大展望台へ行こう!(番外編?)
天保山(大阪府)
 
 
天保山渡船・天保山大橋と天保山。写真右手、木が生い茂っているあたりが頂上。
 
 
天保山って、どんな山?

 大阪市港区の「天保山(てんぽうざん)」は、大阪市内の地域名としてはヒジョーに有名で、「海遊館」などが立地している場所として知られています。さて、みなさんは「天保山」という山が実際に存在することをご存じでしょうか? 実は、「天保山公園」の一角にそびえるこの山の頂上の標高は4.5mで、国土地理院発行の地形図に表示される山としては、日本一低いものなんです。したがって、日本一低い天保山と日本一高い富士山の両方を登頂して、はじめてニッポンのヤマヤになれるって・・・?

 
 
天保山の生い立ち

 天保山は、1831(天保2)年から2年の間に、安治川をはじめとする大阪の川や掘りを浚渫(しゅんせつ)して生じた土砂を盛った山で、当初は標高20mくらいあったとのこと。当初は、水の都・大阪に出入りする船の目印の役割を果たしたことから「目印山」と命名されましたが、のちに、山が築かれた時代名をとって「天保山」と呼ばれるようになりました。そして、この山すそにはマツやサクラなどが植えられ、大阪の景勝地のひとつとなりました。
 しかし、幕末期にロシア軍艦到来を機にした砲台の築造のために山が削られ、また昭和に入ってこのあたりで地盤沈下が引き起こって、山の高さはどんどん低くなっていきました。

 戦後の1958(昭和33)年、天保山を含むエリアに天保山公園が開園、園内には江戸期と同じようにマツやサクラが植えられ、大阪市内の花見の名所のひとつともなりました。が、山そのものは公園の中に埋もれる形になってしまい、1994(平成6)年には国土地理院の地形図から削除。しかし、「天保山山岳会」をはじめとする地元住民の要望・運動の結果、1997(平成9)年に地形図に再掲載、「山」としての復活を遂げ、それから徐々に「日本一低い山」として脚光を浴びるようになって現在にいたっています。

  
 
天保山に登ろう!

 この天保山は、「天保山公園」の一角(=公園の隅のほう)にあり、「天保山渡船」の乗り場付近が頂上となります。大阪港天保山桟橋(=四国方面への高速船乗り場で、天保山渡船の乗り場とは若干異なる場所)の前・天保山公園の入口には、江戸期の天保山の絵が掲げられています。これを眺めると、当時の天保山が今よりもずっと高い山だったことがわかります。そして公園内を奥へと歩いていくと、天保山に行き着くことができます。登山口(っていうのかな?)は大きく分けて3カ所。ここでは、渡船場側から天保山公園正面へと抜ける縦走コース(笑)を紹介いたします。さぁ、タイトルまたはこちらをクリック!

    
 
登山認定証をゲットしよう!

 天保山を下山したら、市営地下鉄大阪港駅から歩いて3分の場所にある「山小屋」という喫茶店へGO! ここで、天保山の登山認定証を即時に発行(無料)してくれます。なお、喫茶店「山小屋」の開いていない早朝や定休日(木曜日)に登った場合には、郵送という形でも受け付けてくれます。
 ちなみに喫茶「山小屋」のおやじさん(橋本さん)は天保山山岳会の会員で、以前は薬屋を経営していましたが、とある事情を契機に「登山客の憩いの場をつくろう」と喫茶店に転業、現在に至っています。もし、下山後時間的余裕がある場合は「ちゃー」しておやじさんの四方山(よもやま)話を聞くのもいいかも・・・。

 なお、この登山認定証の文中には「ロマンとイチビリ精神をもって・・・」という表現がありますが、この「イチビリ」とは「一番ビリ」という意味ではなくて(←注:天保山の高さが日本一低いことから、作者 まるしん は当初こういう意味だと思った)、「できもしないことに力を注ぐこと」転じて「遊び心」という意だそうです。

 喫茶店「山小屋」の具体的な場所や登山認定証の郵送申し込み方法は・・・天保山頂上に掲示されていますので、まずは実際に登られてみてください。

 
 
アクセス
 桜島渡船場(JR桜島駅から徒歩10分)から天保山渡船で天保山渡船場下船徒歩2分。渡船は日中30分ごとに運航、運賃無料。
 大阪港(天保山客船ターミナル、高松方面からの高速船が発着)から徒歩3分
 市営バス天保山バス停から徒歩5分
 市営地下鉄大阪港駅から徒歩10分
 天保山西埠頭(ユニバーサルシティ方面などからの船便が発着)から徒歩10分
  

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