第129回定例会報告

(2000/03/20)


 当日は、三連休最終日にも関わらず、強風吹き荒ぶなか総勢21人の参加を得て、以下の6タイトル9プレイが行なわれました。しかも現ゲームジャーナル編集長の突然の来訪もあって、とても賑やかな例会となりました。
(EP)戦国大名8人戦×2
 久しぶりに「朝からマルチ」となった今回の戦国大名は、北九州のSG団体QSサークル(元YSGA副会長馬場さん運営)に入ったばかりの期待の星で、元プロボクサーのYouTNさんが長年多人数でプレイしたいと願っていたとの話から企画された。
 久々の「お大名」とあって、土日を使って泊り込みでプレイされていた(GMT)Barbarossa:Army Group Centerキャンペーンを切り上げ(7ターンにミンスク陥落との事)、MiuさんとKonDさんも駆けつけ、これが2度目の例会参加となる東京のTortkさんも「大名」は未プレイとの事で、総勢8人でルール説明の為のプレイを含めて、夕方まで2度プレイされた。
 さすがはGJ誌のオールタイムベスト1だけに、異様なまでの盛り上がりで、2度とも一向一揆に一喜一憂していた模様。今回が初プレイのYouTNさんとTortkさんも、とても楽しんでいただけたようで、やはり不朽の名作だとの感を強くした。

(TERRAN)The Legend Beginsキャンペーン第8回(1942.May1-2)
 数ヵ月に渡ってメルサ・マトルー戦線で睨み合っていた両軍だったが、遂に英軍が独軍中央部を突破、激しい戦車戦が繰り広げられ、英軍10ステップロス、独軍9ステップロスといった恐るべき消耗戦の末、突破した英軍が壊滅。再びメルサ・マトルー戦線に両軍立ち戻る羽目となった。英軍も立て続けの攻勢失敗でだいぶ弱体しているらしいので、次回からの独軍突破計画が楽しみである。

(MiH)Drive to the Baltic
 待望の(MiH)Turning the Tablesシステムの第2弾。1944年6月22日に開始された赤軍バクラチオン作戦の最後を締めくくる、7月22日から8月末までの、バルト3国の湾岸都市リガを最終目標とする独ソ両軍の死闘を描く。
 赤軍軍団規模(師団や旅団もあり)、独軍師団規模(戦闘団や大隊あり)で、シンプルかつエキサイティングなシステムを使って、日本人好みの(小林源文的な)悲壮で珍しいテーマをゲーム化。ちなみに、この戦いを扱った詳しい日本語資料は、私の知る限り、数年前モデルグラッフィック誌に掲載された高橋慶史氏著「ラスト・オブ・カンプフグルッペ〜ドイツ装甲部隊の最貧前線〜」第10回:“SS戦車旅団グロス”だけ。
 土曜日に始めてYaGさんと会長とでプレイし、この日はYaGさんとAoNさんとの対戦。劇的に独軍戦線を突破して、溢れ出すようにリガ目指して突進する赤軍、その前面に戦略移動で師団を逐次投入して時間を稼ぐ独軍。開始3ターン目にはリガに隣接した赤軍に、増援で現われたSS第11装甲擲弾兵師団ノルトランドが立ち向かう。その後6ターンの第3赤軍インパルスまでプレイされ、赤軍がリガに隣接したまま、周辺で激しい戦いが繰り広げられていた。
 このシリーズの特徴である戦術チットも、両軍の能力が伯仲しているため、どちらに転ぶか分からないダイス修正となり、前作以上に盛り上がる。例によって赤軍にはウオッカや人海戦術、懲罰大隊(7ターンには枯渇ってのが泣かす)、NKVD督戦隊などがある他、独軍スツーカと同等の修正を持つ地上掃射(シュトルモビクの地上襲撃)なども含まれ、前作1942年から2年後に赤軍がどれだけ成長したかが痛感できる。
 反対に独軍には、オスト(東部)大隊の支援、保安警察隊の支援、艦砲支援(スツーカを上回る+5修正!!)など、末期的な状況を表すチットが用意されており、ゲーム展開といいテーマといい、最貧戦線ファンを狂喜させずにはおかない仕上りとなっている。
 前作の(MiH)Turning the Tablesが、テーマや両軍の能力差、サドンデス条件の厳しさ等で、今ひとつ万人向けと言い難かったのに比べ、今回はようやくシステムとテーマがマッチしたという感じを受けた(ただ独軍の突撃砲大隊や502重戦車大隊が、殆ど使い物にならないのが珠に傷)。
 しかしユニットに問題があって、赤軍のセットアップが部隊名ごとにによる配置なのに、ユニットに配置ヘクス番号が印刷されていない為、ルールブックと首っ引きで選り分けなければならず、しかも部隊名が、やや印刷ズレしており選別するのが超大変。加えて沢山登場するSSユニットが黒に白抜き印刷されていないという、許されざる過誤もあり(マップは綺麗)、これは是非日本版コマンド誌の付録化を検討してもらいたいと、早速コマンド編集部へ直訴メールを送った次第。願わくば10月号付録ゲームとなりますように。神様!。

