第109回定例会報告

(1998/07/25-26)


初日25日(土)は、モデルグラフィック誌やアーマーモデリング誌にマイナー戦記等連載されている高橋 慶史さんも観戦に見えられ、國學院大學SG研の会長さんやOBの方など5名も加わって、計21名の参加で、以下の11タイトル15戦が行なわれました。
もったいなくも高橋 慶史さんからは、YSGAに貴重な3冊の洋書戦史資料を寄贈(独語ベルリン戦、英語アルンヘム戦、独英軍事用語対照辞典)いただき、今後の活動に大いに役立つものと感激しました。

****** 25−6日 ***************
(GAMERS)戦術戦闘シリーズ(TCS)6作目:Hunter from the Sky/3人戦
Hunters from the Sky のプレイ記録と考察(反省)をします。

結論から申し上げると、英軍の敗北はほぼ決定的です。
理由は、
   1:対空砲を保持するのは不可能。独軍は 航空爆撃のみで21日 PM3時ま
      でに対空砲を全滅させる事は十分可能と思われる。
   2:飛行場を砲撃することは可能かも知れないが、効果は薄いので、独軍
      増援はステップロスを払いながらも到着するであろう。そうなると英軍に勝
      ち目は無い。

詳細を以下に述べます。

Oは英軍プレーヤーとして以下のような作戦を立てていました。

[作戦目的]
   マレメ飛行場の確保
     第1目標:対空砲の保持
     第2目標:飛行場観測点の保持

[独軍の目標と降下地点の予測]
   第1波 グライダー部隊:以下の3通りが考えれる。
      1:107高地周辺地帯の制圧
           (歩兵砲周囲および107高地周囲に降下)
      2:マレメ飛行場の制圧
           (マレメ飛行場周辺に降下)
      3:涸れ川渡河点の確保 (増援が涸れ川西部に降下の場合)
           (107高地南西斜面一帯に降下)

   第2、3波 パラシュート部隊:以下の3通りの組合せが考えられる。
      1:107高地地帯に降下、高地地帯を制圧(グライダーの降下も107
         高地地帯の場合、増援として)。降下時極めて危険。
      2:涸れ川西部の安全地帯に降下、涸れ川を渡りマレメ地区を制圧。
         降下時の安全性高い。
      3:地図盤 東部に降下、英軍増援を阻止。降下時の危険性高い。

   第4波 パラシュート歩兵砲部隊:この部隊は涸れ川西部の安全地帯に
   降下する公算が高い。

[英軍の布陣]

     マレメ飛行場と107高地が焦点になることはあきらか。また、独軍が
    涸れ川を渉る可能性もあるため、涸れ川沿いの東斜面も重要である。英軍
    の基本方針としては、大きくわけて以下の2通りがある。
     1:通常の防御陣地を敷く。
     2:空挺降下に備えて広い範囲に展開した陣地を敷く。
        あと1、2個大隊が追加して使用可能であれば、
     3:緊密な防御陣地を敷く。
        という方針も取り得るが、それほどの戦力はない。

     今回は最初のプレイであること、空挺降下の「運のし」を期待したく
   ないこと等から、方針1の通常陣地を敷く事にした。
   陣地の概要は、マレメ村を中心とした3角地帯を陣地化する。
   中心のマレメ村周辺には、守りの要 迫撃砲3ユニットおよび当初より
   リリースされている3個中隊を配置した。

[プレイの展開]

  AM 7:00
       独軍は航空兵力をマチルダ戦車と飛行場の対空陣地の英軍小隊に
     投入し、マチルダ1台を撃破。英軍1個小隊にステップロスを強いた。

  AM 7:20
       航空部隊は第1ターンと同じ目標を攻撃し、さらにマチルダ1台
     を撃破、英軍1個小隊は制圧された。独軍グライダー部隊はマレメ飛行
     場周辺の対空陣地の隣接ヘックス(ほとんどが開豁地ヘックス)を降下地
     点としていた。開豁地ヘックスには英軍は陣地を敷かないであろうと言
     う独軍司令官の読みはあたり、全部隊が降下に成功した。ただし、その
     後の移動突撃時に悲劇が起こった。移動時の臨機射撃は、移動したヘッ
     クスサイドの中心点が誘引点となる。このため対空砲陣地に突撃する独
     軍部隊はほとんどが開豁地ヘックスサイドを横切る事になった。
     たった6火力の防御射撃も、開豁地の2シフト、移動中の1シフト、近
     距離の修正を受けて、膨大な火力(20火力程度)で撃たれることになって
     しまう。これに加えて英軍プレーヤーの悪魔の様な射撃賽の目の結果、
     独軍は降下した10個小隊のうち3個小隊を失い、大隊モラルが3低下す
     るという大損害を被った。ただし、生き残った小隊は英対空砲を捕獲し、
     火力の増大に成功した。第1波降下作戦は 80% の成功と言える。

