狂乱怒涛のYSGA夏季連続例会(第133回定例会)報告

(2000/07/22-23)


 先日7月22日(土)〜23日(日)の二日間に渡り、YSGA第133回定例会が行なわれましたので、分かる範囲で御報告いたします。
 猛暑の中、初日の土曜日は総勢33人、日曜日は総勢35人で、以下の19タイトル31戦が繰り広げられました。

※なお今回の例会で特筆すべきは、2日目に事前連絡の上、参加された中学生ナポレオニッカーINUE君の存在でしょう。詳しくは後述の(AD)ボロジノで書くとして、INUE君には有志のご厚意で(TAC付)NAW:マレンゴの戦い、(AD)アレキサンドロスの遺産、アルデンヌの霧、シミュレーター3冊(ナポレオニック特集号含む)、TAC誌ナポ連載コピー、専門史資料コピーと盛り沢山のお土産を差し上げました。それらで、この夏休みを有意義に過ごしてもらい、今後の進展に希望を繋ぐ事としました。


******【2日間ぶっ通しでプレイされたSG】*******

(CoA)War Without Mercy3〜4人戦
 当初好調な出だしを切ったバルバロッサ作戦だが、10月に雪が降りだすなど不運にも見舞われ、独中央軍集団はスモレンスクを目前にして陣地戦に移行していた。南方軍集団は当初、史実通り悪戦苦闘の連続で10月までキエフに近付く事もできなかったが、司令官ホトの活躍により、晩秋にはキエフを独力で奪取して皆の賞賛を浴びていた。
 陸戦だけに関して言えば、英文ルールで僅か4ページほどであり、口頭説明なら15分でプレイに参加できるとのこと。大ベテランのゲームデザイナー、ロバート・ベイマ氏らしい、パズル的技巧を要求されるゲームだけに、ルールを使いこなせるようになると非常に盛り上がるとの感想が聞かれた。
 今回のプレイで、本作の東部戦線キャンペーンゲームとしての評価は、極めて高いものとなった。手書きながらルールの翻訳も順調に進展しつつあり、近日中に複数セットが個人輸入されるのは間違い無いだろう。また2日目には古角氏が飛び入り参加して、4人でプレイされていた。

(GMT)Barbarossa:Army Group Center「ドニエプルの雷鳴」4人戦
 『月に一度は(GMT)バルバロッサ』という恐るべき標語を振りかざす熱血漢Satoh副長の熱に当てられたメンバー有志が参加しての対戦。6ターン分はプレイしていた。
 VP増援の目が出ない代わりに陣地構築の目が連発し、スモレンスク、ロスラウリが鉄壁の防衛陣となる。その余りの堅陣ぶりに恐れをなした独軍は、一旦は南方旋回の構えを見せるものの、最後にはロスラウリから鋭い突き上げを喰らわしていた模様。

(GMT)Barbarossa:Army Group South「ウマーニ包囲戦」
 当初(国際通信社別冊)ウェーブ・オブ・テラーをやる計画が、2人でテラーは辛いだろうということになり、何故かその何倍も辛いであろう今シナリオがMan-to-Manで対戦された。こちらも6ターンほどプレイ。
 当初は独軍の突出部隊を包囲殲滅して凱歌をあげていたソ連軍であったが、調子に乗って前進防禦に徹していたら、遂には独軍(先鋒はSS-LAH旅団)に突破され、史実通りの大包囲を喰らってしまった。

(CoA)ナポレオニック/バタイユ「アイラウの戦い」3〜4人戦
 前回の例会で一挙に3名がYSGAに入会した、國學院大SG研のメンバーで組まれた対戦。こちらも6ターンまでプレイされ、緒戦で仏軍のグルーシー将軍が砲弾の直撃を喰って壮絶死するなど、非常に盛り上がっていた。初日の夕方からはYSGAのEnDohさんが参加、2日目は4人でプレイが進められた。
 今回の対戦でナポレオニック戦術級/バタイユ・システムの面白さを知ったEnDohさんは、YSGAでもバタイユを流行らせようと燃えていた。


****【初日にプレイされたSG】*************

(GMT)CRISIS:KOREA1995「侵攻作戦レッド・フェニックス」3人戦
 「極東の恒久平和」を願って止まない北朝鮮ウォッチャーの3人が、5月21日の練習プレイを踏まえて再度キャンペーンプレイ。
 北朝鮮軍コマンドによる破壊工作が意外にも功を奏せず、不吉な予感に捕らわれる北朝鮮軍プレイヤー。しかし制空圏を巡る戦いでは五分の戦いを見せるなど波瀾に富んだ幕開けで、地上戦を開始。奇襲効果により当初は有利に地歩を進める北朝鮮軍であったが、そこは長年米韓連合軍を担当してきた会一番の古狸、YoshKさん。北朝鮮軍に奇襲戦闘シフトがあるだけで、別に移動制限のない米韓連合軍を効率よく運用し、出過ぎたソウル全面の北朝鮮軍先鋒を叩き潰し、一つだけ敵中に踏みとどまった北朝鮮軍戦車連隊を救出にきた北朝鮮軍第2梯団に対しては、その後方へ進出して見事、北朝鮮軍第1、第2梯団を無力化することに成功した。
 また東海岸でも進撃する北朝鮮軍の進撃路上に、1防禦力を持つトラックを残置して足止めし、その間に後方に空挺降下、侵攻上陸した北朝鮮軍軽歩兵旅団を包囲殲滅。しかるのち堅固な防衛陣を築くなど、北朝鮮軍プレイヤーをして舌を巻かせる用兵ぶりを見せつけた。そんなわけで、あっさり敗北を宣言した北朝鮮軍であった。

