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ルッジェーロ2世
Ruggero U
シチリア王(1130-1154)
シチリア王国の初代王。なのに、いきなり2世。
ヨーロッパにはいくつもの王冠があるけれど、簡単に手に入れられるものではない。シチリア王国の王冠は、ローマ教会の分裂の産物でもあった。
対立教皇の一方であったアナクレトス2世には、世俗君主の後ろ盾がなかった。そのため、自分の教皇位への支持と軍事援助との引き替えに、ルッジェーロに王冠を与えることにしたのである。怪しげな王冠ではあったけれど、いったんもらってしまえば、後は実力勝負で何とでもなる。
アナクレトスの死後、もう一方の対立教皇だったイノケンティウス2世は、ルッジェーロをさっそく破門し、王国内に軍を進める。しかし、ノルマン不敗神話はまだ生きていた。ルッジェーロの軍が勝利を収め、教皇を捕虜にしてしまう。結局、教皇は、改めてルッジェーロの王位を承認することになった。
かくして、ノルマンディーの田舎騎士の息子は、王様になった。
そして、ルッジェーロは、王様らしい事業にも取りかかった。彼の時代に、ノルマン宮殿やチェファルーの大聖堂のような、金ぴか趣味の建築物が建てられた。経済力という点では、ヨーロッパ随一の君主だった。地中海交易の要に陣取ったわけで、儲からないわけがない。金持ちの王様にふさわしい豪華絢爛たる文化が開花したのである。
王は学問にも興味をもち、アラブ人、ギリシャ人の学者たちを厚遇した。イスラム世界の進んだ学問が取り入れられ、ギリシャ語の古典をラテン語に翻訳する活動が活発に行われるようになったのである。
ルッジェーロ2世の時代、シチリア王国は、その領土を北アフリカにも広げている。
ヨーロッパにその名を轟かしていた大宰相ゲオルギオスが率いるシチリア艦隊は、ビザンツ領も脅かし、コルフ島など、いくつかのギリシャの島を獲得するまでになった。
地中海のど真ん中に、ギリシャ、イタリア半島、シチリア、北アフリカを横断する王国が出現したわけである。
そして、相変わらず、様々な人種、宗教の官僚が王の下で働いていた。
この王様は、フランス語、ラテン語、ギリシャ語、アラビア語を理解できたと言われている。
彼が戴冠式で用いたマントには、アラビア語の縁取りが施されている。キリスト教君主として戴冠されようというときに、そんなものを着てちゃまずいと思うんですがね。そんな調子の王様であったから、王自身が隠れイスラム教徒ではないか、という噂まで流れたそうである。
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