第132回定例会報告

(2000/06/18)


 当日は、初めてYSGA例会に参加された二人の方を含め、総勢26人(顔見せ3人含む)が参加されて、以下の11タイトル14戦が行なわれました。

(3W)SSアメリカ「1944年12月:レジスタンス」
 苦節10年、5〜6回に渡るプレイ全てにおいて、枢軸軍による1944年のアメリカ上陸を試みてきたが、そのいずれもが米国の圧倒的な生産力の前に、橋頭堡を維持するだけで精一杯という苦況を呈してきた。
 そこでせっかくの長期戦システムを活かすべく、既に大陸に大きな地歩を確保した段階から始まるシナリオ(上陸半年後)をプレイすることにした。
 このSSアメリカというゲームは、一見すると軽薄な仮想戦ゲームのように思われるが、驚くほどシンプルなシステムでありながら、実際にプレイしてみると、補給と陸海空立体作戦を重視した、実に真面目なシミュレーションとなっているのが分かるだろう。
 今回は会長、SoGaさんが独軍を担当し、米英軍をKubTっち1人で担当、途中参加でEndoさんが独軍北方を受け持って、3ヵ月分プレイされた(44年12月〜45年2月)。
 実際の展開は、杓子定規にセットアップ可能ラインに沿って、カナダ国境近くまで達する長大な戦線を築いたのが祟って、メキシコの港を補給源とする補給線が延び切って、そこをゲリラの襲撃や戦略爆撃機に叩かれて、たちまち補給切れ。そのため毎回補給線を引き直さざるを得ないという苦況に陥った。ただ戦線が長い分、米英軍のユニットも密度が薄く、独軍の浸透攻撃を受けて大軍が包囲されるなどして盛り上がった(しかし背後に廻った独軍Lehr装甲師団らが、上記兵站線破壊の結果補給切れとなり、逆に殲滅された)。
 次回への教訓として独軍は、セットアップ可能ラインの半分程度に戦線を縮小し、米軍の配置に先立って行なえる2次侵攻橋頭堡を、すぐに合流できるメキシコ湾岸の都市ヒューストン辺りに設定。日本軍の橋頭堡もサン・フランシスコを上陸点として、独軍主戦線に合流した形で設定する。
 また兵站線の防衛の為、各兵站ユニットには歩兵師団をスタックさせて対空/ゲリラ警護とし、野戦警察部隊をスタックさせて運用し、ゲリラ組織作りを進める米OSSや地下組織ユニットの一掃を図る。
 また枢軸補給船団が攻撃されないよう、まず米英艦隊を完全に封じ込める。その際、艦隊には輸送船団が一緒にいないと補給切れというルールを忘れない。
 航空機は、兵站線の上空哨戒を第一に考えた配置を心掛け、性能より数で勝負する。
※以上の点に留意して、次回の対戦を楽しみに待ちたいと思う。これまで10年もこのSSアメリカをプレイして飽きなかったのだから、21世紀も飽きずにプレイできるだろう。

(CoA)War Without Mercy「バルバロッサ」シナリオ
 最近ずっとこのゲームのソロプレイを続け、賞賛の声を惜しまないFred.牛さんが赤軍を担当し、3年に及ぶ米国出向から晴れて帰国/帰参した最古参メンバーのkannoさんが、その場で英文ルールを読んでプレイ。kannoさんによると英文ルールは極めて読みやすい上、陸戦ルールは実質4ページ程度なので、口頭説明で10分も教えればすぐプレイできるとの事。セットアップはフリーなのだが、今回は史実に沿った配置を行なった。
 ゲームの方は41年7月末までプレイされ、中央に重点をおいて史実通りミンスクを陥とし、スモレンスクに迫っていた。南部ではリボフさえ落ちず、史実通りの南方旋回が望まれる展開であった。
 今回初めてプレイしたkannoさんの受けも良く、7月に行なう2日間例会では4人で再戦が決定した。