 なお同ゲームの横では、映画「シュリ」の発売を記念して、DVDと携帯TVを使って同作品が、注目を浴びることなく、慎ましげにエンドレス上映されていた。

(SPI)セントラルフロント・シリーズ「第5軍団」
 HJ社の出来損ないボッタクリ和訳を(遅ればせながら)駆除する目的で、新たに翻訳し直された和訳ルールを使っての対戦。特に同シリーズ第3作「BAOR」のルールを遡及させたお陰で、機甲偵察中隊でソ連軍の大軍を足止めするという、これまでの遅滞戦術が不可となり、ソ連軍がイメージ通りの進撃を続けていた。
 なおプレイ中、前回から新会員となられたHoRBaさんが、わざわざ本作の自作チャートを手渡しする為だけに顔を見せられ、その律儀さに皆を感動させると共に、ついでに最近製作した(WG55)オキナワのリアル航空ポイントマーカー(シール)を会に寄贈していただいた。その余りの出来の良さに皆が舌を巻くと同時に創造力を喚起され、(TAC誌9号付)サボイバル!の超リアル・ユニット製作(アドヴァンスド・サボイバル)の話にしばし花が咲いていた。

(GMT)Paths of Glory2戦
 最近遅ればせながら“パスグロ”の面白さに目覚めたSaEGさんと、パスグロ全盛期に不敗を誇ったUeMさんとの連続対戦。
 2回とも、15〜6ターンまでプレイされ、最初はオーストリアの東部戦線が崩れ、2回目は西部戦線が崩れて、ドイツが音を上げていた。

(コマンド誌31号付)アフリカン・キャンペーン
 古角さんの紹介で東京から見えられたhiRamtさんと、名古屋TSSのYENさんとの対戦。最近再びゲーム界に復帰されたhiRamtさんは、日本版コマンド誌とその別冊をまとめ買いされ、今回はその中から評判の良いアフリカン・キャンペーンを選ばれた。
 展開としてはメルサ・マトルー線を突き崩されて、独軍が西端から突破、サドンデス勝ちを収めていた模様。hiRamtさんは翌日YENさんと今度は同誌33号ロシアン・キャンペーン2の対戦を約して帰られた。

(AH)ASL「政治委いんっち」
 こちらも『月に一度は(AH/MMP)ASL』という恐るべき陰謀に巻き込まれつつあるKobRさんとTaBeiさんとの対戦。しかし残念な事にKobRさんが、度々仕事場からの電話に中断させられた揚げ句、急遽東京の田町へ仕事の助勢に赴かざるを得なくなり、対戦半ばにてお開きとなってしまった。
 「一体何の為にASL用重装備とDVD(映画「シュリ」上映用)を担いできたのか」と、忿懣やるかたないKobRさんに対し、別盃を酌み交わしつつ「DVDの始末は俺に任せろ」という会長の寸借宣言に励まされ(脅え)ながら、炎天下を一路田町へと向かわれた。

(TSR)コブラ作戦
 突破シナリオを対戦されたものの、米軍左翼で攻勢が頓挫し、肝心のサン・ロー突破を果たせなかった模様。


***【2日目に対戦されたSG】******************

(AD)ナポレオン、モスクワへ「ボロジノの戦い」
 ナポレオニックが好きで、関連史書を20冊以上読破しても飽きたらず、インターネットで検索するうち、SGの存在を知って連絡をくれた現役中学徒でゲーマー志願者のINUE君。その他に第2次ポエニ戦争や30年戦争にも興味深々との事で、タイミングよく久しぶりに会場でプレイされていた(AH)Hannibalやバタイユにも興味を持たれていた。
 また、これまで全くSG経験が無いにも関わらず「特にボロジノの戦いに興味がある」との事で、YSGAきってのナポレオニッカーDoBSさんとYSGA最長老YoshKさんが、ZOCの概念から移動力の使い方まで1時間ほど説明の上、(AD)ボロジノを6ターンまで対戦。
 INUE君は、ボロジノ戦の史実と、ゲーム展開とのギャップに当惑するほどナポレオニックの歴史に通暁しており、20世紀より19世紀以前の歴史ゲームに興味があるとの事で、今や北辺の守りについておられる元マスケッターズ会長の二木氏が知ったら、茫陀たる涙を流さずにはおられない若きゲーマー志願者であった。

