【川崎区】八丁畷(はっちょうなわて)
八丁畷駅は、JR南武支線と京浜急行本線の乗り換え駅で、JR線が京浜急行線を立体交差でまたいでいます。ただし、駅の構造は京浜急行(京急)の駅をJRが間借りしている感じで、実際に駅の管理は京浜急行のほうが行っています。従って、ここの駅員は京浜急行の社員。自動改札機も京浜急行のもので、JRの乗り放題きっぷ「ホリデーパス」はここの自動改札では受け付けてくれません。この場合、駅員にきっぷを見せて改札を抜けます。
さて、現在の駅周辺は小さな商店街をともなうごくふつうの住宅街ですが、かつては川崎宿の南端だったところ。そして駅のすぐ脇の道は旧東海道。江戸期にはここに茶屋があって、東側(川崎新町駅寄り)には浜が広がっていたそうです。なお、その道端、駅北側(川崎駅寄り)の京浜急行の線路沿いには、松尾芭蕉の句碑があります。
麦の穂を たよりにつかむ 別れかな
1694(元禄7)年6月下旬、江戸深川(現在の東京都江東区)から郷里である伊賀国(現在の三重県西部)に帰る旅の途中、芭蕉は八丁畷の茶屋で団子を食べながらひと休み。ここで見送りの門下生に対し、この句を詠んでいます。そして海風がさわやかに吹き渡り、麦の穂がたなびく中、芭蕉は西へと発っていきました。なお、芭蕉にとってこの旅が関東最後の別れとなり、この年の10月に大阪で死去しています。 |