  AM 7:40
       独軍パラシュート部隊は、主力は涸れ川西部の安全地帯、英増援
     足止め部隊は地図盤東部に分散して初期配置された。主力の降下はほぼ
     安全、足止め部隊の降下はかなり危険と予想されたが、何が起こるかわ
     からないのがゲームである。主力の降下地点は大きくずれ、涸れ川付近
     となってしまい、涸れ川に着地する部隊も出現した。パラシュート降下
     部隊は移動モードのまま1ターン撃たれ放題のため、これは大変危険な
     状況である。一方、危険視されていた足止め部隊は、やはり大きくずれ、
     多くは安全地帯に降下できた。英軍は砲撃と射撃によって、涸れ川の
     主力の一部を除去、あるいは制圧した。結局、7ターン終了時までに、
     涸れ川に降下した部隊の半数以上は除去されてしまった。

  AM 8:00 以降 AM9:20 まで
       涸れ川上の独軍部隊は、涸れ川西部の安全地帯に後退し、また、
     降下の成功した部隊は地歩を固め迫撃砲を展開した。一方、マレメ飛行
     場のグライダー部隊も、敵に倍する火力に物を言わせて、着実に英軍部
     隊を除去して行く。これに迫撃砲の威力が加わり、独軍の攻勢力は安定
     した。また、英軍の足止めを目的に降下した部隊は、順調に接近を行い、
     戦闘圏内に入った。以上の様に、独軍が降下当初の混乱から回復し、
     これからが山場というところで、時間切れ終了となった。

[これ以降の展開予想]

 独軍歩兵ユニットの火力は英軍の2倍から4倍以上ある上に、迫撃砲、
機銃、歩兵砲などの支援火器も展開し、今後は優勢に戦いを進める事が
できるであろう。決め手は航空兵力で、これだけで英軍の対空砲を壊滅
させることが期待できる。おそらく、増援部隊の空輸が開始される 21日
 PM3:00 までには対空砲は消滅しているであろう。英軍の残された手段
は飛行場に砲撃を行うことであるが、これでは、十分な戦果は望めず、
マレメ飛行場は独軍の沸きだし口となるだろう。英軍の敗北はほぼ確実
と予想される。

[反省]

 英軍の予備投入のタイミングが遅れた。早めの投入がどれ程の効果を
生んだかは疑問であるが、AM 7:40 の第2波降下の直後に投入してい
れば、やや有利に戦うことができたかも知れない。第21NZ大隊と第22NZ
大隊の配置位置を逆にすべきであった。部隊の質としては 22の方が
良好であったが、重要な戦線は21NZの担当であり、火力と士気の低
さが悪影響を生んだ局面もあった。これは、ユニットの記憶があいまい
のまま配置を決めた英軍プレーヤー(つまり私)のミスである。


(AH)ASL「ジェルジンスキートラクター工場」キャンペーン1回戦
 さて、25-26日の事についてドイツ側から見た点を報告します。合計6ターンま で進んだのですが、結果はドイツ軍の勝利でした。

1 ゲーム前
 ドイツ軍には、歩兵中隊(4-6-7x12,HMG,MMG,LMG,LtMtr,指揮官x3)x2,装甲擲弾兵小隊(4-6-8x4,LMG,指揮官)x5,突撃砲小隊(StGIIIBx3)x2,戦車小隊(PzkfwIIIHx3)x2,81mmMtrOBAx1,事前砲撃,17CPでした。17CPで色々購入出来るのですが、今回は,突撃砲小隊(StGIIIGx3;最高の防御AF),シュトゥーカ(ほぼ毎回買える),装甲擲弾兵小隊,突撃小隊(5-4-8x3,LMG,DC,指揮官;自動火器ボーナスが使える),工兵小隊(8-3-8x3,FT,DCx2,指揮官;自動火器ボーナス,大火力,FT-市街戦に不可欠)を購入しました。これだけ買ったのだから、指揮官もいいのが来ると思いきや、なんと6+1が2人も来て、殆どが7-0,8-0という始末。指揮能力があるのは、14人中3人という悲惨さでした。

