電気の森 The Forest Of Electric + Electronic Technorogy by Otoshibumi Craft Lab [Official] [2000]

 

電気工事編 DKE-014

合成樹脂製可とう電線管(PF管)の特徴

Ver.2.0 (Preview Version)  2000/04/12版

to Denko


 このコンテンツでは、合成樹脂製可とう電線管(PF管)の特徴について説明します。合成樹脂製可とう電線管(PF管)は、以下の特徴により、配管作業の大幅な省力化ができます。工期が短縮する傾向があり、配管工事の熟練技術者の不足する中、利用度が大きくなっています。コンクリート埋込専用電線管(CD管)の欠点でもある「自己消火性」があることから、硬質ビニル電線管(VE管)と同様の施設場所で利用できます。




 合成樹脂製可とう電線管(PF管)の長所
  
         

 材質からいえること
 
 
自己消火性がある。
PF管は、電気用品の技術基準や日本工業規格の「耐燃性試験」に適合している。
 
 一度燃え始めるとずっと炎を出して燃えつづける物質と燃え始めてもしばらく時間がたつと消える物質があります。後者の性質を「自己消火性」、又は、「自消性」といいます。PF管は、「自己消火性」がある電線管です。

 
 合成樹脂製の電線管は、電気用品の技術基準や日本工業規格で「耐燃性試験」が実施されています。これは、「配線は、施設場所の状況及び電圧に応じ、感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。」という電気設備技術基準・省令 第36条の「火災防止」を行うためのものです。PF管は、これらの「耐燃性試験」に適合した電線管なのです。

 
[参考]
 
[電気用品の技術基準 H10] 別表第二 1.電線管類
                  (4)合成樹脂製可とう管及びCD管 ト、耐燃性

 
[日本工業規格 JIS C8411-1992] 合成樹脂製可とう電線管 6.7 耐燃性(自己消火性)試験
 [電気設備技術基準・省令 H9 H10 H11]  第36条 配線の感電又は火災の防止

  
 自己消火性のあるPF管は、難燃性の管であると法規的に解釈されています。つまり、施設場所は硬質ビニル電線管(VE管)と同様になります。
 詳しくは、以下のコンテンツを参考にしてください。

  DKE-008 合成樹脂製可とう電線管(PF管)配線の施設場所

 
PF管は、一重管と二重管の2種類がある。
 
 二重管は、波形のポリエチレン管(CD管と同じものと考えてください。)の外面を難燃性(自己消火性)のある塩化ビニルで覆った構造をしています。
 一重管は、自己消火性のあるポリエチレンを波形に加工した電線管(CD管とは構造が同じで、材質が異なる)です。

 
 詳しくは、PF管は4種類あります。詳しくは、以下のコンテンツを参考にしてください。

  DKE-005 合成樹脂管の種類

 
材質が絶縁体(非導電体)であるために接地工事を必要としない。
 
 
 合成樹脂製可とう電線管(PF管)の材料である「自己消火性のあるポリエチレン」や「塩化ビニル」は、絶縁体(非導電体)です。導電体である金属管工事のように管に接地を行う必要がありません。

 
 合成樹脂製可とう電線管(PF管)に接続するボックス類も合成樹脂製のものを使うと、より、配線の絶縁性を保つことができます。
 金属製のボックスを用いると、使用電圧が300V以下の場合、D種接地工事が必要になります。(ただし、1、乾燥した場所に施設する場合、2、屋内配線の対地電圧が150V以下の場合において、人が容易にふれるおそれがないように施設する場合はD種接地工事は省略できます。)
 また、使用電圧が300Vを越える場合、C種接地工事が必要になります。(ただし、人がふれるおそれがないように施設する場合は、D種接地工事によることができます。)

[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−8 接地 第1項、第2項
[参考] [電気設備技術基準・解釈 H9 H10 H11]
                   第177条 合成樹脂管工事 第3項第四号、第五号


 
電気的不平衡を考慮する必要がない。
 
 合成樹脂は、非磁性体です。よって、電気的不平衡を考慮する必要がなくなります。

 
結露が発生しにくい。
 
 合成樹脂製のものの化学的な特性です。金属管に比べ、結露が発生しにくいのです。

 
寒冷地において、施工性の良さは変わらない。
 
研究中!

 
衝撃圧縮に強い、復元性がある。

 
研究中!

 
温度変化による伸び縮みが少ない。

 
研究中!

