わんだふる スイスアルプス (5)

  1.私にとってのスイスアルプス
  2.膨れ上がるスイスアルプス
  3.いよいよ出発 : 8月5日(土)
  4.あこがれのスイス(チューリッヒ)到着 : 8月5日(土)
  5.氷河特急に乗ってツェルマットへ : 8月6日(日)
  6.ヴァリスの山々 : 8月7日(月) 
  
7.エッシネン湖経由でグリンデルワルトへ : 8月8日(火)  
  8.ベルナーオーバーランドの山々(1) : 8月9日(水) 
  9.ベルナーオーバーランドの山々(2) : 8月10日(木 
 10.さよならスイスアルプス : 8月11日(金) 
 11.我に帰って : 8月12日(土)  
                                               
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9.ベルナーオーバーランドの山々(2) : 8月10日(木)

 今日も雲ひとつない快晴である。窓のカーテンを開けて外を見ると、昨日と同様に、頂上を真っ白に輝かせている大きなアイガーが眼前にそびえたっている。今日が最後のスイスアルプスである。ちょっと寂しい気もするが、こんなよい天気に恵まれ、最高の気持ちである。おもいっきり楽しんでやろう。
 朝8時半に、グリンデルワルト駅に全員集合した。駅前は、すでに多くのハイカーや観光客で混雑している。シルトホルンに向けての出発である。まず、インターラーケン・オスト行きの電車に乗り、ツヴァイリッチネン(Zweilutschinen)でシュテッヒェルベルク(Stechelberg)行きの電車に乗り換え、ラウターブルンネン(Lauterbbrunnen(796m))に向かう。ラウターブルンネンへ向かう途中の谷、ラウターブルンネンタール (Lauterburunnenntal)は、きれいなU字谷となっており、氷河に削られた谷であることがよく分かる。こんなところまで氷河が流れていたなどは信じられないくらいである。

 ラウターブルンネンの駅を降り、すぐ目の前のロープウェーに乗り、一気にグリュッチアルプ(Grutschalp)駅まで登る。再度、ここでミューレン行きの電車に乗る。この電車は、ラウターブルンネンのU字他のを挟んで、昨日歩いたメンリッヒェンからクライネシャイデックまでのハイキングコースと向かい合わせで平行に走る形になる。車窓からは、アイガー、メンヒ、ユングフラウの3山がよく見える。電車に沿ってハイキングコースも整備されているとのことである。およそ30分くらいでミューレン (Murren(1645m))の駅に着いた。駅前は広場になっており、うわさどおりにきれいな、落ち着いた雰囲気の村であった。駅前からは、メンヒ(Mench(4099m))、ユングフラウ(Jungfrau(4158m))、グレッチャーホルン(Gletscherhorn(3983m))、ラウターブルンネン・ブライトホルン (Lauterburunnen Breithorn)の白く輝く大きな山容が、谷を挟んで眼前に広がっている。 
Lauterburunnen
 -> Grutschalp
 Murren &
Eiger (Back)

 駅前から、ミューレンの村の目抜きどおりを10分くらいのんびりと歩くと、シルトホルンへのロープウェー駅に着いた。ケーブルは100人くらい乗れるような大きなケーブルで、どんどん高度を上げていく。中継駅(Birg)は、標高2677mのピークである。この中継駅とシルトホルン山頂駅の間は大きな谷となっており、ロープウェーはピークからピークへ結ばれている形になっている。中継駅までは快晴であったが、シルトホルンの山頂駅はガスがかかって見とおせない。ちょっとがっかりである。ここでロープウェーを乗り換え、標高2960mのシルトホルン(Schilthorn)山頂駅に着く。

Eiger, Monch & Jungfrau Lauterburunnen-Breithorn (3782m) & Gspaltenhorn(3436m)