2 開始前
 まずは開始前に事前砲撃を実行しましたが、これはオリジナルのルールと異なる範囲(正面10ヘックス、奥行き7ヘックス)全てのユニット、建物等にそれぞれ2MC,NMCを行わせるというもの。かなり期待したのですが、半分ぐらいが肩すかしを食らい、あまり効果があったとはいえませんでした。配置は歩兵2個中隊を北方から、装甲擲弾兵3個小隊を南方に配置しました。残りは2ターン以降の増援としました。

3 前半(1ターン〜3ターン)
 以前の穀物倉庫の戦いでの教訓(いきなり進入して、あちこちで待ち伏せられ、大損害であった)から、まず6個分隊をHSにして、それに索敵をさせ安全を確かめさせ、そして本隊を進入させました。2ターン後に解った事ですが、勝利条件区域(石造建物25区域)に部隊を配置していなかったのです。第2ターンに進入した指揮官付きStGIIIGが、射撃位置に着こうした瞬間AT地雷が炸裂し、行動不能になり(ゲーム中修理不能)、また別のStGIIIGは45mmATから致命的命中を受け、破壊されました。こちらの81mmOBAは市街戦では大した火力でなく(狙うところのTEMは、+3〜5)、そこから/への射撃にLOS妨害を与える程度に留まりました。このころあちこちでDug-InのT-70や45mmATが発砲し、戦車が前進できなくなりなした。ここで実感したことですが、要塞化された建物はTEMも強力(たいてい+4)だが、一番の強みは中のMMCが除去/混乱して潰走するまで進入出来ないということです。これには手を焼きました。シュトゥーカも視認TCに失敗して唯飛ぶばかりでした。

4 後半(4ターン〜6ターン)
 勝利条件は既に満たしているのですが、次のシナリオの配置地域を拡大すべく攻撃を続行する事にしました。北部地区ではまさに一進一退、しかし迂回部隊が、がら空きの工場に突入成功しました。更に最南端の部隊も、工場の進入に成功しました。南部の所々に残った要塞化建物をようやく潰した所で、6ターン終了時の終了判定で終了しました。

5 まとめ
 今回は穀物倉庫の戦いで予習をやっていたせいか、初期に大損害ということはありませんでした。反省すべき点は、途中感情的になって目先だけの攻撃を繰り返したこと、索敵を最初しか活用しなかったこと、戦車の投入方法をあまり考えていなかったこと、築壕しなかったことです。

****** 25日(日) ***************
(3W/CoSi)アーヘン
 米軍、独軍の対戦車防御射撃の前に大損害。弱い独歩兵を叩いて突破を図るも、パンターを主力とする第116装甲師の機動予備に反撃され、撃退された。ただし所属師団HQからのみ補給を引けると勘違い(友軍HQならどこでもOK)していたので、また再戦してみたい。

(3W/CoSi)エンドカンプフ・オストプロイセン(旧トゥ・ザ・ウルフズ・レアー)
 ゲーム開始から5ターン猛攻を続けても独軍戦線に1歩も食い込めず、赤軍損害うなぎ登りとなる。赤軍担当のYaGさんは、ピープルズ旧版もプレイ経験があるのだが、「こんなに抜けないゲームだったっけ」と首をかしげていた。

(HJ)ビターエンド
 東プロイセンがこれ以上やっても抜けそうにないので赤軍投了し、けて口直しにビターエンドを開始。「ホビージャパンのオリジナルSGではこれが最高の出来」と絶賛して止まないYaGさんが独軍を担当し、持論である第1ターンからの正攻法突破でブダペシュト早期救出に挑む。
シミュレイター誌での南方転進策に頼らずとも、北部荒地から十分突破可能と以前から実証して見せている氏の攻撃に、国際通信社御用訳者ShiNさんもタジタジ!?

