に対して過剰反応し、日本語の豊かさな表現を狭めてしまうのはどうかと思う。ママが強者の立場に近いからこう言えるのかもしれませんが、言葉は使う状況や背景によって意味が変わってくることを無視して、日本語の文化や歴史を否定しているようで悲しい。面倒な抗議や議論を避けるために、何でもダメというのは「言葉狩り」に近いものがあって怖いと思う。ジャストシステムや日本語変換システムを開発者は、臭いものには蓋で最初から知らない振りをするのではなく、きちんと向き合って欲しいと思う。

おまけ、ママが「歯とか痛い」といったら、同居人に「鳩飼いたい」のと言われた。この人の日本語音声認識機能にも何か問題があるとママは思った。考えると人間こそが高度音声認識付きの究極の日本語変換システムなのね、ママのは辞書登録機能にやや欠陥がみられるけど。

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M.Nakamura Jun 29 ,'98