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 高校あたりから、テレビ番組に関する潔癖性といったものはさすがに消え、以後は民放の番組も多少は見るようになりました。タモリの「今夜は最高!」(日本テレビ、1989年まで)、三宅裕司の「平成名物TV えびぞり巨匠天国」(TBS、1991年)などは毎回楽しみにしていました。
 ただ、民放を見なかった時期が長かったため、民放の番組に対して、すでに消しがたい心理的隔壁が生じてしまったようです。僕にとって「NHKは我が家、民放は他人の家」という感じで、民放にチャンネルを合わせていると、どうもお尻のあたりが落ち着きません。じきにNHKに替えてしまい、
 「あー、やれやれ、我が家が一番」
 ということになるのでした。
 現在、NHKと民放との視聴時間比率は、おそらく20:1ぐらいではないかと思います。久米宏さんなんかの報道番組のほかに、新聞テレビ欄で「これは」と思った民放の番組を、1か月に2、3回見る程度ですから。



 「CMぎらい」というタイトルなのに、いっこうにCMの話が出てきません。話を先に進めましょう。
 民放を見るようになってからも、どうも違和感がとれない最大の理由は、NHKと違ってコマーシャルがあるということでした。CMさえなければ、落ち着いて民放を見ることができるはずですが、それでは民放になりませんね。
 CMというのは、要するに「買え」という命令です。どんなにオブラートに包んであっても、それは命令には違いありません。娯楽のつもりでテレビを見ているのに、どうして15分ごととか、10分ごととかに「この新製品を買え、買え」と、理不尽な命令を受け続けなければならないのでしょうか。
 そんなね、あなたに命令されなくても、僕はほしいものがあれば買うし、なければ買わないのです。こんな広告費にお金を使うぐらいなら、商品の単価を下げてちょうだい。そうつぶやきながら、チャンネルをNHKに替えてしまう……。



 僕とて、商品を宣伝すること自体がいけないとは思っていません。ただ、現在のCMは、視聴者に必要な情報を与えず、もっぱらイメージ戦略で売ろうとしていますね。見る人の理性に訴えずに、感情に訴えている。これが不愉快だ。
 「あなたがた視聴者は、どうせ考える力もないでしょう。論理的に説明してもむだなので、それよりも、人気タレントを使って、雰囲気を盛り上げて購買意欲をかきたててあげますよ」
 というわけですから、人をなめた話ではありませんか。
 しかも、番組スポンサーは、本来のCMの枠内だけでなく、ドラマやバラエティで自社製品をそれとなく使わせ、一種のサブリミナル効果をねらっています。
 それどころか、旅番組のはずがいつの間にか旅館やレストランの宣伝になっていたり、報道番組のはずが、特定企業の新商品の宣伝になっていたりということもあります。
 どうも民放においては、どの番組も大なり小なり宣伝であり、結局「買え、買え」というメッセージが通奏低音のように続いているのではないかという気さえするのです。


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