(コマンド誌33号)ロシアン・キャンペーン2同時4セット対戦
 千客万来でYSGA1チーム、hiRamtさんとTSSのYENさん、ハナザーさんチームにTSSのTRMiさんチームと、都合4セットものロシアン・キャンペーン2の対戦が繰り広げられた。
 YSGAチームでは、ファーストディヴィジョン以来の南方重視戦略(ドイツ中央軍集団だけは任意セットアップなので)が図に当たり、今回独ソ戦初対戦のソ連軍が早期に崩壊。
 hiRamtさんとTSSのYENさんチームも、hiRamtさんが昼過ぎに抜けられたので詳細不明。
 残り2チームは、夜までプレイを続けられていたが、42年の攻防が盛り上がっていた模様。
 2月号のアフリカン・キャンペーン以来、ヒット作を次々に送りだす日本版コマンド誌。次号「Drive to the Baltic!」も傑作だけに、是非ともこの調子でヒットしてもらいたいものだ。

(GJ59)戦略級南北戦争(Yankee Thunder,Rebel Lightning)
 こちらも日本版コマンド誌に負けず劣らず傑作続きのGame Journal誌の付録ゲーム。独ソ戦が不本意な終わり方で時間の空いたUeMさんと山の字のデモ対戦。1ターン半ばで同じくGJ誌付録の「機動部隊'42」カードゲームのメンバーが不足しているとの事で、それに応じてそちらに移行。

(EP)SG入門2「激闘ソロモン海夜戦」
練習プレイ「第3次ソロモン海夜戦2日目」

 朝から(GJ58)機動部隊'42カードゲームをやる予定がメンバー不足から取り敢えず同じ海戦ものということで、海軍ファンのSaKNさんとhirotoriさんとで対戦。 しかし7〜8年振りにゲームを開けてみると、肝心の戦艦ユニットが他のゲームに流用されたかなにかで入っておらず、やむを得ず代用ユニットでプレイしたものの、ルールマスターの山の字が(GJ59)戦略級南北戦争へ出奔した為、魚雷戦ルールを勘違いしたままプレイされてお開きとなった。
 エポックのSG入門2は、他にも「ファイティング・ファルコン」という面白いジェット空戦ゲームも入っており、これで2,800円とは日本ゲーム界の良心とも呼ぶべきものであった。

(GJ58)機動部隊'42
 主催者のhirotoriさんが練習でソロプレイしてみた以外、誰もルールさえ読んでいない状態で始めた対戦であったが、プレイしてみると実に面白く、(GJ59掲載)キャンペーン(3連戦)を含め、計7戦が連続対戦され、大いに盛り上がった。
 単発のプレイでは日本軍の勝率が低かったが、キャンペーンでは3戦とも日本軍が得点的に米軍を圧倒し、最後には砲弾カード無しの戦艦を囮として、ガ島に高速輸送船団を接岸させ、沈められるまでに2枚の揚陸成功カードを出して文句無しの勝利を決めた。
 それにしても今回のプレイで、改めてGJデザイナー:中村氏の天才的デザインセンスを思い知らされた。

(GJ49)信長最大の危機
 機動部隊カードゲームが夕方お開きとなった後、機動部隊と同時に本作を購入されたhirotoriさんが、SaKNさんと対戦。
 第16ターンまでプレイされ、毛利、武田、上杉、一向衆に迫られた信長側がピンチというところだったが、初プレイで信長側を希望したhirotoriさんの評価は高かった。

(AH)Hannibal同時3セット対戦
 こちらも朝から夜まで都合3セットが広げられて、合計5回ほどプレイされていた。
 かつてそのコンポーネントを見て「子供騙し」のように感じ、プレイもせずに悪く言ったものだが、今やある意味90年代のウォーゲームを代表する傑作という評価が定まりつつある本作であった。

(田島)ナポレオン1812
 夕方近くなってTSSのYENさんとるっつさんとで対戦されていた。確か昨年9月の例会でも両者でプレイされていた記憶があるので、約1年振りの再戦という事になる。
 いずれGJ誌付録ゲームとして採用されるとしたら、充分なテストプレイを重ねて付録化されるGJ誌付録のソツのなさが納得できるというものだ。

(XTR)グルンヴァルト1410(元祖タンネンベルクの戦い)
 今度8月20日発売の日本版コマンド誌第34号の第2付録である本作を、ウマーニ戦後、ハンニバルを2戦して疲れを癒すYaGさんを誘っての対戦。他が全て終了し、部屋の片付けが始まってさえプレイが継続、結局第6ターンまで対戦された。
 スラブ側はベタで前進配置し、チュートン修道騎士団と真正面から激突。乱戦の中でチュートン騎士団ユニットを10ユニット以上討ち取るが、自らはその倍の損害を出していた。
 取り敢えず、緑を基調としたフルマップの上に、スタック禁止の騎兵ユニットがズラリと並ぶ様は実に壮観で、見た目だけでも観戦者の賞賛を浴びていた。システム的にも実に面白く、ヒストリカルに近づける為に自分で改造せずにはおれないゲームではないだろうか?。
 次号日本版コマンド誌に、この戦いの詳細な歴史背景記事が掲載されるはずなので、それを読むのが楽しみである。


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