 なおkannoさんは(AH)シーザー:アレシアの戦いを持参して、HJ和訳と英文ルールとの誤訳チェックを行なっていたが(幸い問題は無かった)、その箱たるや(ツクダ)ヘビーメタルの箱にシーザーの箱絵を移植した素晴らしい工芸品で、マップはブックケース・タイプの箱に収まるよう、4つ折に切り込みが施されており、久しぶりに氏の技巧が話題を集めていた。

(DG)トータラークリーグ「1944」
 ダイナミックな戦略級が好きなYaTさん(赤軍担当)の主催で、前作(DG)KREG!経験者のMiuさん(独軍)とDoBSさん(西側連合軍)が参加しての対戦。当日ルール説明して始めて、夜には45年5月まで終えていた。
 展開の方は、赤軍が44年の夏にルーマニア、ハンガリー方面へ大突破を果たすも、独軍がこれをマンシュタインの第3次ハリコフ戦なみの反撃で喰い止め、逆にミンスクを要塞化して難攻不落となし、西部でも奮戦してパリを要塞化。結局、このラインで戦線を維持して最終ターンを迎えた。勝利判定は、独軍戦術的勝利とのことだが、どう見ても戦略的勝利だと思えた。
 現在のところは和訳の都合上、戦中シナリオのみのプレイだが、KREG!シリーズの醍醐味は緒戦時の外交的要素込みのものなので、今後の発展拡大に期待したい。

(GMT)Barbarossa:Army Group South「ルントシュテット・アタック」
 もはやBarbarossaの鬼と化したSatoh副長と、例会日を忘れていて緊急呼集をかけられたKonDさんとの対戦。昼1時過ぎから開始して、夜までに4ターン終えていた。
 展開は、リボフに構うこと無くマップ東端へ突進する独装甲師団群と、なんとかこれを食い止めようとする赤軍戦車部隊との激突が、いつものように繰り広げられていた。しかし遂には赤軍戦線が喰い破られて、「シナリオだからいいけど、キャンペーンだと破滅だ」と嘆かせていた。
 また会場では、GMTのホームページで発表された「バルバロッサ:北方軍集団」のミニ・シナリオ「タリン戦役」のマップとユニットが、衆目を集めていた。

(RHINO)Decision in France「突破」シナリオ
 ノルマンディー狂のSebTさんが、UeMさんにこのゲームの面白さを知ってもらおうと試みた布教活動プレイ。iネット情報によると、このゲームは1,200部しか作られていないらしく、何とも惜しまれる傑作振り。こういったゲームこそ日本版コマンド誌の別冊に相応しいと思うのだが。
 ゲーム展開の方は、練達のSebTさん指揮する独軍が、UeMさんのカナダ師団を潰滅させたりして終始イニシアチブを握り、小規模なファレーズ包囲陣が形成された他は、連合軍の突破には至らなかった。
 しかし、これはあくまで教育プレイに過ぎず、今後UeMさんがシステムに慣れれば、SebTさんのライバルとして、今回の借りは充分に返せるものと思われる。

(VG)第7艦隊「フィリピン封鎖」「北海道侵攻」シナリオ
 共に最近Yahoo!オークションで手に入れたSaKNさんとKaWSKさんによる連続対戦。
 ソ連の対艦ミサイルが、肝心の輸送船ではなく護衛の駆逐艦にばかり飛んで行くのを見て、ソ連軍プレイヤーが地団太を踏んでいた。
 ルールブックだけ読むとサッパリ分からないが、実際にプレイしてみるとこんなに簡単明瞭なゲームもないというフリート・シリーズは、今だに新たなファンを増やしているようだ。次回のプレイは第5艦隊、はたまた第3艦隊か?。

(GMT)Paths of Glory18ターンまで
 実に8ヵ月振りに広げられたパス・グロ。今回は、これまで未プレイながらゲームは購入済みだったSaEGさんと、以前1日で最終ターンまで熱戦を繰り広げた小針さんとの対戦。
 展開は、西部での激戦を経て、最後にはロシア革命にまで至っていた。
 今回初プレイだったSaEGさんは非常に気に入った様子で、今後研究を進めたいと語っていた。

