Otoshibumi Craft Lab 電気の森 The Forest Of Electric
+ Electronic Technorogy [1999]
電気回路編 第1章 オームの法則 Ver.3.x
Ver.3.0 Last updated : 1999/11/10
電流とは、「電荷の流れ(移動)」である。
「電流」は、「電気の流れ」という意味で名づけられたのです。
今、導線(棒状の導体)に、電気的な圧力が加わり、電荷がある方向に移動している状態を考えてみる。この状態の例を、図.A−3−1に示す。この図は、正電荷が、左から右の方向へ移動している状態である。「電荷が移動している状態」。これが電流のイメージである。
導体に流れる電流を水の流れにたとえたものが「水流モデル」である。
電流の流れは、目には見えません。想像するしかないのです。そこで、「正電荷の移動」を「水の粒子の移動」と同様のものと考えようということになったのです。図.A−3−2は、「水の粒子の移動」をイメージしたものです。
しかし、導体中の電荷(電子)の動きが、水の粒子の動きと全く同じであるわけではありません。注意が必要です。あくまでも、たとえ話であることを認識する必要があります。
以後の節で、「正電荷の移動」と「水の粒子の移動」との対比について、詳しく説明していきます。
「正電荷の移動(電流)」と「水の粒子の移動」との対比について、全体像をまとめてみました。
導線(棒状の導体)のある断面(図.A−3−1のAの断面)に注目して、その断面に、1秒間にどれくらいの電荷が通過するかを調べてみる。
今、電荷の流れる量が一定で、t[s]間に、S[粒]の電荷が通過したとする。このとき、1秒間に通過する電荷の数Z[粒/s]は、次式であらわすことができる。
S
Z = ――― (1)
t
[Pont A3b01]では、電荷の数に注目した。次に、電気量に注目する。
正電荷が移動することによって電気(量)が移動する。このことに注目して、次のように、電流の大きさを定義する。
電流(current)の大きさは、
「ある断面において、1秒間(単位時間という)に移動する電気量をあらわす値」
である。
ある断面を電荷が一定速度で移動することにより、t[s]間にQ[C]の電気量が移動したとき、電流I[A]は、次式であらわすことができる。
Q
I = ――― (2)
t
電流の量記号にI、単位記号に[A](ampere、アンペアと読む。)を用いる。
電流の量記号Iまたはiは、英語の「intensity of electricity」の頭文字を用いています。この英語は、「電気の強さ」を意味します。歴史的に、電気の強さに関する量を最初に測定したのが電流であったことから、慣用的に使われているのです。
単位記号の[A]は、フランスの科学者アンペア(Andre' Marie Ampere) の名が使われています。アンペアは、電流と磁気現象の関係を研究し、電磁気学の基礎を作り上げた人物です。
電流の単位記号は、(2)式の定義より、[C/s](クローン・パー(毎)・秒と読む。)とあらわすことができます。[A]という単位記号は、[C/s]に等しい(つまり、[A]=[C/s])単位記号として用いられています。
電流の方向は、以下のように定義する。(図.A−3−3参照)
電流の方向は、正電荷が移動する方向を「正」とする。
電流の方向は、負電荷(電子)が移動する方向の逆を「正」とする。
本節以後の説明では、次のイメージをもって対応してください。「電流」とは、「正の電荷の流れ」ということです。「電流が流れる」とは、「正電荷が移動する」ということです。
「電流が流れる」という表現がおかしいと感じた方は、正解です。「電流」は「電気の流れ」という意味で名づけられました。電荷が移動する(動く)ことによって、「電気の流れが生じる」のです。ですから、「電流が生じる」という表現が正しいのです。しかし、現在も慣習的に、「電流が流れる」という表現を使っています。
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