 

 構造的な工夫からいえること
 
 
可とう性がある。
 
 曲げやすいと言う意味です。手で簡単に曲げることができます。複雑で、狭い場所で自由な管の形状を作れることができ、簡単に施工できます。

 
 曲げすぎには注意が必要です。合成樹脂管配線では、管を曲げることについて、法的な制約があります。以下のことに注意するとともに、現場での通線作業を容易にする工夫が必要です。

 「管の曲げる場合、その内側の半径は、管内径の6倍以上とすること。」

[参考] [内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 C
[参考] [内線規程JEAC 8001-1995] 410−8 管の屈曲 第1項

 
 曲げる回数にも注意してください。直角又はこれに近い屈曲箇所は3カ所までです。

 「アウトレットボックス間又はその他の電線引き入れ口を備える器具の間の電線管は、3箇所を越える直角又はこれに近い屈曲箇所を設けてはならない。」
 「屈曲箇所が多い場合は、プルボックスを設置するのがよい。」

[参考] [内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 C
[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 410−8 管の屈曲 第2項

 
長尺である。
 
 可とう性があるために、電線管を把巻にすることができます。呼び22までの管が50m、呼び28以上は30mで把巻にされ製品化されています。

 
 長尺である利点は、管相互の接続が減ると言うことです。附属品であるカップリングを減らすことができ、さらに、その作業をする必要がなくなるのです。

 

 電線管の長さ(こう長)には、制限があります。「30m以下」です。長尺である利点をそのまま受け入れる訳にはいかないようです。あまりにも長い場合、通線作業が大変です。

 「管のこう長が30mを越える場合は、プルボックスを設置するのがよい。」

[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−5 配管 第2項 C
[参考] 
[内線規程JEAC 8001-1995] 410−8 管の屈曲 第2項[注]

 

軽量である。
 
 合成樹脂は、金属に比べ軽い材質です。さらに、コンクリート埋込専用電線管(CD管)は、構造的な工夫によって軽く作られています。

 
 その利点は、何よりも、運搬がラクだと言うことです。

 
切断が容易である。
 
 ナイフで、簡単に切断することができます。手元でできる容易さが作業の省力化につながります。

 
 切断のための特殊な工具を必要としません。騒音はでません。(金属管を電動工具で切断する場合を連想して下さい。)

 
 必要な長さで切断すればいいのですから、短尺な管がでなくなり、無駄がない。

 
 切断は、管軸に対し、直角に行う。(あたりまえですよね。)
 電気用品の技術基準では、PF管の構造について、以下のように記しています。

 「管軸に対して直角に切断した断面が円形であること。」

つまり、管軸に対して、きちんと直角に切断すれば、その断面は円形になるように作られているのです。

[参考] [電気用品の技術基準 H10] 別表第二 1.電線管類
                     (4)合成樹脂製可とう管及びCD管 イ構造(イ)


 
通線作業が楽である。
 
 波付管であるので、構造上、管と電線間で接触面積が小さくなることから、摩擦抵抗が減ります。このため、楽な通線ができるようになります。

 
     


Photo.DKE-014-01

合成樹脂製可とう電線管(PF管)

■ 写真は、松下電工の2種類のPF管です。
  PF管には、一重管(右)と二重管(左)があります。

左: 松下電工:「パナフレキ」    DM716N
右: 松下電工:「パナフレキエース」 DM316


(2000/01撮影)



 合成樹脂製可とう電線管(PF管)の短所
 
 

 材質からいえること
 
 
 

 構造的なことからいえること
 
 
支持点を多くする必要がある。
 
 可とう性があるからです。曲がりやすい。だから、支持も多く必要となります。直線性を重視するならば、硬質ビニル電線管(VE管)を用います。

 
 合成樹脂管の場合、支持点間の距離は1.5mですが、合成樹脂製可とう電線管(PF管)の場合は、「1.0m以下にするのがよい。」と指示されています。

[参考]
 [内線規程JEAC 8001-1995] 415−6 管及び付属品の連結及び支持
                                   
第2項 [注2]


 
水対策を考慮しなければならない。
 
 管の内部は、波形であるので、水が侵入すると取り除くのが難しく(管が長くなると不可能?)なります。このため、専用のキャップが用意されています。

 
 ボックスやプルボックスと接続する場合に注意が必要です。現在、商品になっているコネクタやカップリングは、波形のくぼみに引っかけるような構造で電線管を固定しています。当然、メーカー側も考慮していると思うのですが、水気の多い場所での対応は考える必要があると思います。

 
[参考]
 
[内線規程JEAC 8001-1995] 415−6 管及び付属品の連結及び支持 第6項 

 
     

 


 Version情報

Ver.2.0 (Preview Version)  2000/04/12版
 このページについては、Ver.2.0からのスタートです。CD管については、今年に入り大格闘をしてきました。その意味がなかなかつかめず、MLの方々に大変お世話になり、やっとの事で頭の中が整理できました。MLでお世話になった方々には、本当に感謝です。おかげさまで、PF管についてもまとめることができました。

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DKE-017 合成樹脂管を知るための参考文献


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電工師匠 M.Saito、松山哉@千葉、鈴木真樹、古川裕久(sanpow21号)@佐賀、鈴木通之


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