平成6年度指定
所在地 福岡市西区姪浜六丁目13番7号
所有者 旦過だるま堂保存会 代表 西村 初雄
元禄15年(1702)、姪浜の有力者であったと思われる石橋紹善が五穀豊穣と家内繁栄を祈って、住吉神社に奉納した銅造の塔婆型厨子で、中に木造の観音坐像を安置しています。鋳造者は博多金屋町の大田喜兵衛兼達です。現在本厨子は近くの禅宗寺院興徳寺ゆかりの達磨堂に安置されています。住吉神社から達磨堂に移された時期は不明ですが、明治の神仏分離の頃かと思われます。
材質 銅
法量 総高 119.0cm 塔身部 方63.8cm 軒部 方121.5cm
構造 屋根及び長押下からの塔身部が分離し、三層を重ねる。
屋根頂部から三分の一及び塔身部中央で鋳継ぐ。
右側面 |
左側面 拡大図368K |
背面 拡大図288K |
本厨子の鋳造者大田喜兵衛兼達は、貝原益軒の『筑前国続風土記』をはじめ近世の地誌類が伝えるところの博多に移住してきた芦屋鋳物師大田氏の流れを汲む鋳物師です。大田氏(後に山鹿氏を名乗る)は福岡藩主が各家に贈る献上釜を鋳造した近世博多を代表する鋳物師であり、元禄12年(1699)には釜屋座の座元(藩内10家)にもなっています。「新芦屋」と藩内外で賞揚された献上品の釜の他、梵鐘・香炉などの仏具、また神社の神牛・狛犬などを製作したことが知られています。本厨子は大田氏の優れた鋳造技術を示すとともに、現存作品の少ない近世博多鋳物師の作品として、本市にとって貴重な文化財であるので指定して保存する必要がある。