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 商品を宣伝するときは、イメージで視聴者の感情に訴えるという裏技的なことをせずに、堂々と論理的にやってほしいと思います。
 たとえば、こういうのはどうでしょう。「商品広告アワー」という番組を、1日2時間ほど、夕方とか夜とかに設けるのです。
 この番組では、各企業の商品開発担当者が2、3分ずつ時間を割り当てられ、新製品のどういうところが良いのか、パネルを使って説明するのです。現場の人が、血と汗の結晶である商品について熱弁を振るうのですから、きっと面白いですよ。NHKの「プロジェクトX」をしのぐ人気番組になるかもしれません。
 説明にはタレントを使ってはいけません。テレフォンショッピングみたいになってしまいます。



 CMの映像芸術としての側面は、僕も評価しています。たまに民放のチャンネルを見ていると、ほとんど感動的なほど水準の高いCMによく出会います。
 新聞や雑誌で、「今評判のCM」についての記事が出ているのを読むと、ぜひとも1度見てみたいという気になります。しかし、惜しむらくは、どのCMがいつどのチャンネルで放送されるのか、さっぱり分からないのです。たいていは、「見たい、見たい」と思っているうちに放映期間が済んでしまいます。ここ10年ぐらいの間に名作として評判になったCMで、僕が見たことのあるものというのは、おそらく10編に満たないんじゃないでしょうか。
 しかたがないので、「CM NOW」という雑誌の「読者の選ぶCM大賞」という特集号を毎年買って、数か月遅れで紙の上でその映像を確かめるというピント外れのことを続けています。



 僕と同じく、特定のCM映像を見ようと思う人は多いはずです。そういう人のために、「CM映像アワー」という番組を作り、その枠内でCMを流すようにしてはどうでしょう。
 僕がCMぎらいのくせに、秀作CMの映像を見たいというのは矛盾しているではないかと思われるかもしれません。しかし、これは矛盾ではないのです。
 ニュースやドラマの途中に挿入されるCMは、いわば、いきなり自宅に訪問してくる押し売りのようなもので、こちらが「いらない」と言っているのに「買え、買え」と迫る迷惑な存在です。しかし、時間を決めてその中で流れるCMは、いわば、店舗を構えている商人のようなもので、その店に足を運ぶかどうかは、こちらで意思決定ができます。
 「今日は××社の○○という商品のCMを見よう」とあらかじめ決めて番組を見るのは、映画館で映画を見る気分とそう違わないはずです。



 ここまでを要するに、CMを見なくてすむならば、あるいは、CMを見ようという気になったときに見られるのであれば、民放の番組も喜んで視聴しましょうということになります。
 いうまでもなく、これは商業放送の否定につながります。書いていて、あまりにも実現性が低いので、我ながらだんだんばかばかしくなってきました。
 「そこまでして無理に民放の番組を見てもらおうとは思わん。あなたひとり見なくたって、放送局もスポンサーも痛くもかゆくもないのだ」
 と言われるだけのような気がします。
 とすると、この文章を発表する意義さえ、怪しくなってきました。もうこのへんでやめることにしましょう。何だか、竜頭蛇尾の文章でしたね。

終わり      


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