![]() |
01.09.15 「かっこいい」の出世 ![]()
流行語は、生まれては消えるうたかたのようなものですが、中には定着して、まったくふつうの日本語になってしまうものもあります。 「〔略〕稽古場の下にある大きな鏡に、バンデルが自分の浴衣姿を写しているところを通りかかったんです。そしたら、『おかみさん、きれい?』って聞くんですよ。それは『かっこいいか?』っていう意味のことを聞いてるわけですよ、だけどその意味の言葉がまだ分からない、表現の仕方が分からなかったものだから『きれい?』って言ったんですね」。(p.84-85)
ここでは、「かっこいい」がふつうの日本語、「きれい」が間違いの日本語と捉えられています。今の感覚ではそのとおりなのでしょう。でも、これが40年かそれ以上昔であれば、「かっこいい」よりはむしろ「きれい」のほうが自然だった可能性があります。
鉄砲かついだ 兵隊さん、
ここでの「きれいだな」は、足並みがきれいにそろっているということかもしれませんが、たとえそうであるにせよ、「兵隊さんがきれいだ」という言い方は、ちょっと僕には違和感があります。なんだか、歌舞伎の女形みたいな兵隊が歩いている映像が浮かびます。 最近の「テレビと子どもの生活」調査は一様に「勉強の時間」「読書の時間」の減少を報告している。「かっこうええなあ!」「イカスぞ」「もうしわけない」などというテレビ流行語を連発する子どもたちが、テレビをみながら宿題をやってのけ、雑誌を読んでいる。(p.17 滑川道夫)
と眉をひそめる大人の文章が載っています。なぜ「かっこうええ」と関西弁なのかよく分かりませんが、1月号に載っているということは、前年にはテレビで聞かれたセリフ(テレビ番組? コマーシャル?)なのでしょう。1962年後半からは「かっこいい」の形でこの「言語生活」でもよく目にするようになります。 |
![]() | ||||
| ||||
![]() |