(GJ60)スターリングラード戦役同時2セット対戦
(1)AoKさん vs.HoRBaさんチーム(HoRBaさんレポートより引用)
 ドイツ軍側の主導権獲得ダイス目の悪さに助けられてソ連軍は早々に撤退、強固な防衛ラインの構築に成功した。第1ターン終了時に補給線が通らずに除去されたソ連軍ユニット僅かに3つ。おかげでドイツ軍はドン河をほとんど渡れず(橋頭堡1ヘクスのみ)、4ターン目で投了となった。
 今回のプレイは両プレイヤーとも「お試しプレイ」的な側面が強かったため、次回プレイする時はまた違った展開になるだろう。
 プレイした感想はなかなか面白いと思ったが、ランダム・シークエンスのためにダイス目が悪いと、上記のようなことも有り得るというのが問題かと思われる。でも、普通はここまでのことはないと思うので、さほど気にすることはないのだろう(その証拠に、もう1セットプレイされていた卓ではドイツ軍が見事に突破をしていた)。
 どうしても気になるという方のために、ドイツ軍が有利になるように以下のようなローカルルールを提示する。

《第1ターンのみの特別ルール》
 「枢軸軍の第1インパルスの攻撃に限り右に1コラムシフト」という現在のルールを削除し、代わりに「第1ターンのみ、ドイツ軍プレイヤーは手番プレイヤーを決定するダイスに+1修正」を加える。

 上記のルールはプレイヤーがドイツ軍を担当するのが初めての場合や、ドイツ軍が不利と感じる場合などに採用してみるといいかもしれません。

(2)YaGさん vs.田部井さんチーム×2
 仙台ボードゲームクラブ会長の田部井さんが、この春から横浜に転勤されたので、始めて例会に足を運んでいただいての対戦。
 朝10時前には既にプレイが開始されており、初回は田部井氏が独軍を担当され、緒戦で赤軍部隊の多くを包囲殲滅するも、ボロネジとロストフで苦戦され、コーカサス、スターリングラード方面とも突破を果たせず。
 昼過ぎからは、立場を入れ替えて再戦。ここでも独軍が苦しみながら前進していた模様。

(GJ49)信長最大の危機×2(HoRBaさんレポートより引用)
 スターリングラード戦役が早々に終ったので、続いてこちらをプレイ。
 両プレイヤーともルールをまったく知らなかったため、他の人に聞きながら試しに2〜3ターンほどプレイ。ある程度把握できたところで、もう一度最初からやり直した。
 「信長最大の危機」というだけあって信長プレイヤーはなかなか厳しいが、展開が派手で面白い。カードを使用しているところがミソなのだろう。
 序盤でのポイントは長島の本願寺退治と六角氏の撃滅、そして金ヶ崎からの撤退をどう処理するかだろう。これらを手際よく行なわないと軍の再配備がきかず、後々苦しい展開になると思われる。特に長島の本願寺ユニットに関しては簡単に連絡線を遮断されうる位置にいるため放置は出来ず、かといってここにばかりかまっていると他方面が辛いので、力の入れ具合が難しいところである。
 巷で傑作の呼び声の高い本作だが、噂に違わぬ面白さであった。現在絶版とのことだが、なんとか見つけて購入したいものだ。

(翔SS)信玄対謙信
 第7艦隊を終えられた2人が、閉会までの時間を利用しての対戦。
 上杉側が武田側ユニットの多くを除去し、信玄をも混乱に陥れるなど、有利に戦いを進めていたが、終盤になって前線で戦っていた謙信公が突如討ち取られるという逆転劇が演じられた。

(翔SS)桶狭間の戦い/信長の賭け
 約1年ぶりに見えられた國學院大SG研前会長のTagMさんと、現役4年生会員のKmAtZKさんさんとで、昼過ぎからプレイされた。
 戦えば必ず混乱するという展開で、大乱戦となっていた模様だが、極めてシンプルなルールで結構雰囲気が出ていると好評であった。「新入会員の1年生に勧めたい」との感想も聞かれた。SSシリーズの中でも「五虎三国志」と「桶狭間」だけは、どこでも売れ残っているらしいが、少なくとも「桶狭間」は面白いのではないだろうか。


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