(AH)ASL「ジェルジンスキー・トラクター工場」歴史モジュール3人戦
 本場米国でのASLトーナメントで、五指に入る腕前を持つウィル氏によると、赤軍側不利との事で、これのキャンペーンを計画していたチームASLの面面がバランス調整を試みつつの3人プレイ。そこで得られた結論は、やや悲観的なものだったようだ。
 代わりに戦記雑誌「丸」別冊(5)最悪の戦場〜ガダルカナル戦記〜(昭62)に掲載された「タナンボコ島・横浜航空隊玉砕の日」に感激したメンバーによる、ASLアニュアル93b附属「ガブツ・タナンボコ島キャンペーン」の今夏プレイ計画が、熱心に説かれていた。

(GJ59)南北戦争(Yankee Thunder,Rebel Lightning)×2
 このコンポーネントで、アメリカ南北戦争を戦略級でソツなく再現できるという快挙を成し遂げたゲーム。今回は同時に2セットが2回ずつプレイされ、南北戦争に馴染みのあるメンバーには好評を、馴染みのないメンバーには評価を保留される結果となった。
 第1班は、会長と久保田氏による同窓対決。1回目のプレイでは、南軍がグラントの機先を制してメンフィスに立て篭り、迂回されてジャクソンまで奪われても頑強に抵抗。メンフィスに南軍の主力がいるため、常に補給路を脅かされる北軍は、西部での侵攻を諦め、リッチモンド直接攻撃に重点を移す。東部ではU.S海軍の活躍で港湾要塞が次々陥落し、南軍はその防衛に補充兵力の全てを割かれ、またノーフォークから上陸した北軍マクドウェル揮下の6戦力がピーターズバーグに迫った為に、リッチモンドからリーが機動防禦に駆け回らざるをえず、その隙を突いて側面に廻り込んだシャーマンを撃退したリーがリッチモンド要塞を留守にした瞬間、マクレランの8戦力によってリッチモンドが攻め落とされ、サドンデスとなった。2回目は立場を入れ替えてプレイしたが、初手で4連続北軍チットとなり、南軍手も足も出ず。

(GJ59)戦略級南北戦争(ヤンキー・サンダー、レベル・ライトニング)×2
 第2班は、花粉症で茫陀たる涙を流す大林さんと、南北戦争ってなんじゃいという坂野さんとの初対戦。こちらもメンフィスを巡って死闘が繰り広げられ、グラントが何度壊滅させられても断固として攻撃の手を弛めず、手堅くミシシッピィ河制覇を図ろうとするも、点が稼げず64年の南軍サドンデス勝利となった。2回目も同じ陣営でプレイされ、今度はグラントが単独でメンフィスの横をかすめて、モービルを占領。そこを補給源として深南部を荒し回るグラントの脅威に、南軍がサジを投げる事態となった。
 今回はデザイナーである井村さんの来訪もあって、ルール的にはスムーズにプレイできた。連絡線切れの河川艦隊でも追加サイコロを振れ(その分消耗チェック)、南軍の大都市は固有の守備戦力が失われた時点で(北軍支配マーカが置かれる前)、勝利得点が北軍に入る等、細かな点までデザイナーの意見が聞けたのは得がたい経験であった。 また本作の問題点も話し合われ、要塞があまりに難攻不落(1ラウンドしか戦闘できず、名将が守ると攻撃側は一指も触れられず撃たれっぱなし、しかも野戦より攻城戦の方が損害が少ない)。また強制退却がないので死守したければ全滅するまで戦える等、若干の不都合はあるものの、このミニサイズで複雑化せずに巧く戦争全体をシミュレートするには、多少の歪はやむをえまい。
 しかも目鯨を立てるほど致命的なものでなく、考え方ひとつで納得できるもの(南軍が新たに作れる要塞は事実上1つきりだし、62年末のフレデリックスバーグ南軍陣地に対するバーンサイドの突撃は、実際一指も触れられず撃たれっぱなしだったし、攻城戦は包囲戦だから損害は少ない)なので、面白さは微塵も揺るがないと思うのだが、どうだろう。見た目南軍が不利に見えるかも知れないが、バランス的にも勝利条件上、南軍が特に不利とは思えない。よしんばやや不利でも、そこを腕でカバーしてみたいっていうのが、ゲーマーの楽しみじゃん!。


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