 早速、展望台に上がってみた。頂上駅は、本当に山のピークの上にあり、まわりは大きく落ち込んでおり、回転レストランが岩の上に作られている。展望台は、レストランの下をぐるりと360度回って見ることができるようになっている。まず東を見ると、やや遠くであるが、左からアイガー、メンヒそれにユングフラウの3山が白く輝いて見える。ただ、あいにくガスがさえぎって、きれいに3つのピークが並んで見えることがなかったのがやや残念である。南東から南西方面は、ベルナーオーバーランド3山のような4000mの高さはないが、3000m級の山々が連なり、眼前に迫ってくるようである。左から、グレッチホルン(Gletscherhorn(3983m))、ミッタグホルン(Mittaghorn(3897m))、グロスホルン (Grosshorn (3754m))、ラウターブルンネン・ブライトホルン(Lauterburuunen-Breithorn(3782m))、真正面にグスパルテンホルン (Gspaltenhorn (3436m))、その右にブリュムリスアルプ(Blumlisalp(3663m))となる。西から北の方は、2000m級の山々が広がっている。とにかく、すばらしい景色であり、圧倒されてしまう。頂上駅から東の方の急な岩の尾根伝いにトレールがあり、ラウターブルンネンの緑の谷の方へ下って行くことができるようである。私も時間があれば、これらの高峰を見ながら歩きたいと思ってはみたが、団体行動の悲しさ、諦めるしかない。
 食事は、360度回転レストランでのソーセージとじゃがいものランチである。約1時間くらいで1回転するようである。でも、確かにすばらしいが、そこまでする必要があるのかと疑問に思ってしまった。日本なら、八ヶ岳の主峰・赤岳の山頂に360度回転するレストランがあり、富士山と、南アルプスと北アルプスを間近かに見ながら食事をするといったところであろう。とはいえ、先ほど挙げた3000mから4000m級の白い岩峰を、窓ガラスを通して見ながら、ビールを味わうのは、やはり最高の気分である。
 食後、もう一度展望台に降りて、まわりの山々をたっぷりと堪能し、それから、来るときに乗ったロープウェーでミューレンへ下った。ミューレンの村をゆっくりと歩き、電車とロープウェーを乗り継ぎ、ラウターブルンネンまで降りた。少々時間があるというので、落差300mというシュタウブバッハの滝(Staubbach-fall)を見に行ったが、時間切れで間近かまで行けず、途中で戻ってこざるを得なかった。ラウターブルンネンからまた電車に乗り、朝とは逆方向にグリンデルワルトへ向かい、3時頃にグリンデルワルトに戻った。
 まだ夕方までは時間があるので、希望者だけ、添乗員さんの案内で、グリンデルワルトの北の方にある丘フィルスト(First)へ行くことにした。グループの若い娘さん二人が、そこでパラセール(トレーナーと一緒)に挑戦するということである。私も山中湖で一度パラセールを経験していたので、是非スイスの丘の上を鳥のように飛んでみたいものと思ったが、一人で飛べる自信もないし、また情けないことに、現在五十肩を患っており、左手が上方に上げられない状態であるので、なくなく断念せざるを得なかった。
 フィルストへのロープウェー駅は、町の東のはずれにあった。ここから、2つの中継点を通って、一気に2167mの頂上駅まで上がる。途中は、緑の牧草地が広がっており、とてもきれいである。牧草地の間を縫って小道があり、そこを自転車で降りてくる人が見えた。あいにく、頂上駅の上空は黒い雲が広がっており、天気が崩れそうな感じであったが(ツアーの初日の悪天候を除いて、初めてである)、やや日差しもあり、すばらしい景色が見渡せた。正面(南西から南)には、グリンデルワルトからは全体がよく見えなかった、ヴェッターホルン(Wetterhorn(3701m))、シュレックホルン(Schreckhorn(4078m))、フィーシャーホルン(Fiescherhorn(4049m))、その右にアイガー(Eiger (3970m))、そしてそれらの山から流れる、上および下のグリンデルワルト氷河(Oberer & Unter Grindelwald Gletscher)が大きく見える。やや遠くには、メンヒ(Mench(4099m))までが見える。北から東へは、シュヴァルツホルン(Schwarzhorn(2928m))からグローセ・シャイデック(1962m))の峠までの尾根が見渡せる。

Wetterhorn(3701m)、Schreckhorn(4078m) & Fiescherhorn(4049m)      Parasale at First

 この頂上駅の下の草原から、先ほどの娘さん二人がはじめてのフライトに挑戦する。我々が見下ろす中を、二組のパラセールが広がり、さっと空中に浮かんだと思うと、どんどん高度を上げた。そして、大きな鷲のように、我々の頭上を高く旋回し、その後、ヴェッターホルンに向かって気持ちよさそうに飛んで行った(着地点は下のロープウェー駅近くである)。うーん、悔しいなーと思ったが、諦めるしかない。残されたメンバーは、山頂駅のまわりの丘を少し散策した後、再びロープウェーに乗って、グリンデルワルトに向かった。
 これで、ベルナーオーバーランドの2日間も終わりである。いつも、海外旅行の最終日は辛いものがあるが、こんなすばらしいスイスアルプスを見せてもらっただけに、もっともっとこの美しい山々を見てみたいという欲望が湧いてくる。食後もまだ明るかったので、アイガーが夕日で赤く染まり、やがて暗くなっていく様子をベンチに座って見ていた。
 夜は、これで最後なので、お土産を買いにホテルを出た。高価なものは買えないが、記念にと、小さな掛け時計、絵付けの皿、スイスの州の旗、山のカレンダー、それにTシャツやワイン、チョコレートなどを買い込んだ。ホテルに戻ると、4日間のハイキングや登山?で、やや疲れもたまっていたようで、すぐに眠りにつけた。

とうとう、スイスアルプスの最後の一日が終わりました。
たいへん寂しいですが、最後までお付き合いください。

                                                                                                                2000.09.24

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