(HJ)マーケットガーデン作戦
 自由降下シナリオで対戦するも、独軍にとって賽悪の結果となり、ほとんどの橋が爆破失敗し、まさに「2日で100キロ」進める状態となった。

(国際通信社)スターリングラードポケット/4人戦
 國學院大學SG研の方々で、ヒストリカルに綺麗な包囲網を形成し、高橋さんも感動されていた。

(国際通信社)ビクトリー・イン・ノルマンディー×2
 最近、改めてその面白さが語られだした付録SG。砲兵の射撃が当たるか否かで勝負が決まる!?それにしても独軍に勝ち目はあるのだろうか。

(6アングル)函館戦争
 久しぶりに参加したYoKさんと(AD)北海道共和国ファンのUeMさんとの対戦。中盤まで新政府軍が苦戦していたが、最後は五稜郭へ肉薄していた。ただ2千円の内容ではない(5百円が適当)と両者の意見が一致していた。

(翔)SS太平記
UeMさんが常に携帯しているミニゲームで、プレイも楽しげ。

(AH)Hannibal×3
2年経っても人気衰えず、プレイ回数は2百回に及ぶか?

(EP)戦国大名
こちらも定番人気マルチ。Miuさん悪運に泣く!?


****** 26日(日) ***************
(CoA)The Campaigns of Robart E.Lee.「ゲディズバーグ」
 南北戦争作戦級ではこれが最良と確信するIdiotenとFred氏で対戦。事前にチャンセラーズビル・シナリオをFred氏宅で対戦したばかりだったのでルールの理解度も高く、息詰まる接戦が続く。作戦の自由度が高く、それでいて移動も戦闘も指揮官の期待値頼りの不安定さがあるので、頭をフル回転させておかなければ勝てない傑作ぶり。南軍に先手を取られ、リーの主力にプレザントン騎兵軍団が弾き飛ばされる。これを見て北軍が萎縮したので南軍は全軍をあげて北進開始。しかし戦術的機動にこだわり軍団ごとに分散して進軍した為、戦略消耗で多くの兵力を失う。
対する北軍は南軍が守備隊程度しか残していかなかったフレデリックスバーグを背後から占領し、この小競り合いでミードが重傷を負った為に軍司令官の交代もできずに、フッカーのままで騎兵スクリーンに隠れながらワシントンの防衛へ遅々としながら北進。その間にトレーニング中のワシントンはリーに強襲され、陥落寸前となった。しかし史実通りに名声を求めるスチュワートが騎兵軍団単独で北部をウロチョロし、発生した北軍民兵に退路を遮断されて孤立。リーは北軍騎兵に隠れて隠匿移動してくるフッカーの位置を掴む事ができず、ワシントン占領を目前にして退却。終了1ターン前にリーの本隊に対してフッカーが包囲攻撃を試みるも、各指揮官の足並が揃わず失敗。半島の北軍ディックスの部隊も、一時リッチモンドに突入するも、弾薬が底をつき全滅確実。あと1ターンを残す所で時間切れとなったのが、何とも惜しいプレイであった。

(MiH)ターニング・ザ・テーブル×3
 珍しく1942年春の第2次ハリコフ戦を扱った手軽なゲームで、対戦したYaGさんとYoshKさんも余り期待せずに臨んだが、余りの面白さに文字通り夢中となって、手放しで絶賛する始末。部隊毎の戦術値によって戦術チットを引き、それをダイス修正とするイベント性(スツーカ+5、シュトルモビクやカチューシャ+4、騎士十字章やソ連邦英雄で1部隊戦力2倍、ウォッカで両軍損害+1、Pakフロントで赤軍戦車戦力半減等)が対戦を盛りあげ、移動と戦闘どちらを先に行なうかで突破を図るなど、やや赤軍不利かと感じられるものの、奥の深い、研究のしがいがある傑作との評価を得ていた。ルールも口頭で十分理解できる単純さで、昼から来たメンバーにその場で教えて同時に2セットプレイが行なわれた。このゲームこそコマンド誌付録にすべきと皆が口を揃えた(和訳付きとはいえ5600円は高過ぎる)。

(DG)バトル・フォー・ジャーマニー/3人戦
YSGA総当たり戦企画の為に、最近改めてその面白さが見直されつつある当SGを口頭説明してプレイ。最終ターンに西側連合軍がベルリンを攻撃するも陥落せず、勝者無しの結果となった。

(AH)Hannibal×2
ジェネラル誌の追加シナリオまで訳出される人気振り。

(EP)戦国大名
時間がちょっとでも余ればこの題名が出る超定番マルチ。


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