==== 1996年11月のお話し ====


 現在、小生の住んでいるところは東京区部の西の外れなのですが、空気の澄んだ天気のいい日(特に冬の朝)に7Fのベランダから遠くを眺めると、富士山やその手前の丹沢山系がよく眺望できるのです。洗濯物を干しながらその姿を眺めていると、居ても経ってもいられなくなることが間々あります(参考写真:1995年の12月のお話し)。何だか、そちらの方へ車を走らせていきたくなるような衝動が起こるのです。
 特に大山はもっとも南に位置していて、近くはっきりとその頂上からの稜線を現しています。
 そんなとき、11月の3連休の中日の文化の日、当初予定されていた用事がキャンセルになった小生と細君は、思い立って愛車を駆って、ルート246を西走していたのでありました。
 山登りは、本来は早立ちが基本。それが、軽いハイキングとはいえ、家を出てのが遅かったのと大山山麓の駐車場渋滞などに苛まれ、上りのケーブルカーに乗ったのが1時半過ぎ。これはいただけなかった。しかも、山登りどころかハイキングも初級者の細君を伴って。
 時間的に無理そうであれば引き返そう、と話しながら下社の境内を抜けて、登り始めたのでありました。で、とどのつまり、頂上まで行ってしまったのですね。小生、大山に登ったのは初めてだったのですが、上の社も立派で、自動販売機までも設置してあったりして、人も多くて、いやーファミリー向けですなあ。生憎、天候は曇り空で眺望は今一つでありましたが、相模湾を望み、丹沢前衛の秋山を堪能できた、まあまあの山行でした。

 下山は、登りと別ルートの見晴らし台経由でしたが、人知れず秋の気配を深く吸い込んだ穴場ルートでした。前日に降った雨の影響で登山道のぬかるみが目立ったけれども。

山頂付近の木々はすっかり黄色づいて。 随分と降りてきたものだ、と振り返りシャッタを押す。 それを待っているでもなく、先に行ってしまう妻。悲しい。

 秋の夕べは釣瓶落としです。下りのケーブルカーは、最終の一本前に間に合いましたが、もうすっかりの夕暮れでした。ふう。
 ケーブルカーの山麓駅からおみやげ屋を冷やかしながら、駐車場に向かいます。ちなみに食事関連では、大山では豆腐と猪鍋が有名ですね。食べなかったけど。

生そばを買いました。翌日食べたけどうまかったです。 これは買わなかったけど、有名な金ごまを買いました。 胡麻ではなくて独楽か、これも名物?う〜む。


 ・・・そして、温泉です。あまり知られていないように感じますが、東丹沢には都心に近いながら温泉地が点在します。
 以前に、やはり細君とのこちら方面のドライブで、別所温泉(清川村ふれあいセンター別所の湯)に行きました。今回は、また別のところで、ということで、七沢温泉を訪れました。行き当たりばったりで、七沢荘に着いたのですが、こちらの温泉宿は、全国名湯百選・美肌の湯部門ベスト9になったそうで、何だか芸能界の著名人も数多く訪れているそうな(写真とサインが壁いっぱいに張ってあった)。
 当然、泊まりではなくて、外来入浴で温泉だけいただいたのですが、厚木市内から程近い位置にありながら、鬱蒼とした木々に囲まれた温泉宿でありました。帳場で受け付けを済ませた後、増改築を繰り返したのであろうか、迷路のように入り組んだ建物内部を案内板に従って辿って行き、室外の露天風呂の入り口に着いたのでありました。
 堀建小屋の脱衣所から露天風呂に挑みました。風呂場と浴槽は幾つかのブロックに分かれていますが、ひとつにつながっていて、露天風呂にしてみればかなり広い!
 しかしながら、その風情もさることながら、何となく不思議な空間でありまして、ジャグジーのように泡がぶくぶくと湧き立っているのはともかくとして、岩や石がごろごろと張り付けられていたり、野点をするときに使うような巨大な蛇の目傘が浴場の真ん中に立っていたり。そういえば、宿の入り口の案内にも、確かに、「癒しの宿、波動の湯。七沢荘」と書いていましたな。

ゆかし感じの案内板。 成分と効能はありがちな。 なんじゃこりゃ・・・?!

 ”なんだこの石 気源石” ”なんだこの水 波動水”
 温泉を出て、ロビーで妻を待っているときに、いろいろと見学してわかりました。
 元来、七沢は、緑色凝灰岩という岩盤に降り注いだ雨が、清水となって湧き出す地で、泉質は評価が高いそうな。そして、これからが重要らしいのであるが、七沢荘周辺には、通常の地磁気とは全く違った働きをする磁場、「零磁場」があるとされているらしい。零磁場とは、零の力を出す場所、即ち、目に見えないエネルギーを持つ場所(意味不明)だそうだ。その零磁場から放出されるエネルギーが源泉からのお湯に転写されていて、驚くべき効能が生まれているらしい。う〜む、真実は如何に。
 さらに、これを発見した七沢荘のご主人は、この素晴らしい癒しのエネルギーをここを訪れることのできない人々にも分け与えたいと願い、零磁場周辺で採れた木材から作られる木炭で石に焼きを入れて、零磁場を発生させる気源石を作ったのでありました。この気源石に水を入れておくと、零磁場の波動が転写されて、波動水になるのだそうな(商標登録も完了)。なんとまあ、関連製品も多くありました。通販もしているそうなので、ご興味ある人は、お試しあれ。

こ、これが、気源石かあ! 関連商品。謎は深まる。 ここが源泉(パンフより)。

 精神的・肉体的に不健康な人は、波動によってその人の持つ自然治癒力を高め、結果的に健康体になるのであるらしいです。
 残念ながら、現在のところ、小生は体の悪いところはないので、その効能を体験することはできませんでしたが、長居のできる程良い温泉にゆっくりと浸かり、リラックスして、帰路に着くことができました。



秋谷裕之ホームページ / ri7h-aky@asahi-net.or.jp